密度汎関数理論とは
みつどはんかんすうりろん
基底状態のエネルギーが電子密度で決まることを使い、コーン・シャム方程式を解いて物質の電子状態とエネルギーを求める理論。第一原理計算の中心。
「密度汎関数理論」は、1分野の7問の練習問題に出てきます(計算材料科学など)。
この用語の分野: 計算材料科学
みつどはんかんすうりろん
基底状態のエネルギーが電子密度で決まることを使い、コーン・シャム方程式を解いて物質の電子状態とエネルギーを求める理論。第一原理計算の中心。
「密度汎関数理論」は、1分野の7問の練習問題に出てきます(計算材料科学など)。
この用語の分野: 計算材料科学
物質の性質は電子の状態で決まりますが、多数の電子が互いに影響し合う波動関数は変数が多すぎて、そのままでは解けません。ホーエンベルクとコーンは、基底状態のエネルギーが電子密度という3次元の関数だけで決まることを示しました。コーンとシャムは、これを相互作用のない仮想の電子が有効なポテンシャルの中を動く問題に置き換え、その電子密度が実際の系と同じになるようにしました。電子どうしの複雑な相互作用は、交換相関エネルギーという項にまとめられます。
DFTでは、原子の種類と配置を入力にして、全エネルギー、原子に働く力、電子のバンド構造などを求めます。力が0になるまで原子を動かすと安定な構造と格子定数が得られ、構造の違うエネルギーを比べると相の安定性が、スーパーセルの計算から空孔などの欠陥の形成エネルギーが、ひずみを与えた計算から弾性定数が求まります。実験値を使わないので第一原理計算とも呼ばれ、まだつくられていない物質の予測や、CALPHAD法や原子間ポテンシャルに渡すデータづくりにも使われます。
交換相関エネルギーの正確な形はわからないため、局所密度近似(LDA)や一般化勾配近似(GGA)などの近似を使います。これらには、バンドギャップが実験値より小さく出る、ファンデルワールス力をうまく表せない、局在したd電子やf電子をもつ酸化物の性質を誤ることがある、といった限界があり、ハイブリッド汎関数や補正の方法が使われます。また、通常の計算は0 Kの基底状態で、扱える原子は数百個程度です。有限温度の性質には、フォノンの計算や分子動力学を組み合わせます。
正解:A. 基底状態のエネルギーが電子密度で決まることをもとに、コーン・シャム方程式を解き、電子どうしの複雑な相互作用は交換相関汎関数の近似で表す
多数の電子の波動関数は変数が多すぎて、そのままでは解けません。DFTでは、基底状態のエネルギーは電子密度という3次元の関数だけで決まるというホーエンベルク・コーンの定理をもとに、電子密度を主な変数にします。実際には、相互作用のない仮想の電子が有効なポテンシャルの中を動くコーン・シャム方程式を、電子密度が変わらなくなるまで繰り返し解きます(自己無撞着計算)。電子どうしの複雑な相互作用は交換相関汎関数にまとめられ、LDAやGGAなどの近似が使われるので、結果は厳密ではなく、精度は物質と性質によって違います。経験的な原子間ポテンシャルで運動方程式を解くのは、古典的な分子動力学法です。
正解:B. 半導体や絶縁体のバンドギャップを実験値より小さく見積もる傾向があり、シリコンではGGAで約0.6 eVになる
LDAやGGAでは、コーン・シャム方程式の固有値の差からバンドギャップを読むと、実験値より小さくなることがよく知られています。シリコンではGGAで約0.6 eVと、実験値1.12 eVのおよそ半分で、大きく見積もるとする説明は傾向が逆です。正確な値が必要なときは、ハイブリッド汎関数やGW近似を使います。一方、格子定数、弾性率、形成エネルギーのような基底状態の全エネルギーに関わる量は、多くの物質でよい精度で求まります。通常のDFTは0 Kの基底状態の計算なので、有限温度の性質を得るには、格子振動(フォノン)の計算や分子動力学を組み合わせる必要があります。また、標準的な汎関数はファンデルワールス力をうまく表せないので、層状物質や吸着では補正を加えます。
第一原理計算は、経験的なパラメータを使わずに量子力学の基本法則から計算する方法の総称で、材料の分野ではDFTによる計算が最も広く使われています。そのためほぼ同じ意味で使われることが多いですが、量子化学のより厳密な方法なども第一原理計算に含まれます。
LDAやGGAの交換相関エネルギーには、電子が自分自身と相互作用してしまう誤差が残り、電子の数に対するエネルギーの変わり方も正しく表せないためです。コーン・シャム方程式の固有値が、もともと励起のエネルギーを表すものではないことも理由です。GW近似やハイブリッド汎関数で改善できます。
ふつうの計算では数十〜数百個の原子で、計算量は原子の数のおよそ3乗で増えます。周期的な境界条件を使うので、結晶は単位胞や数百原子のスーパーセルで表せますが、転位や粒界のように広い領域が必要な問題は、原子間ポテンシャルを使う分子動力学法などと組み合わせて扱います。
DFTでは、基底状態のエネルギーは電子密度という3次元の関数だけで決まるというホーエンベルク・コーンの定理をもとに、電子密度を主な変数にします。
密度汎関数理論(DFT)の考え方についての説明として正しいものはどれか。通常のDFTは0 Kの基底状態の計算なので、有限温度の性質を得るには、格子振動(フォノン)の計算や分子動力学を組み合わせる必要があります。
LDAやGGAの交換相関汎関数を使った標準的なDFT計算の結果の傾向として正しいものはどれか。電子の状態を量子力学で解くDFTはふつう数十〜数百個の原子を扱い、時間発展を追えるのも数十ピコ秒程度までです。
材料の計算手法と、ふつうに扱える空間と時間の規模の組み合わせとして最も適切なものはどれか。DFTの結果を学習した機械学習ポテンシャルも広く使われています。
分子動力学法で使う原子間ポテンシャルについての説明として正しいものはどれか。活性化エネルギーにはDFTの計算値がよく使われます。
キネティック・モンテカルロ(kMC)法についての説明として正しいものはどれか。分子動力学法 原子間ポテンシャル 空孔 フォノン フェーズフィールド法 有限要素法 モンテカルロ法 CALPHAD法 ギブスエネルギー マテリアルズ・インフォマティクス