表面処理とトライボロジー

人工衛星などの真空中で使う機構の固体潤滑剤として、黒鉛より二硫化モリブデン(MoS₂)が適している理由として正しいものはどれか。

  1. AMoS₂は黒鉛よりはるかに硬いので、真空中で金属の相手面と直接こすれ合っても削れずに膜として長く残るから
  2. B黒鉛の層間のすべりは吸着水などに助けられていて真空中では摩擦が増すが、MoS₂はそうならないから
  3. C黒鉛は蒸気圧が高く、真空中では室温付近でも少しずつ昇華して層が薄くなり、すぐになくなってしまうから
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正解:B. 黒鉛の層間のすべりは吸着水などに助けられていて真空中では摩擦が増すが、MoS₂はそうならないから

黒鉛とMoS₂はどちらも層状の結晶で、弱いファンデルワールス力で積み重なった層がずれることで低い摩擦を示します。ただし黒鉛では、層の端などに吸着した水分子や気体が層の間のすべりを助けているため、真空中や乾燥した気体の中では摩擦係数が大きくなり、摩耗も増えます。MoS₂は層の間がもともとすべりやすく、真空中で摩擦係数が0.05程度以下と低いので、宇宙機器に使われます。逆に湿った大気の中ではMoS₂は酸化しやすく、性能が下がります。どちらも軟らかい材料で、硬さで選ぶわけではありません。黒鉛が昇華して失われるのは2000℃を超えるような高温で、機構を使う温度では問題になりません。

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