生体材料
イットリア部分安定化ジルコニア(Y-TZP)の人工股関節の骨頭で問題になった低温劣化についての説明として正しいものはどれか。
- A水分のある環境で、表面から正方晶が単斜晶に変態して体積が膨張し、表面が粗くなって強度が下がる
- B体温程度の温度で正方晶がしだいに立方晶に変わり、き裂先端での変態強化がより強く働くようになって靭性が上がる
- C体液中の塩化物イオンによって孔食が起こり、表面に深い穴があく
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正解:A. 水分のある環境で、表面から正方晶が単斜晶に変態して体積が膨張し、表面が粗くなって強度が下がる
Y-TZP は、準安定な正方晶の粒子が、き裂の先端の応力で単斜晶に変態して膨張する変態強化によって、高い靭性をもちます。ところが水分のある環境では、体温程度の低い温度でも、表面から正方晶→単斜晶の変態がゆっくり進みます。約4%の体積膨張で表面に微小なき裂や粒子の脱落が生じ、表面が粗くなって強度や耐摩耗性が下がります。これが低温劣化(水熱劣化)で、製造条件によって変態が加速し、人工骨頭の破損が問題になったことがあります。そのため、アルミナとジルコニアの複合材料などが開発されています。立方晶への変態は低温では起こらず、変態強化を強めるものでもありません。孔食は金属の不動態皮膜が局部的に壊れる腐食で、酸化物セラミックスの劣化の仕組みではありません。