応力遮蔽とは
おうりょくしゃへい
骨よりはるかに硬いインプラントが荷重の大部分を受け持ち、周りの骨への力学的な刺激が減って、骨が吸収されてやせる現象。ストレスシールディングとも呼ぶ。
「応力遮蔽」は、1分野の5問の練習問題に出てきます(生体材料など)。
この用語の分野: 生体材料
おうりょくしゃへい
骨よりはるかに硬いインプラントが荷重の大部分を受け持ち、周りの骨への力学的な刺激が減って、骨が吸収されてやせる現象。ストレスシールディングとも呼ぶ。
「応力遮蔽」は、1分野の5問の練習問題に出てきます(生体材料など)。
この用語の分野: 生体材料
骨とインプラントがつながって一緒に荷重を受けると、両者はほぼ同じだけひずむので、応力はヤング率に比例して分担されます。皮質骨のヤング率は約10〜30 GPa ですが、ステンレス鋼は約200 GPa、Co-Cr 合金は約210 GPa、Ti-6Al-4V は約110 GPa です。ヤング率の高い金属が荷重の大部分を受け持つと、周りの骨にかかる応力は本来より小さくなります。骨にとっては荷重が遮られた状態になるので、この現象を応力遮蔽(ストレスシールディング)と呼びます。人工股関節のステムや、骨折を固定するプレートで問題になります。
骨は、受ける力学的な刺激に応じて形成と吸収のバランスを変え、よく使う部分は太く、使わない部分は細くなります(ウォルフの法則)。応力遮蔽で刺激が減った部分では吸収が上回り、骨密度が下がって骨がやせます。その結果、インプラントと骨の間にゆるみが生じたり、インプラントを抜いたあとに骨折しやすくなったりします。長く寝たきりになったときや、無重力の環境で骨が弱くなるのも、同じ仕組みです。人工股関節では、大腿骨の上端に近い部分で骨量の減少が目立つことが多いとされます。
対策の基本は、インプラントの剛性を骨に近づけることです。材料の面では、ヤング率が約55〜80 GPa のβ型チタン合金や、気孔を設けてヤング率を下げた多孔質の金属が開発されています。開いた気孔をもつ多孔質体のヤング率は相対密度のおよそ2乗に比例して下がり、気孔に骨が入り込むことで固定も強まります。形の面では、ステムを細く短くしたり、骨の近い位置で荷重を伝える設計にしたりします。ただし剛性を下げすぎると、インプラントの変形や疲労破壊の恐れがあるので、強度との兼ね合いで決めます。
正解:B. 荷重の大部分をインプラントが受け持ち、周りの骨にかかる応力が減るため、骨が吸収されてやせる
骨とインプラントが一緒に荷重を受けると、両者はほぼ同じだけひずむので、ヤング率の大きいほうが応力の大部分を受け持ちます。皮質骨のヤング率は約10〜30 GPa ですが、Co-Cr 合金は約210 GPa、Ti-6Al-4V は約110 GPa と大きいので、骨にかかる応力は本来より小さくなります。骨は受ける力学的な刺激に応じて形成と吸収のバランスを変える(ウォルフの法則)ので、刺激が減った部分では骨が吸収されてやせ、インプラントのゆるみや周りの骨折の原因になります。骨に過大な応力がかかるのは逆の状況です。不動態皮膜の損傷による金属イオンの溶出は、フレッティング腐食などの別の問題です。
高分子は、ヤング率が骨より低すぎたり、強度、クリープ、疲労の点で荷重に耐えられなかったりすることが多く、大きな荷重を支える部位には単独では向きません。炭素繊維で強化した PEEK のように、ヤング率を骨に近づけた複合材料が、脊椎の固定具などで使われています。
いいえ、逆です。インプラントが荷重を肩代わりするので骨への刺激が減り、骨は吸収されて弱くなります。骨に過大な応力がかかって壊れるのとは反対の問題です。
臨床では、X線画像や骨密度の測定で、インプラントの周りの骨量の変化を追います。設計の段階では、有限要素法で骨とインプラントの応力分布を計算し、インプラントがない場合と比べて骨の応力がどれだけ下がるかを評価します。
また、毒性元素を含まなくても、硬すぎて応力遮蔽を起こしたり、摩耗粉が炎症を起こしたり、血液に触れて血栓をつくったりすれば、その用途には適合しません。
生体材料の生体適合性の考え方として正しいものはどれか。骨だけで受けていた荷重の約85%をインプラントが肩代わりするので、骨への刺激が大きく減り、応力遮蔽が起こります。
皮質骨(ヤング率20 GPa)と、同じ断面積の Ti-6Al-4V(ヤング率110 GPa)の棒が平行に接合され、長さ…β型合金はヤング率が約55〜80 GPa と、α+β型の Ti-6Al-4V(約110 GPa)より低く、骨(約10〜30 GPa)に近づくので、応力遮蔽を減らせます。
Ti-Nb-Ta-Zr 系のようなβ型チタン合金が、骨を固定するインプラント用に開発されてきた主な理由はどれか。開いた気孔は骨が内部に入り込む足場にもなるので、多孔質の金属は応力遮蔽を減らす方法の1つです。
開いた気孔をもつ多孔質のチタンのヤング率を、ギブソン・アシュビーの式 E* = Es(ρ*/ρs)² で見積もる。緻密…ヤング率 不動態 β型チタン合金 生体適合性 オッセオインテグレーション 骨セメント 生分解性高分子 超弾性 ハイドロキシアパタイト