セラミックス基複合材料とは

せらみっくすきふくごうざいりょう

SiCなどのセラミックスを母材とし、セラミックス繊維で強化した複合材料(CMC)。弱い界面で繊維を引き抜かせて、急に壊れない性質を得る。

「セラミックス基複合材料」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(複合材料など)。

この用語の分野: 複合材料

もろさを補う発想

セラミックスは耐熱性に優れますが、小さなき裂から一気に割れるもろさが最大の弱点です。CMCは、母材にき裂が入ってもすぐには壊れないように、セラミックスの繊維で強化した材料です。高分子や金属を母材とする複合材料が主に強度や剛性を上げるために繊維を入れるのに対し、CMCでは壊れ方を変えて靭性を高めることが主な目的です。母材のき裂を繊維が橋渡しし、繊維が界面ではがれて引き抜かれるときにエネルギーを吸収するので、応力とひずみの曲線は途中で途切れず、なだらかに続きます。

代表的な種類とつくり方

CMCには、炭化ケイ素の繊維と母材によるSiC/SiC、炭素繊維で強化したC/SiC、炭素の繊維と母材によるC/C、アルミナ系の繊維と酸化物の母材による酸化物/酸化物などがあります。SiC繊維は、1975年に東北大学の矢島聖使らが、有機ケイ素ポリマーを紡いで焼く方法を発表し、日本で工業化されました。C/Cは非常に高い温度に耐えますが酸化しやすく、表面を保護して使われます。母材は、ガスから析出させる化学気相含浸(CVI)、高分子を含浸して焼くPIP、溶けたケイ素を染み込ませる溶融含浸などでつくります。

設計の考え方と環境への対策

CMCに荷重をかけると、ある応力(比例限度)で母材に細かいき裂が多数入り始め、そこからは繊維が主に荷重を受けます。き裂が入ると、そこを通って酸素や水蒸気が繊維と界面まで入り込んで劣化を進めるので、設計ではこの比例限度を超えないように使うことが多いです。また、SiCは高温の酸素中でSiO₂の保護膜をつくりますが、燃焼ガスのように水蒸気の多い環境ではSiO₂が揮発して減っていきます。そのため、表面を耐環境コーティング(EBC)で覆って使います。

ジェットエンジンでの実用

SiC/SiCのCMCは、密度がNi基超合金の約3分の1と軽く、より高い温度に耐えるので、ジェットエンジンの高温部への応用が進んでいます。2010年代半ばから、民間航空機のエンジンで、タービンの外側を囲むシュラウドなどにCMCが使われ始めました。部品の冷却に使う空気を減らせるので、燃費の改善につながります。製造に時間がかかって高価なこと、内部の損傷の検査が難しいことが課題で、金属の部品とは違う設計と検査の考え方が求められます。ブレーキでは、C/SiCのディスクが高性能な自動車に使われています。

セラミックス基複合材料の練習問題に挑戦

SiC繊維で強化したセラミックス基複合材料(CMC)で、繊維と母材の界面に窒化ホウ素(BN)や熱分解炭素の薄い被覆を設ける主な目的はどれか。

  1. A界面を最も強く接着させて母材から繊維への荷重の伝達を最大にし、繊維によってき裂を止めるため
  2. B被覆が焼結助剤として働き、母材のセラミックスの融点を下げて低温で焼結できるようにするため
  3. C界面を適度に弱くし、き裂をそらして、繊維のはく離と引き抜きでエネルギーを吸収させるため
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正解:C. 界面を適度に弱くし、き裂をそらして、繊維のはく離と引き抜きでエネルギーを吸収させるため

セラミックスの母材は脆いので、負荷がかかるとまず母材にき裂が入ります。界面が強すぎると、このき裂は繊維をそのまま貫いて進み、材料はセラミックス単体と同じように一気に割れます。BN や熱分解炭素のような層状で滑りやすい被覆を設けて界面を適度に弱くすると、き裂は界面に沿ってそれ、繊維はき裂の両側をつなぎながら、はく離と引き抜きで大きなエネルギーを吸収します。その結果、急に壊れない破壊のしかたになり、見かけの靭性が大きく上がります。界面を最も強く接着させるのは、樹脂の母材で荷重の伝達を高めたいときの考え方で、CMC では逆効果です。被覆は焼結温度を下げるためのものではありません。

よくある質問

CMCと普通のセラミックスの違いは何ですか?

普通のセラミックスは、き裂が入ると一気に割れます。CMCでは繊維がき裂を橋渡しし、引き抜かれながらエネルギーを吸収するので、き裂が入っても急には壊れず、ある程度の損傷を許容できます。

CMCで繊維と母材の界面を弱くするのはなぜですか?

界面が強すぎると、母材のき裂が繊維を貫いてそのまま進み、単体のセラミックスと同じように割れるからです。BNなどの被覆で界面を適度に弱くし、き裂をそらして繊維を引き抜かせます。

CMCはどのくらいの温度まで使えますか?

種類と環境によりますが、SiC/SiCでは1200〜1300℃程度での使用がめざされ、Ni基超合金より高い温度で使えるとされます。C/Cは酸素のない環境なら2000℃を超える温度にも耐えます。

「セラミックス基複合材料」が出てくる問題(1問)

  1. SiC繊維で強化したセラミックス基複合材料(CMC)で、繊維と母材の界面に窒化ホウ素(BN)や熱分解炭素の薄い被覆を設ける主な目的はどれか。

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