破壊靭性とは
はかいじんせい
き裂のある材料が破壊に抵抗する能力。応力拡大係数の限界値 K_IC(単位 MPa·√m)で表し、K = Yσ√(πa) と比べて破壊を判定する。
「破壊靭性」は、4分野の6問の練習問題に出てきます(機械的性質と破壊, 破壊力学と疲労, セラミックス・ガラスなど)。
この用語の分野: 機械的性質と破壊
はかいじんせい
き裂のある材料が破壊に抵抗する能力。応力拡大係数の限界値 K_IC(単位 MPa·√m)で表し、K = Yσ√(πa) と比べて破壊を判定する。
「破壊靭性」は、4分野の6問の練習問題に出てきます(機械的性質と破壊, 破壊力学と疲労, セラミックス・ガラスなど)。
この用語の分野: 機械的性質と破壊
き裂の先端の応力の強さは、応力拡大係数 K = Yσ√(πa) で表されます。σは遠方の応力、aはき裂の長さ(表面き裂では深さ、内部き裂では長さの半分)、Yはき裂と部材の形で決まる係数です。Kがその材料の限界値に達するとき裂が急に進展して破壊が起こり、この限界値を破壊靭性とよびます。単位は MPa·√m で、応力とき裂の長さの両方を含んでいるのが特徴です。強度だけでなく、き裂に対する強さを数値で比べられるようになります。
破壊靭性の値は板の厚さで変わります。薄い板では平面応力に近くき裂先端の塑性域が大きいので見かけの値が高く、厚い板では平面ひずみ状態になって値が下がり、一定の最小値に落ち着きます。この値が平面ひずみ破壊靭性 K_IC で、添え字のIはき裂を開く向きの荷重(モードI)を表します。K_IC は材料定数として扱え、設計では安全側の値です。目安として、構造用の鋼で50〜150 MPa·√m 程度(高強度のものほど低め)、アルミニウム合金で20〜45程度、アルミナで3〜5程度、ソーダ石灰ガラスで1未満(約0.7〜0.8)です。
一般に、熱処理などで強度を上げると破壊靭性は下がる傾向があります。高強度の材料ほど許容できるき裂は小さくなり、限界き裂長さは (K_IC/σ)² に比例するので、同じ使用応力の割合でも影響が大きく出ます。そのため航空機や圧力容器では、強度だけでなく靭性も合わせて材料を選びます。セラミックスでは、ジルコニアの変態強化や、繊維・粒子によるき裂の架橋などで靭性を高める工夫が行われています。金属では、結晶粒の微細化や介在物の低減が靭性の向上に効きます。
損傷許容設計では、非破壊検査で見落とすおそれのある最大のき裂を想定し、使用応力でのKが K_IC を下回るかを確かめます。さらに疲労き裂の進展速度を表すパリス則と組み合わせて、き裂が限界の長さに達するまでの繰り返し数を見積もり、検査の間隔を決めます。延性が大きく塑性域が広い材料では K で評価しにくいので、J積分やき裂先端開口変位(CTOD)などの弾塑性破壊力学の指標が使われます。どの指標を使うかは、材料の延性と部材の寸法で判断します。
正解:A. 約20 mm
K = K_IC となる条件から a = (1/π)(K_IC/Yσ)² です。K_IC/σ = 50/200 = 0.25 √m なので、a = 0.25²/π = 0.0625/3.14 ≈ 0.0199 m、約20 mm になります。約62.5 mm は π で割るのを忘れた値、約80 mm は2乗をとらずに 0.25/π とした誤りです。限界き裂長さは応力の2乗に反比例するので、応力を半分にすれば許容できるき裂の長さは4倍になります。非破壊検査で見つけられるき裂の大きさとこの限界値を比べるのが、損傷許容設計の考え方です。
正解:C. 拘束が強まって減少し、平面ひずみの値 K_IC に近づく
薄い板では板厚方向の拘束が弱く(平面応力に近く)、き裂先端の塑性域が大きく広がってエネルギーを多く吸収するため、見かけの破壊靭性 K_c は高くなります。板が厚くなると板厚方向の変形が拘束されて平面ひずみの状態になり、塑性域が小さくなって K_c は減少し、ある板厚以上でほぼ一定の最小値 K_IC に落ち着きます。そのため K_IC は材料の定数として扱え、設計では安全側の値として使われます。試験の規格では、平面ひずみが成り立つように (K_IC/降伏応力)² に比例する十分な板厚が求められます。
シャルピー衝撃値は切欠き試験片を壊すのに要したエネルギーで、材料の比較や延性脆性遷移の評価に便利ですが、設計に直接使える値ではありません。破壊靭性はき裂の大きさと応力から破壊を定量的に予測できる材料定数です。
K = Yσ√(πa) で、σがMPa、aがmなので、MPa·√m になります。Yとπは単位のない数です。
アルミナで3〜5 MPa·√m、窒化けい素で5〜8程度、部分安定化ジルコニアで6〜10程度と、金属の数十分の一から数分の一です。そのため小さな欠陥でも破壊しやすく、強度のばらつきが大きくなります。
薄い板では板厚方向の拘束が弱く(平面応力に近く)、き裂先端の塑性域が大きく広がってエネルギーを多く吸収するため、見かけの破壊靭性 K_c は高くなります。
同じ材料で厚さの異なる板の破壊靭性を測ったとき、板厚を増すと、見かけの破壊靭性 K_c はどうなるか。脆い材料はモードIの負荷で最も壊れやすく、き裂はモードIになる向きへ曲がって進む傾向があるので、破壊靭性はふつうモードIの臨界値 K_IC で表します。
き裂の変形様式(モード)のうち、モードIについての説明として正しいものはどれか。最大の応力拡大係数 K_max が破壊靭性 K_IC に近づく高い領域では、速度が急に増えて不安定破壊に至るので、進展が止まるという説明は逆です。
疲労き裂の進展速度 da/dN を、応力拡大係数の範囲 ΔK に対して両対数で描いた曲線についての説明として正しいもの…石英ガラスの熱伝導率は約1.4 W/(m·K) と小さく、破壊靭性も約0.8 MPa·√m とソーダ石灰ガラス並みで、どちらも金属には遠く及びません。
赤熱した石英ガラス(溶融シリカ)を水に入れても割れにくいが、ソーダ石灰ガラスは割れやすい。石英ガラスの熱衝撃抵抗が高い…