材料の熱力学
溶解度ギャップをもつ固溶体を、高温の1相の状態から急冷し、ギャップの内側の温度で保持した。スピノーダル分解についての説明として正しいものはどれか。
- A自由エネルギー曲線が下に凸(d²G/dx² > 0)の組成で起こり、臨界核をつくるエネルギー障壁を越える必要がある
- Bd²G/dx² < 0 の組成で起こり、核生成の障壁がなく、組成の揺らぎが上り坂拡散で成長する
- C拡散を伴わないせん断型の変態で、母相と同じ組成のまま結晶構造だけが変わる
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正解:B. d²G/dx² < 0 の組成で起こり、核生成の障壁がなく、組成の揺らぎが上り坂拡散で成長する
溶解度ギャップの内側でも、自由エネルギー曲線が上に凸(d²G/dx² < 0)になるスピノーダル線の内側では、組成のわずかな揺らぎでも自由エネルギーが下がるので、揺らぎがそのまま増幅されます。核生成の障壁がなく、原子は濃度の低い側から高い側へ、濃度勾配に逆らって拡散します(上り坂拡散)。その結果、組成がある波長で周期的に変わる微細な組織が全体に一様にできます。d²G/dx² > 0 の組成(スピノーダル線と溶解度線の間)では、小さな揺らぎは自由エネルギーを上げるので、臨界核をつくる核生成と成長の機構で分離します。拡散を伴わないせん断型の変態はマルテンサイト変態です。Fe-Cr 系のフェライトの475℃脆化は、スピノーダル分解の例です。