高温材料とクリープ

ガスタービンの翼に施す遮熱コーティング(TBC)の構成についての説明として正しいものはどれか。

  1. A熱伝導率の低いYSZのトップコートの下にMCrAlYなどのボンドコートを置き、その界面の薄いAl₂O₃の熱成長酸化物(TGO)が母材の酸化を防ぐ
  2. Bトップコートには熱伝導率の高い緻密なアルミナを使い、翼の熱を速く外へ逃がして金属の温度を下げ、その下のボンドコートで母材との熱膨張差を吸収する
  3. CトップコートのYSZが酸素をまったく通さないので、ボンドコートは不要で、YSZを母材に直接吹き付けるだけで母材の酸化と熱の両方を同時に防げる
答えと解説を見る

正解:A. 熱伝導率の低いYSZのトップコートの下にMCrAlYなどのボンドコートを置き、その界面の薄いAl₂O₃の熱成長酸化物(TGO)が母材の酸化を防ぐ

TBCは、翼の内部を冷却空気で冷やしながら、表面の断熱層で金属の温度を下げる被膜です。トップコートのYSZ(イットリア部分安定化ジルコニア)は熱伝導率が約1〜2 W/(m·K)と低く、セラミックスとしては熱膨張係数が大きい材料です。多孔質の溶射膜や柱状の蒸着膜にして、母材との熱膨張差によるひずみを逃がします。YSZは酸化物イオンをよく通すので酸素を止められず、ボンドコートのAlが酸化して薄いAl₂O₃のTGOができ、これが母材の酸化を防ぎます。TGOが厚くなったり熱サイクルを受けたりすると、その付近からトップコートがはく離することが、寿命を決める主な原因です。熱伝導率の高い材料では断熱の役目を果たせません。

誤りを報告

この分野を解く 分野ページへ

高温材料とクリープのほかの問題

  1. 遮熱コーティングのトップコート(厚さ250 µm、熱伝導率1.2 W/(m·K))を、1.0 MW/m²の熱流束が厚さ方向に一様に通っている。定常状態の1次元の熱伝導として、トップコートの表と裏の温度差はどれに最も近いか。
  2. 一定の荷重と温度のもとで測ったクリープ曲線(ひずみと時間の関係)の3つの段階についての説明として正しいものはどれか。
  3. ある耐熱合金の定常クリープ速度は、べき乗則 ε̇ = Aσⁿexp(−Q/RT) に従い、応力指数は n = 5 である。温度を変えずに応力を20%上げると、定常クリープ速度はおよそ何倍になるか。
  4. 定常クリープ速度が ε̇ = Aσⁿexp(−Q/RT) に従い、活性化エネルギーが Q = 300 kJ/mol の合金がある。応力を変えずに温度を1000 Kから1050 Kに上げると、定常クリープ速度はおよそ何倍になるか。R = 8.314 J/(mol·K) とする。
  5. ある細粒の多結晶金属を、融点(絶対温度)の約0.5倍の温度で、低い応力のもとでクリープ試験した。定常クリープ速度は応力にほぼ比例し(応力指数 n ≈ 1)、結晶粒径の3乗にほぼ反比例していた。主に働いているクリープの機構として最も適切なものはどれか。