変態強化とは
へんたいきょうか
部分安定化ジルコニアで、き裂先端の応力により正方晶が単斜晶へ変態し、その体積膨張がき裂を閉じて靭性を高める仕組み。
「変態強化」は、2分野の2問の練習問題に出てきます(セラミックス・ガラス, 生体材料など)。
この用語の分野: セラミックス・ガラス
へんたいきょうか
部分安定化ジルコニアで、き裂先端の応力により正方晶が単斜晶へ変態し、その体積膨張がき裂を閉じて靭性を高める仕組み。
「変態強化」は、2分野の2問の練習問題に出てきます(セラミックス・ガラス, 生体材料など)。
この用語の分野: セラミックス・ガラス
ジルコニア(ZrO₂)は、高温から順に立方晶、正方晶、単斜晶をとり、正方晶から単斜晶への変態では約4%体積が膨張します。部分安定化ジルコニアでは、まわりの拘束で準安定な正方晶が室温に残っています。き裂が進むと、先端の引張応力でき裂のまわりの帯状の領域(変態域)の粒が単斜晶に変わり、その膨張がき裂の面に圧縮応力を加えて開口を妨げます。き裂が進むほど変態域が広がるので、き裂の進展に伴って抵抗が増えるR曲線の挙動を示します。
正方晶を残すには、Y₂O₃、MgO、CeO₂などの安定化剤を加えます。約3 mol%のY₂O₃を加えた微細な正方晶の多結晶(3Y-TZP)は、強度と靭性のバランスが良く、最も広く使われています。MgOを加えたMg-PSZは立方晶の母相に正方晶の析出物が分散した組織です。粒が大きすぎると冷却中に自然に単斜晶へ変わってしまい、小さすぎると応力をかけても変態しなくなるので、Y-TZPでは粒径をサブマイクロメートルの適切な範囲にそろえます。
変態強化は、正方晶と単斜晶のエネルギーの差を利用しているので、温度が上がって正方晶がより安定になると効果が小さくなります。そのため高温の構造材料としては、靭性の利点が失われがちです。また、水分のある環境では体温程度でも表面から単斜晶への変態がゆっくり進む低温劣化が起こります。なお名前は「強化」ですが、高めているのは主に破壊靭性で、強度の上限は変態が始まる応力で頭打ちになるため、靭性を上げるほど強度が上がるわけではありません。
部分安定化ジルコニアは、靭性がアルミナの2倍程度と高く、歯科のクラウン、人工股関節の骨頭、刃物、粉砕用のボール、光ファイバーのコネクターの部品などに使われます。アルミナにジルコニアの粒子を分散させたジルコニア強化アルミナ(ZTA)も同じ仕組みを利用しています。破面で単斜晶がどれだけ増えたかは、XRDのピークの強度の比から求められます。鋼の残留オーステナイトが変形中にマルテンサイトに変わって延性を高めるTRIP鋼も、相変態を使うという点で似た考え方です。
正解:A. 水分のある環境で、表面から正方晶が単斜晶に変態して体積が膨張し、表面が粗くなって強度が下がる
Y-TZP は、準安定な正方晶の粒子が、き裂の先端の応力で単斜晶に変態して膨張する変態強化によって、高い靭性をもちます。ところが水分のある環境では、体温程度の低い温度でも、表面から正方晶→単斜晶の変態がゆっくり進みます。約4%の体積膨張で表面に微小なき裂や粒子の脱落が生じ、表面が粗くなって強度や耐摩耗性が下がります。これが低温劣化(水熱劣化)で、製造条件によって変態が加速し、人工骨頭の破損が問題になったことがあります。そのため、アルミナとジルコニアの複合材料などが開発されています。立方晶への変態は低温では起こらず、変態強化を強めるものでもありません。孔食は金属の不動態皮膜が局部的に壊れる腐食で、酸化物セラミックスの劣化の仕組みではありません。
同じ仕組みを指します。英語のtransformation tougheningのとおり、主に高まるのは破壊靭性なので変態靭化ともよばれますが、日本語では変態強化という名前も広く使われています。
起こりません。安定化剤を多く加えた完全安定化ジルコニアは室温まで立方晶で、変態する正方晶がないからです。8 mol%前後のY₂O₃を加えたものは、靭性よりも酸化物イオンの伝導を生かして、燃料電池やセンサーの電解質に使われます。
組成や組織、測定法によって差がありますが、部分安定化ジルコニアではおよそ5〜10 MPa·√m の値が報告されています。アルミナの約3〜5 MPa·√m より高く、セラミックスの中では靭性の高い材料です。
これを応力誘起変態強化といいます。
部分安定化ジルコニアが高い破壊靭性を示す主な理由はどれか。Y-TZP は、準安定な正方晶の粒子が、き裂の先端の応力で単斜晶に変態して膨張する変態強化によって、高い靭性をもちます。
イットリア部分安定化ジルコニア(Y-TZP)の人工股関節の骨頭で問題になった低温劣化についての説明として正しいものはど…