材料の熱力学

エリンガム図で、多くの金属の酸化反応 2M(s) + O₂(g) → 2MO(s) の ΔG° の直線が、温度が高いほど ΔG° が大きくなる(0に近づく)右上がりになる主な理由はどれか。

  1. A気体の O₂ が消費されて固体の酸化物になるので、ΔS° が負であるから
  2. B温度が上がると、酸化反応で放出される熱 ΔH° が大きくなるから
  3. C温度が上がると金属中の拡散が速くなり、酸化の速度が増すから
答えと解説を見る

正解:A. 気体の O₂ が消費されて固体の酸化物になるので、ΔS° が負であるから

エリンガム図は、O₂ 1 molあたりの酸化物の生成の ΔG° = ΔH° − TΔS° を温度に対して描いた図で、ΔH° とΔS° がほぼ一定なら直線の傾きは −ΔS° になります。金属の酸化では、エントロピーの大きい気体の O₂ が固体に取り込まれるので、ΔS° はおよそ −0.2 kJ/(mol·K) 前後の負の値になり、傾きは正(右上がり)です。つまり酸化物は高温ほど不安定になります。ΔH° は温度にあまりよらず、直線の高さを決めるだけです。拡散や酸化の速さは反応速度論の話で、平衡の ΔG° を表すエリンガム図の傾きとは関係ありません。金属や酸化物が融解・沸騰する温度では ΔS° が変わり、直線が折れ曲がります。

誤りを報告

この分野を解く 分野ページへ

材料の熱力学のほかの問題

  1. エリンガム図で、炭素の反応 2C(s) + O₂(g) → 2CO(g) の直線についての説明として正しいものはどれか。
  2. エリンガム図では、どの酸化物の生成反応も O₂ 1 molあたりの ΔG° にそろえて描く。そうする主な利点はどれか。
  3. 1000℃で、4/3 Al + O₂ → 2/3 Al₂O₃ の ΔG° を −850 kJ/mol、4/3 Cr + O₂ → 2/3 Cr₂O₃ の ΔG° を −530 kJ/mol とする(どちらも O₂ 1 molあたり)。2/3 Cr₂O₃ + 4/3 Al → 2/3 Al₂O₃ + 4/3 Cr の ΔG° と、反応が進む向きの組み合わせとして正しいものはどれか。すべて純物質とする。
  4. 1000 K で 2Ni(s) + O₂(g) → 2NiO(s) の ΔG° が −298 kJ/mol である。Ni と NiO が共存する平衡酸素分圧はどれに最も近いか。Ni と NiO は純粋な固体(活量1)、標準圧力を1 bar、気体定数を8.314 J/(mol·K)、ln 10 = 2.303 とする。
  5. 1000 K で、2H₂(g) + O₂(g) → 2H₂O(g) の ΔG° を −385 kJ/mol、2Ni(s) + O₂(g) → 2NiO(s) の ΔG° を −298 kJ/mol とする。H₂–H₂O の混合ガス中でニッケルを焼なますとき、Ni と NiO が平衡になる分圧比 pH₂O/pH₂ はどれに最も近いか(比がこれより小さければ Ni は酸化されない)。気体定数を8.314 J/(mol·K) とし、Ni と NiO は純粋な固体とする。