ギブスエネルギーとは
ぎぶすえねるぎー
G = H − TS で定義される状態量。温度と圧力が一定の条件では、Gが減る向きに変化が自発的に進み、Gが最小の状態が平衡になる。
「ギブスエネルギー」は、3分野の6問の練習問題に出てきます(材料の熱力学, 計算材料科学, 電池・エネルギー材料など)。
この用語の分野: 材料の熱力学
ぎぶすえねるぎー
G = H − TS で定義される状態量。温度と圧力が一定の条件では、Gが減る向きに変化が自発的に進み、Gが最小の状態が平衡になる。
「ギブスエネルギー」は、3分野の6問の練習問題に出てきます(材料の熱力学, 計算材料科学, 電池・エネルギー材料など)。
この用語の分野: 材料の熱力学
自然な変化の向きを決めるのは、系と周囲を合わせたエントロピーの増加です。温度と圧力が一定なら、系が出した熱 −ΔH を周囲が温度Tで受け取るので、周囲のエントロピーは −ΔH/T だけ変わります。全体のエントロピーの変化 ΔS − ΔH/T が正であることは、両辺に −T を掛けると ΔH − TΔS < 0、つまり ΔG < 0 と同じ条件になります。ギブスエネルギーは、周囲を考えなくても系の量だけで変化の向きを判定できるようにした量です。名前は、1870年代に化学熱力学の基礎を築いたアメリカのギブスに由来します。
反応のギブスエネルギー変化は、標準状態での値 ΔG° と、実際の組成を表す反応商Qを使って ΔG = ΔG° + RT ln Q と書けます。平衡では ΔG = 0 なので ΔG° = −RT ln K となり、標準の値から平衡定数Kが求まります。298 Kでは ΔG° が約5.7 kJ/mol 負になるごとに K は10倍になり、1000 Kでは約19.1 kJ/mol ごとに10倍です。ΔG° の数十 kJ/mol の違いが、平衡の位置を何桁も変えることがわかります。エリンガム図から酸化物の安定性や平衡酸素分圧を読むのも、この関係にもとづいています。
ΔG° が正だからといって、反応がまったく進まないわけではありません。ΔG° は全成分が標準状態にあるときの値で、生成物が少ない、あるいは気体の生成物を除き続けるような条件ではQが小さく、ΔGは負になって反応は進みます。逆に、ΔGが負でも反応が速く進むとは限りません。室温ではダイヤモンドよりグラファイトのほうがギブスエネルギーが低く(差は約2.9 kJ/mol)、ダイヤモンドは熱力学的には不安定ですが、変化が極めて遅いので事実上変わりません。ギブスエネルギーは向きを決め、速さは速度論が決めます。
材料科学では、各相のギブスエネルギーを温度と組成の関数として表し、最も低いGを与える相や相の組み合わせから相図を描きます。純物質の融点は固体と液体のGが等しくなる温度で、合金では各相のG-組成曲線に共通接線を引いて、共存する相の組成を求めます。CALPHAD法は、実験データから各相のGを表す式を決め、多元系の相図や相の割合を計算する方法です。また、過冷却した液体や過飽和の固溶体では、Gの差が核生成や析出を進める駆動力になり、相変態の速さを考える出発点になります。
正解:B. 約1.23 V
理論起電力は E = −ΔG/(nF) で、H₂ 1 mol が反応すると電子は2 mol 移動するので、n = 2 です。E = 237×10³ / (2 × 96485) ≈ 1.23 V になります。約2.46 V は n = 1 とした誤り、約0.61 V は O₂ 1 mol あたりの電子数 n = 4 を、H₂ 1 mol あたりの ΔG と組み合わせた誤りです。なお、反応のエンタルピー変化(−286 kJ/mol)に対するギブスエネルギー変化の比 237/286 ≈ 83% が、25℃での理論効率の目安になります。実際の電池では、電極の過電圧や電解質の抵抗のため、作動電圧は0.6〜0.8 V 程度に下がります。
正解:A. すべての組成で負で、x → 0 での傾きは負の無限大なので、ごく少量の溶質はどの物質にも溶ける
理想溶液では混合のエンタルピーが0で、ΔG_mix = −TΔS_mix は混合のエントロピーだけから生じます。0 < x < 1 で ln x は負なので、ΔG_mix はすべての組成で負になり、x = 0.5 で最小値 RT ln 0.5 をとります(1000 K で約 −5.76 kJ/mol)。x → 0 で傾き d(ΔG_mix)/dx = RT ln[x/(1 − x)] は負の無限大に向かうので、溶質をほんのわずか溶かすだけで必ず自由エネルギーが下がります。これが、完全に純粋な物質をつくるのが難しい熱力学的な理由です。ΔG_mix はTに比例し、エンタルピーとは無関係です。x = 0.5 で最大になるのは混合のエントロピーで、ΔG_mix はそこで最小です。
ギブスエネルギー G = H − TS は温度と圧力が一定の条件で、ヘルムホルツエネルギー F = U − TS は温度と体積が一定の条件で、変化の向きを判定するのに使います。材料の実験や工程はふつう大気圧のもとで行うので、Gがよく使われます。固体では両者の差 pV は小さいことが多いです。
同じものです。以前は「自由エネルギー」と呼ぶのが一般的でしたが、IUPACは「ギブスエネルギー」と呼ぶことを推奨しています。教科書や論文では両方の呼び方が使われているので、どちらも G = H − TS を指すと考えて差し支えありません。
エネルギーなので単位はジュール(J)です。物質量あたりで表すときは J/mol や kJ/mol を使い、反応のギブスエネルギー変化も、ふつう反応式の係数どおりに反応したときの値を kJ/mol で示します。そのため、反応式の係数の取り方で数値が変わる点に注意が必要です。
なお、反応のエンタルピー変化(−286 kJ/mol)に対するギブスエネルギー変化の比 237/286 ≈ 83% が、25℃での理論効率の目安になります。
水素と酸素から液体の水ができる反応 H₂ + 1/2 O₂ → H₂O(l) の標準ギブスエネルギー変化は25℃で −…温度と圧力が一定のとき、系のギブスエネルギー G = H − TS が減る向き(ΔG < 0)に変化が自発的に進み、ΔG = 0 で平衡になります。
温度と圧力が一定の条件で、閉じた系の変化が自発的に進むかどうかを判定する量と条件の組み合わせとして正しいものはどれか。モルあたりのギブスエネルギーを組成に対して描くと、これは2本の曲線に共通の接線を引くことにあたり、2つの接点が平衡する2相の組成になります。
一定の温度と圧力で、二元系のα相とβ相が平衡に共存するための条件として正しいものはどれか。CALPHAD(CALculation of PHAse Diagrams)法では、液相、固溶体、化合物などの各相のギブスエネルギーを、純物質の項、理想混合の項、相互作用を表す過剰の項の和で表します。
CALPHAD法についての説明として正しいものはどれか。多元系のすべての組成で実験するのは不可能ですが、ギブスエネルギーのモデルを使えば、二元系と三元系で決めたパラメータを組み合わせて多元系の値を外挿できます。
10種類近くの元素を含むNi基超合金や鋼で、CALPHAD法を使って析出する相とその分率を予測する。その考え方と注意点…CALPHAD法 混合エントロピー 化学ポテンシャル 密度汎関数理論 Ni基超合金 エリンガム図 活量 スピノーダル分解 正則溶液 平衡酸素分圧