材料の加工と接合
SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼を溶接すると、溶接線から少し離れた熱影響部で粒界腐食が起こることがある(ウェルドディケイ)。その原因と対策の組み合わせとして正しいものはどれか。
- A溶接の熱で熱影響部のオーステナイトがマルテンサイトに変わり、粒界が弱くなる。溶接後にもう一度焼入れを行う
- B溶融部の高温でCrが蒸発して、溶接金属のCr量が12%を下回る。Crを多く含む溶接棒を使い、溶接の入熱を大きくする
- C約500〜800℃の熱影響部の粒界にCr炭化物が析出しCrが欠乏する。SUS304LやTi・Nb添加鋼を使う
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正解:C. 約500〜800℃の熱影響部の粒界にCr炭化物が析出しCrが欠乏する。SUS304LやTi・Nb添加鋼を使う
溶接線から少し離れた熱影響部には、約500〜800℃の温度に一定時間さらされる帯があります。そこでは結晶粒界にCr₂₃C₆などのCr炭化物が析出し、粒界のすぐそばのCr濃度が不動態を保てない値まで下がるので、粒界に沿って腐食が進みます。これを鋭敏化といいます。対策は、炭化物をつくる炭素を減らした低炭素鋼(SUS304L)を使うこと、炭素をTiやNbの炭化物として固定した安定化鋼(SUS321やSUS347)を使うこと、溶接後に固溶化熱処理をして炭化物を再び固溶させることです。オーステナイト系ステンレス鋼は焼入れでマルテンサイトにならず、Crの蒸発も主な原因ではありません。