モンテカルロ法とは
もんてかるろほう
乱数を使った確率的な試行をくり返して答えを求める方法。材料では、メトロポリス法による平衡状態の計算や、拡散を追うキネティック・モンテカルロ法がある。
「モンテカルロ法」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(計算材料科学など)。
この用語の分野: 計算材料科学
もんてかるろほう
乱数を使った確率的な試行をくり返して答えを求める方法。材料では、メトロポリス法による平衡状態の計算や、拡散を追うキネティック・モンテカルロ法がある。
「モンテカルロ法」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(計算材料科学など)。
この用語の分野: 計算材料科学
モンテカルロ法は、乱数を使った試行を多数くり返し、その平均から答えを見積もる方法の総称で、名前はカジノで知られるモナコのモンテカルロに由来します。例えば、正方形の中に一様に点を打ち、内接する円に入った割合を数えると、円周率を見積もれます。誤差は試行の数Nの平方根に反比例するので、精度を10倍にするには100倍の試行が必要です。この誤差の減り方は変数の数によらないので、原子の配置のように変数が非常に多い統計力学の積分で特に威力を発揮します。
材料の計算でよく使われるのは、1953年にメトロポリスらが示した方法です。状態を少し変える試行を、ボルツマン因子にもとづく確率で受け入れたり棄却したりすると、訪れる状態の頻度がその温度の平衡分布に従います。合金では、格子点の原子を入れ替える試行をくり返して、規則・不規則変態の温度、短範囲規則度、固溶限などを計算します。入れ替えによるエネルギーの変化には、第一原理計算をもとにしたクラスター展開がよく使われます。結晶粒を区別する番号を格子点に置いたポッツモデルで、粒成長を計算する使い方もあります。
メトロポリス法の試行の回数(モンテカルロステップ)は、実際の時間ではありません。状態の並びは平衡分布から標本をとるための道筋で、物理的な変化の順序を表すわけではないので、ふつうは変化の速さの議論には使えません。ポッツモデルの粒成長のようにステップを時間の代わりに使う場合も、実際の時間との対応は実験と比べて決めます。また、初めの状態の影響が残る部分は平均から除き、続けてとった状態どうしが似ていること(相関)も考えて誤差を見積もります。時間を扱いたいときは、事象ごとの速度を与えて時間を進めるキネティック・モンテカルロ法を使います。
固体の中で原子が隣へジャンプする頻度は ν exp(−E_a/kT) で、振動数 ν ≈ 10¹³ s⁻¹、E_a = 1.0 eV、600 Kとすると、1秒に約4×10⁴回です。原子は1回ジャンプするまでに約2.5×10⁸回も振動するので、振動をすべて追う分子動力学法では、拡散の様子をほとんど追えません。キネティック・モンテカルロ法では、振動を省いて事象とその速度の一覧から次の事象を選ぶので、秒や時間の規模の析出や照射欠陥の変化を追えます。ただし、一覧にない事象は決して起こらないので、どんな事象を用意するかが結果を左右します。
正解:C. 約0.31
メトロポリス法では、エネルギーが下がる動きは必ず受け入れ、上がる動きは確率 exp(−ΔE/kT) で受け入れます。kT = 8.617×10⁻⁵ × 1000 ≈ 0.0862 eV なので ΔE/kT ≈ 1.16 となり、確率は exp(−1.16) ≈ 0.31 です。実際には0から1の乱数を発生させ、それがこの確率より小さければ受け入れます。エネルギーが上がる動きも一定の確率で受け入れることで、系はボルツマン分布に従う状態を訪れ、平均として有限温度の平衡の性質が得られます。上がる動きを一切受け入れないと、局所的なエネルギーの極小に閉じ込められ、0 Kでの最適化と同じになります。約0.69は棄却される確率 1 − 0.31 を受け入れの確率と取り違えた値です。
統計的な誤差は、独立な試行の数Nに対して1/√Nで小さくなります。誤差を半分にするには4倍の試行が必要です。続けてとった状態どうしに相関があると、実際に独立な標本の数は少なくなるので、区間に分けて平均する方法などで誤差を見積もります。
メトロポリス法は、エネルギーの差だけで試行を受け入れるかを決め、平衡状態の平均を求めます。キネティック・モンテカルロ法は、活性化エネルギーから求めた事象の速度を使い、事象を選ぶたびに時間を進めて、平衡に向かう途中の変化を実際の時間で追います。
影響します。乱数に周期性や相関があると、平均が偏ったり、一部の状態ばかり訪れたりすることがあります。現在は、メルセンヌ・ツイスタのように周期が長く、統計的な検定を通った疑似乱数の生成法を使うのがふつうです。並列計算では、計算ごとに独立な乱数の列を使うことも大切です。
メトロポリス法では、エネルギーが下がる動きは必ず受け入れ、上がる動きは確率 exp(−ΔE/kT) で受け入れます。
メトロポリス法のモンテカルロ計算で、原子の位置を試しに動かすと、系のエネルギーが0.10 eV増える。温度1000 K…運動方程式を積分するのは分子動力学法、時間をもたず平衡の平均を求めるのはメトロポリス法の特徴です。
キネティック・モンテカルロ(kMC)法についての説明として正しいものはどれか。空孔 分子動力学法 密度汎関数理論 CALPHAD法 原子間ポテンシャル フェーズフィールド法 マテリアルズ・インフォマティクス 有限要素法