材料の熱力学
ギブスエネルギーと自発変化の条件、エリンガム図の読み方、平衡酸素分圧とH₂/H₂O比、活量と活量係数、理想溶液と正則溶液の混合の自由エネルギー、スピノーダル分解を3択問題で確認できます。計算問題も解説つきです。
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材料の熱力学の要点
温度と圧力が一定のとき、変化はギブスエネルギー G = H − TS が下がる向きに進み、ΔG = 0 で平衡になります。酸化物の安定性を比べるエリンガム図は、O₂ 1 molあたりの生成の ΔG° を温度に対して描いた図で、下の線の金属ほど安定な酸化物をつくり、上の線の酸化物を還元できます。ΔG° = RT ln pO₂ からは、金属と酸化物が共存する平衡酸素分圧が求まります。
溶液や固溶体の中の成分の実効的な濃度が活量で、理想溶液ではモル分率に等しく、ずれは活量係数で表します。固溶体の自由エネルギーは、混合のエントロピーによる低下と混合のエンタルピーの兼ね合いで決まり、正則溶液モデルで異種原子が反発し合うと、低温で溶解度ギャップが現れます。2相の平衡組成は共通接線で決まり、ギャップの内側ではスピノーダル分解が起こります。
材料の熱力学の問題一覧(15問)
- 温度と圧力が一定の条件で、閉じた系の変化が自発的に進むかどうかを判定する量と条件の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ΔH > 0、ΔS > 0 の反応(例えば炭酸塩の熱分解)について正しいものはどれか。ΔHとΔSは温度によらないとする。
- 炭酸カルシウムの分解 CaCO₃(s) → CaO(s) + CO₂(g) の標準反応エンタルピーを ΔH° = +178 kJ/mol、標準反応エントロピーを ΔS° = +161 J/(mol·K) とし、どちらも温度によらないとする。CO₂ の分圧が1 bar の標準状態で、分解が自発的に進み始める温度(ΔG° = 0 となる温度)はどれに最も近いか。
- エリンガム図で、多くの金属の酸化反応 2M(s) + O₂(g) → 2MO(s) の ΔG° の直線が、温度が高いほど ΔG° が大きくなる(0に近づく)右上がりになる主な理由はどれか。
- エリンガム図で、炭素の反応 2C(s) + O₂(g) → 2CO(g) の直線についての説明として正しいものはどれか。
- エリンガム図では、どの酸化物の生成反応も O₂ 1 molあたりの ΔG° にそろえて描く。そうする主な利点はどれか。
- 1000℃で、4/3 Al + O₂ → 2/3 Al₂O₃ の ΔG° を −850 kJ/mol、4/3 Cr + O₂ → 2/3 Cr₂O₃ の ΔG° を −530 kJ/mol とする(どちらも O₂ 1 molあたり)。2/3 Cr₂O₃ + 4/3 Al → 2/3 Al₂O₃ + 4/3 Cr の ΔG° と、反応が進む向きの組み合わせとして正しいものはどれか。すべて純物質とする。
- 1000 K で 2Ni(s) + O₂(g) → 2NiO(s) の ΔG° が −298 kJ/mol である。Ni と NiO が共存する平衡酸素分圧はどれに最も近いか。Ni と NiO は純粋な固体(活量1)、標準圧力を1 bar、気体定数を8.314 J/(mol·K)、ln 10 = 2.303 とする。
- 1000 K で、2H₂(g) + O₂(g) → 2H₂O(g) の ΔG° を −385 kJ/mol、2Ni(s) + O₂(g) → 2NiO(s) の ΔG° を −298 kJ/mol とする。H₂–H₂O の混合ガス中でニッケルを焼なますとき、Ni と NiO が平衡になる分圧比 pH₂O/pH₂ はどれに最も近いか(比がこれより小さければ Ni は酸化されない)。気体定数を8.314 J/(mol·K) とし、Ni と NiO は純粋な固体とする。
- 溶液(液体または固溶体)の中の成分の活量についての説明として正しいものはどれか。
- ある温度で、純粋な Cr と Cr₂O₃ が共存する平衡酸素分圧を p₀ とする。同じ温度で、Cr の活量が0.10 の合金と純粋な Cr₂O₃ が共存する平衡酸素分圧は、p₀ の約何倍か。反応を 4/3 Cr + O₂ → 2/3 Cr₂O₃ とする。
- 理想溶液(理想固溶体)の混合のギブスエネルギー ΔG_mix = RT[x ln x + (1 − x) ln(1 − x)] についての説明として正しいものはどれか。xは一方の成分のモル分率とする。
- 正則溶液モデルでは、混合のエンタルピーを ΔH_mix = Ωx(1 − x)(Ωは温度によらない相互作用パラメータ)とし、混合のエントロピーは理想溶液と同じとする。Ω = +20 kJ/mol のとき、固溶体が2相に分かれる領域(溶解度ギャップ)が消える臨界温度 Tc = Ω/(2R) はどれに最も近いか。気体定数を8.314 J/(mol·K) とする。
- 一定の温度と圧力で、二元系のα相とβ相が平衡に共存するための条件として正しいものはどれか。
- 溶解度ギャップをもつ固溶体を、高温の1相の状態から急冷し、ギャップの内側の温度で保持した。スピノーダル分解についての説明として正しいものはどれか。