表面処理とトライボロジー
摩擦の法則と真実接触面積、凝着摩耗とアブレシブ摩耗、アーチャードの摩耗式、ストライベック曲線と潤滑の様式、固体潤滑、浸炭・窒化・無電解めっき・硬質膜の被覆を3択問題で確認できます。
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表面処理とトライボロジーの要点
摩擦と摩耗を扱うトライボロジーでは、表面の微小な突起どうしが触れる真実接触面積が出発点になります。真実接触面積は荷重を硬さで割った値で、見かけの面積よりはるかに小さく、摩擦力が荷重に比例して接触面積によらないことを説明します。摩耗には、接触点の凝着による凝着摩耗や、硬い粒子が削るアブレシブ摩耗などがあり、アーチャードの式で荷重とすべり距離から量を見積もります。
潤滑の様式は、油の粘度、速度、面圧によって、境界潤滑、混合潤滑、流体潤滑と移り変わり、ストライベック曲線で整理されます。表面処理では、浸炭焼入れや窒化処理で鋼の表層を硬くし、無電解ニッケルめっきやTiNなどの硬質膜で耐摩耗性を高めます。処理の温度が母材の組織や寸法に与える影響を考えて方法を選ぶことが要点です。
表面処理とトライボロジーの問題一覧(15問)
- 乾燥した金属どうしのすべり摩擦で、経験的に成り立つことが多い摩擦の法則(アモントン・クーロンの法則)の内容として正しいものはどれか。
- 鋼(押し込み硬さ H = 2.0 GPa)の平らなブロックを同じ鋼の板の上に置き、見かけの接触面積10 cm²に垂直荷重1.0 kNをかけた。接触している突起はすべて塑性変形しているとして、真実接触面積を Ar = W/H で見積もると、見かけの接触面積に対する割合はどれに最も近いか。
- 凝着説(バウデンとテイバーの考え)では、摩擦力は真実接触点の凝着部をせん断する力で決まり、摩擦係数は μ = s/H(sは凝着部のせん断強さ、Hは軟らかいほうの材料の押し込み硬さ)で表される。s = 0.30 GPa、H = 1.8 GPa のとき、μはどれに最も近いか。
- 次の摩耗のしくみの説明のうち、凝着摩耗にあたるものはどれか。
- 石英の砂粒(硬さ約1000 HV)を含む土砂でこすられる建設機械の部品で、アブレシブ摩耗を減らす材料の選び方として正しいものはどれか。
- ピン・オン・ディスク試験で、硬さ H = 2.0 GPa のピンに垂直荷重50 Nをかけて、すべり距離1.0 kmだけすべらせた。アーチャードの摩耗式 V = KWL/H で無次元の摩耗係数を K = 1.0×10⁻⁴ とするとき、ピンの摩耗体積と、荷重を2倍にしたときの摩耗体積の変化の組み合わせとして正しいものはどれか。
- すべり軸受の摩擦係数を、潤滑油の粘度η、回転速度N、面圧Pからなる軸受特性数 ηN/P に対して描いたストライベック曲線についての説明として正しいものはどれか。
- 転がり軸受の油膜の最小厚さが h = 0.40 µm、2つの面の二乗平均平方根粗さが Rq1 = 0.15 µm、Rq2 = 0.20 µm である。膜厚比 λ = h/√(Rq1² + Rq2²) を求め、λ < 1 を境界潤滑、1〜3を混合潤滑、3より大きいときを流体潤滑の目安とすると、正しい組み合わせはどれか。
- 内径40 mm、幅30 mmのすべり軸受に半径方向の荷重1.2 kNがかかり、軸が600 rpmで回っている。面圧Pを荷重を投影面積(内径×幅)で割った値、すべり速度vを軸の表面の周速とするとき、PV値はどれに最も近いか。
- 人工衛星などの真空中で使う機構の固体潤滑剤として、黒鉛より二硫化モリブデン(MoS₂)が適している理由として正しいものはどれか。
- 低炭素鋼(約0.2%C)の歯車に浸炭焼入れを行う。この処理についての説明として正しいものはどれか。
- Al、Cr、Moを含む窒化用の鋼に行う、ガス窒化などの窒化処理についての説明として正しいものはどれか。
- 無電解ニッケルめっき(Ni-Pめっき)の特徴として正しいものはどれか。
- 切削工具にTiNなどの硬質膜を被覆する。超硬合金の工具と、高速度工具鋼(ハイス)の工具の被覆法の選び方として適切なものはどれか。
- 厚さ2.0 µmのTiN膜の硬さを、ビッカース圧子の押し込みで測る。基板の影響を避けるため、押し込み深さを膜厚の10分の1以下にするという経験的な目安を使う。ビッカース圧子のくぼみの深さは対角線の長さのおよそ7分の1である。許される対角線の長さの上限はどれに最も近いか。