計算材料科学
分子動力学法で使う原子間ポテンシャルについての説明として正しいものはどれか。
- Aレナード・ジョーンズ・ポテンシャルは2原子間の距離だけで決まる対ポテンシャルで、金属の結合や共有結合の方向性もよく表せる
- B埋め込み原子法(EAM)のポテンシャルは、周りの原子がつくる電子密度に応じた埋め込みエネルギーを加えて、金属の多体的な結合を表す
- Cシリコンのような共有結合の結晶には、結合の角度によらない対ポテンシャルを使うのが最も適している
答えと解説を見る
正解:B. 埋め込み原子法(EAM)のポテンシャルは、周りの原子がつくる電子密度に応じた埋め込みエネルギーを加えて、金属の多体的な結合を表す
レナード・ジョーンズ・ポテンシャルは原子2個の距離だけで決まる対ポテンシャルで、希ガスのような方向性のない弱い結合をよく表しますが、金属や共有結合の性質は表せません。金属では、原子1個の結合の強さが周りの原子の数によって変わる多体の効果が大きく、EAMはこれを周りの原子がつくる電子密度の関数として加えます。対ポテンシャルだけでは、各原子が対称中心にあるFCCやBCCの結晶で応力がないとき、弾性定数に C₁₂ = C₄₄(コーシーの関係)が必ず成り立ちますが、多くの金属はこれを満たしません。共有結合では結合の角度が重要なので、角度の項を含むスティリンジャー・ウェーバーやターソフのポテンシャルを使います。DFTの結果を学習した機械学習ポテンシャルも広く使われています。