焼結とは

しょうけつ

粉末の成形体を融点より低い高温で加熱し、粒子どうしを結合させて緻密化させる工程。表面エネルギーの低下が駆動力。

「焼結」は、5分野の7問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合, セラミックス・ガラス, 電池・エネルギー材料など)。

この用語の分野: セラミックス・ガラス

焼結の3つの段階

焼結は、進み方からおおよそ3つの段階に分けられます。初期段階では粒子どうしの接触部にネックができて太くなり、収縮は数%程度です。中期段階では気孔が粒界に沿ってつながったトンネルになり、緻密化の大部分がここで進みます。相対密度がおよそ92%を超えると、気孔が孤立した閉気孔になる終期段階に入り、残った気孔が粒界から拡散で消えていきます。気孔が閉じると外からガスが抜けにくくなるので、雰囲気の選び方も緻密化に影響します。

駆動力の大きさと粒子の細かさ

焼結の駆動力は表面エネルギーの低下で、曲率をもつ表面には 2γ/r 程度の圧力がかかります。表面エネルギーγを1 J/m²、粒子の半径を0.5 µmとすると約4 MPaです。粒子が細かいほど駆動力が大きく、物質が移動する拡散の距離も短いので、焼結は低い温度・短い時間で進みます。同じ機構なら、焼結に必要な時間は粒子径のべき乗に比例し、体拡散では3乗、粒界拡散では4乗になるというヘリングの相似則があります。

緻密化と粒成長の競争

高温に長く保つと粒成長も進みます。粒界が速く動きすぎると気孔を取り残して粒の内部に閉じ込め、拡散の経路の粒界から離れた気孔はほとんど消えなくなります。アルミナに少量のMgOを加えると粒界の移動が抑えられ、気孔を除いて透光性のアルミナが得られることがよく知られています。また、加圧して駆動力を補うホットプレス、HIP、通電しながら加圧する放電プラズマ焼結なども、粒成長を抑えながら緻密化を進める方法です。

収縮・液相焼結・密度の管理

セラミックスの成形体は相対密度が50〜60%程度なので、緻密化すると大きく縮みます。相対密度55%から完全に緻密にすると、等方的な線収縮は約18%になり、型の寸法はこれを見込んで決めます。窒化けい素はY₂O₃やAl₂O₃を加えて液相を生じさせる液相焼結で緻密化し、超硬合金もCoの液相を利用します。焼結体の密度はアルキメデス法で測り、焼結含油軸受のように、あえて気孔を残して油をしみこませる製品もあります。

焼結の練習問題に挑戦

セラミックス粉末の焼結についての説明として正しいものはどれか。

  1. A焼結の駆動力は、粒子の表面積が減ることによる表面エネルギーの低下である
  2. B表面拡散や蒸発・凝縮によっても粒子の中心どうしが近づくので、成形体は大きく緻密化する
  3. C粒子を細かくするほど、焼結に必要な温度は高くなる
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正解:A. 焼結の駆動力は、粒子の表面積が減ることによる表面エネルギーの低下である

粉末の成形体は表面積が大きく、余分な表面エネルギーをもっています。高温では物質が移動して粒子間のネックが成長し、表面積が減ることで系のエネルギーが下がります。これが焼結の駆動力です。このうち粒界拡散や体拡散によって粒界から物質が運ばれる機構は、粒子の中心どうしの距離を縮めるので緻密化(収縮)をもたらします。一方、表面拡散や蒸発・凝縮はネックを太くするだけで粒子の中心が近づかず、緻密化にはほとんど寄与しません。粒子が細かいほど比表面積が大きく拡散距離も短いので、焼結は低い温度で進みます。

相対密度70%の圧粉体を焼結して相対密度95%にした。収縮が等方的で、質量は変わらないとすると、焼結による線収縮率(長さの減少率)はどれに最も近いか。

  1. A約9.7%
  2. B約26%
  3. C約36%
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正解:A. 約9.7%

質量が変わらないので、体積は密度に反比例し、V/V₀ = 0.70/0.95 ≈ 0.737 です。等方的に縮むので、長さの比は体積比の3乗根で (0.737)^(1/3) ≈ 0.903 となり、線収縮率は 1 − 0.903 ≈ 9.7% です。約26%は体積の収縮率 1 − 0.737、約36%は相対密度の増え方 (0.95 − 0.70)/0.70 で、どちらも長さの減少率ではありません。焼結部品をつくるときは、この収縮を見込んで金型の寸法を大きめにします。金型の壁との摩擦などで圧粉体の密度が場所によって違うと、収縮も場所によって違い、焼結後に反りや寸法のばらつきが生じます。

よくある質問

焼結と溶融はどう違いますか?

焼結は融点より低い温度で、主に原子の拡散によって粒子どうしを結合させます。全体を溶かさないので、成形した形を保ったまま、融点の非常に高い材料も緻密化できます。一部に液相を生じさせる液相焼結でも、主な骨格は固体のままです。

焼結温度の目安はどのくらいですか?

材料、粒子の大きさ、添加物で大きく変わり、一律の値はありません。例えば融点約2072℃のアルミナは1500〜1600℃程度で焼結され、絶対温度で比べると融点の約0.75〜0.8倍にあたります。

焼結体の密度はどうやって測りますか?

空気中と水中での質量の差から体積を求めるアルキメデス法が一般的です。開いた気孔に水がしみこむので、気孔をふさぐ処理をして測るか、飽水させた質量を使って、開気孔率と見かけの密度を区別して求めます。

解説の中の「焼結」

「焼結」が出てくる問題(7問)

  1. セラミックス粉末の焼結についての説明として正しいものはどれか。
  2. 相対密度70%の圧粉体を焼結して相対密度95%にした。収縮が等方的で、質量は変わらないとすると、焼結による線収縮率(長さの減少率)はどれに最も近いか。
  3. WC-Co超硬合金をつくるとき、WC粉末にCo粉末を混ぜて成形し、焼結する。このときの焼結の特徴として正しいものはどれか。
  4. 全固体電池に用いる硫化物系の固体電解質についての説明として正しいものはどれか。
  5. SiC繊維で強化したセラミックス基複合材料(CMC)で、繊維と母材の界面に窒化ホウ素(BN)や熱分解炭素の薄い被覆を設ける主な目的はどれか。
  6. 粉末冶金の部品や鋳物の内部に残った閉じた気孔をなくすために、熱間静水圧プレス(HIP)を行う。その方法として正しいものはどれか。
  7. 内径40 mm、幅30 mmのすべり軸受に半径方向の荷重1.2 kNがかかり、軸が600 rpmで回っている。面圧Pを荷重を投影面積(内径×幅)で割った値、すべり速度vを軸の表面の周速とするとき、PV値はどれに最も近いか。

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