薄膜・表面・ナノ材料

真空蒸着を高真空(例えば10⁻⁴ Pa程度)で行う主な理由として正しいものはどれか。

  1. A平均自由行程を蒸発源と基板の距離より十分長くし、蒸発した原子を散乱させずに基板へ届けるため
  2. B圧力を下げると蒸発源の融点が上がり、加熱中の突沸が抑えられて蒸発の速度が一定に安定するようになるため
  3. C真空中では対流がなくなって基板が冷えにくくなり、膜の結晶性が上がるため
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正解:A. 平均自由行程を蒸発源と基板の距離より十分長くし、蒸発した原子を散乱させずに基板へ届けるため

平均自由行程は圧力に反比例し、室温の空気では1 Pa で数mm、10⁻⁴ Pa では数十mにもなります。蒸発源から基板までの距離(数十cm〜1 m程度)より平均自由行程が十分長ければ、蒸発した原子は残留ガスとほとんど衝突せずにまっすぐ基板に届きます。残留ガスの酸素や水が膜に取り込まれる汚染も防げます。圧力を下げても融点はほとんど変わらず、周囲の圧力が低いぶん蒸発はむしろ起こりやすくなります。真空中では対流による熱の出入りがなくなりますが、膜の結晶性を上げることが高真空にする主な目的ではありません。

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