熱間静水圧プレスとは
ねっかんせいすいあつぷれす
高温で不活性ガスにより全方向から等しく高圧をかけ、粉末を緻密化したり、鋳物や焼結体の内部の閉じた気孔をなくしたりする方法。HIP。
「熱間静水圧プレス」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
ねっかんせいすいあつぷれす
高温で不活性ガスにより全方向から等しく高圧をかけ、粉末を緻密化したり、鋳物や焼結体の内部の閉じた気孔をなくしたりする方法。HIP。
「熱間静水圧プレス」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
HIPは、部品や粉末を詰めたカプセルを高圧容器に入れ、アルゴンなどの不活性ガスを圧力媒体として、高温で全方向から等しい圧力をかける処理です。圧力は100〜200 MPa程度、温度は融点より低く、拡散やクリープが十分に進む範囲で材料ごとに決め、数時間保持します。チタン合金では900℃台、Ni基超合金では1100〜1200℃台が例です。内部の閉じた気孔は、まわりの材料の塑性変形、クリープ、拡散によってつぶれ、向かい合った面が拡散でくっついて消えます。圧力が全方向から等しいので、部品の形はほとんど変わりません。
HIPでつぶせるのは、表面とつながっていない閉じた気孔だけです。開いた気孔には圧力媒体のガスが入り込み、内外の圧力が釣り合ってしまうからです。焼結体では相対密度がおよそ92〜95%を超えて気孔が閉じてから処理し、焼結とHIPを1つの炉で続けて行う方法(シンターHIP)もあります。粉末から直接つくるときは、粉末を金属のカプセルに詰めて真空にして封じ、カプセルごと押し固めます。充填率65%の粉末を真密度まで緻密化すると長さで約13%縮むので、カプセルの形はこの収縮を見込んで設計します。
静水圧の加圧には、常温で液体を圧力媒体にして、ゴム型に入れた粉末を押し固める冷間静水圧プレス(CIP)もあります。CIPは成形体の密度を均一にする成形の工程で、緻密化は後の焼結で行いますが、HIPは高温で処理するので、その場で真密度近くまで緻密化します。黒鉛などの型に入れて一方向から加圧するホットプレスは装置が簡単な反面、形は円板や角板のような単純なものに限られ、密度にも方向による差が出やすくなります。HIPは複雑な形の部品にも等しく圧力をかけられるのが強みです。
HIPは、航空機エンジンの鋳造部品の内部の引け巣や気孔をなくして疲労強度のばらつきを減らす処理として広く使われ、金属の積層造形でつくった部品の後処理にも欠かせなくなっています。粉末から最終形状に近い大型の部品をつくるPM-HIPや、異なる材料を拡散で接合するHIP接合にも使われます。ただし、酸化物などの介在物や、内面が酸化した気孔は、つぶれても接合しにくく、欠陥として残ることがあります。高温に保つので結晶粒の成長や析出物の変化も起こるので、処理後の熱処理と合わせて条件を決めます。
正解:C. 高温で、アルゴンなどの不活性ガスを圧力媒体として、全方向から等しく高い圧力をかける
HIPでは、部品を圧力容器に入れ、高温に加熱しながらアルゴンなどの不活性ガスで100 MPa程度以上の圧力を全方向から等しくかけます。内部の閉じた気孔は、クリープや拡散によってつぶれて消え、形を大きく変えずに密度と疲労強度を高められます。タービンブレードの鋳物や、積層造形でつくった金属部品の気孔をなくすのにも使われます。表面とつながった開いた気孔にはガスが入り込むのでつぶれず、事前に気孔が閉じるまで焼結するか、粉末を金属の容器(カプセル)に封入して処理します。常温でゴム型を使うのは冷間静水圧プレス(CIP)、通電しながら一方向に加圧するのは放電プラズマ焼結などの方法です。
どちらも全方向から等しい圧力をかけますが、HIPは高温で不活性ガスを圧力媒体にして緻密化まで行い、CIPは常温で水や油を圧力媒体にして、ゴム型の粉末を均一に成形します。CIPの成形体は、その後に焼結して緻密化します。
閉じた気孔なら、多くは真密度に近いところまでつぶれます。ただし表面とつながった開いた気孔はつぶれず、内面が酸化した気孔は接合しにくいことがあります。気孔の中にアルゴンなどのガスが閉じ込められていた場合は、あとで再び加熱したときに気孔がふくらむこともあります。
100〜200 MPa程度がよく使われ、大気圧の約1000〜2000倍にあたります。圧力が低すぎると気孔がつぶれるのに時間がかかり、温度が低すぎると材料が変形しにくくなるので、材料ごとに温度、圧力、時間を組み合わせて決めます。