腐食と表面処理
海水中で鋼構造物に亜鉛の犠牲陽極を取り付けた。標準電極電位を Fe²⁺/Fe で −0.44 V、Zn²⁺/Zn で −0.76 V として標準状態の電池と考えたとき、起電力と、溶けるほうの金属の組み合わせとして正しいものはどれか。
- A約0.32 V、亜鉛が溶けて鋼が守られる
- B約0.32 V、鋼が溶けて亜鉛が守られる
- C約1.20 V、亜鉛が溶けて鋼が守られる
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正解:A. 約0.32 V、亜鉛が溶けて鋼が守られる
起電力は、カソード側(貴な鉄)の電位からアノード側(卑な亜鉛)の電位を引いて、E = −0.44 − (−0.76) = 0.32 V です。卑な亜鉛がアノードとなって Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と溶け、その電子が鋼へ流れ込んで鋼をカソードにするので、鋼の溶解が抑えられます。これが犠牲陽極による防食(流電陽極方式)で、船体や港湾の鋼構造物、地中の配管などに使われ、陽極は消耗するので定期的に交換します。約1.20 Vは、2つの電位の大きさを足してしまった誤りです。約0.32 Vで鋼が溶けるとした選択肢は、貴と卑の向きを逆にしています。実際の海水中の電位は標準電極電位とは異なりますが、亜鉛が鋼より卑である関係は同じです。