不動態とは
ふどうたい
金属の表面に厚さ数nm程度の緻密な酸化皮膜ができ、熱力学的には溶けるはずの金属の溶解がほとんど止まった状態。
「不動態」は、3分野の7問の練習問題に出てきます(生体材料, 腐食と表面処理, 材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 腐食と表面処理
ふどうたい
金属の表面に厚さ数nm程度の緻密な酸化皮膜ができ、熱力学的には溶けるはずの金属の溶解がほとんど止まった状態。
「不動態」は、3分野の7問の練習問題に出てきます(生体材料, 腐食と表面処理, 材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 腐食と表面処理
鉄、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウムなどは、条件によって表面に厚さ数nm程度の緻密な酸化物(または水酸化物)の皮膜をつくり、金属の溶解の速さを数けたも小さくします。この状態が不動態です。電位としては卑な金属でも、皮膜が金属と環境を隔てるため、実際の腐食はごくわずかになります。ステンレス鋼ではCrに富む皮膜、チタンではTiO₂の皮膜がこの役割を果たします。皮膜は薄く目に見えないので、金属の光沢はそのまま保たれます。
不動態皮膜は、酸素や酸化剤のある環境では、傷がついても自然に再生します。例えば鉄は濃硝酸の中で不動態になり、ほとんど溶けなくなります。一方で、酸素が乏しいすき間の中や、塩酸のような還元性の酸の中では皮膜が再生しにくく、壊れると活性な溶解が進みます。特に塩化物イオンは皮膜の弱い点を局部的に破るので、海水中のステンレス鋼では孔食やすき間腐食が問題になります。不動態の材料では、全面腐食よりも局部腐食に注意が必要です。
金属の電位を少しずつ上げながら溶解の電流を測る分極曲線では、はじめ電位とともに電流が増えますが、ある電位(不動態化電位)を超えると電流が急に下がり、広い電位範囲で小さな値に保たれます。この範囲が不動態域です。さらに電位を上げると、皮膜が壊れて電流が再び増える過不動態域や、塩化物があるときの孔食電位が現れます。孔食電位が高いほど孔食に強い材料といえ、鋼種の選定や評価の指標として使われます。同じ材料でも、温度や塩化物の濃度が上がると孔食電位は下がります。
正解:C. Crを約11%以上含み、表面に厚さ数nmの不動態皮膜ができて自然に再生するから
ステンレス鋼は、Crをおよそ11%(規格の定義では10.5%)以上含むことで、表面にCrの酸化物を主とする厚さわずか数nm程度の不動態皮膜ができ、金属がそれ以上溶け出すのを防ぎます。皮膜は酸素のある環境では、傷がついても自然に再生する点が重要です。そのため不動態は、硝酸のような酸化性の環境では保たれやすく、酸素が乏しい環境や塩化物イオンが多い環境、還元性の酸(塩酸など)では壊れやすくなります。合金全体の電位が金や白金並みに貴になるわけではなく、Niの主な役割はオーステナイト組織の安定化です。数mmもある厚い酸化スケールは高温の酸化でできるもので、割れやはく離を起こしやすく、不動態皮膜とはまったく別物です。
正解:B. 孔食で、Moを含むSUS316などに替える
塩化物イオンは不動態皮膜の弱い点を局部的に破り、小さな穴が深く掘られていく孔食を起こします。穴の中では溶けた金属イオンの加水分解で溶液が酸性になり、電気的な中性を保つために塩化物イオンが集まるので、腐食が自分で加速します。周囲の広い不動態面がカソード、穴の底が小さなアノードになるため、貫通まで急に進むことがあります。対策は、皮膜を強くするMo、Cr、Nを多く含む鋼種(Moを約2〜3%含むSUS316など)に替えることで、これらの量から求める孔食指数が選定の目安になります。全面が均一に減る腐食ではないので、肉厚を増やす対策は効果的ではありません。炭素を増やすと粒界にCr炭化物ができやすくなり(鋭敏化)、かえって耐食性が下がります。
ステンレス鋼では数nm程度と非常に薄い皮膜です。高温の酸化でできる厚い酸化スケールとは別物です。
ステンレス鋼を硝酸などの酸化性の溶液で処理し、表面の汚れや鉄粉を除いて、緻密な不動態皮膜を確実につくる処理です。
塩化物イオンが不動態皮膜を局部的に破り、孔食やすき間腐食を起こすからです。Moを含むSUS316など、皮膜の強い鋼種が対策になります。
ステンレス鋼は、Crをおよそ11%(規格の定義では10.5%)以上含むことで、表面にCrの酸化物を主とする厚さわずか数nm程度の不動態皮膜ができ、金属がそれ以上溶け出すのを防ぎます。
ステンレス鋼が大気や水の中でさびにくい主な理由はどれか。塩化物イオンは不動態皮膜の弱い点を局部的に破り、小さな穴が深く掘られていく孔食を起こします。
SUS304を、塩化物イオンを多く含む海水中で使ったときに起こりやすい局部腐食と、その対策の組み合わせとして正しいもの…そこでは結晶粒界にCr₂₃C₆などのCr炭化物が析出し、粒界のすぐそばのCr濃度が不動態を保てない値まで下がるので、粒界に沿って腐食が進みます。
SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼を溶接すると、溶接線から少し離れた熱影響部で粒界腐食が起こることがある(…チタンの表面は厚さ数nmの TiO₂ の不動態皮膜で覆われ、体液の中で安定なので、骨がその表面に沿って形成されます。
歯科用インプラントなどで、純チタンについて言われるオッセオインテグレーションの説明として正しいものはどれか。不動態皮膜の損傷による金属イオンの溶出は、フレッティング腐食などの別の問題です。
人工股関節のステムに、骨よりはるかにヤング率の高い金属を使ったとき問題になる応力遮蔽の説明として正しいものはどれか。ステンレス鋼 孔食 鋭敏化 ヤング率 応力遮蔽 溶接熱影響部 マルテンサイト オッセオインテグレーション ハイドロキシアパタイト 骨セメント