引け巣とは
ひけす
鋳物で、凝固の体積収縮を溶湯で補えなかった部分にできる空洞。最後に凝固する厚肉部に生じやすく、押湯と凝固の順序の設計で防ぐ。
「引け巣」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
ひけす
鋳物で、凝固の体積収縮を溶湯で補えなかった部分にできる空洞。最後に凝固する厚肉部に生じやすく、押湯と凝固の順序の設計で防ぐ。
「引け巣」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
溶湯を鋳型に注いでから室温になるまでに、金属は3段階で縮みます。液体のまま冷える間の液体収縮、液体から固体になるときの凝固収縮、固体になってから室温まで冷える間の固体収縮です。引け巣の原因になるのは前の2つで、その分の溶湯を補給できないと空洞が残ります。凝固収縮は純アルミニウムで約7%と大きく、鋼でも数%あります。一方、固体収縮は鋳物の寸法全体を小さくするもので、鋳型の寸法を大きめにつくる縮みしろで補います。引け巣と寸法の縮みは、原因の段階も対策も異なります。
引け巣を防ぐには、製品のどの部分よりも押湯が後に凝固し、凝固が押湯に向かって順に進むようにします。凝固にかかる時間の目安はチボリノフの式 t = B(V/A)² で、Vは体積、Aは冷却に寄与する表面積、V/Aをモジュラスと呼びます。例えば一辺100 mmの立方体のモジュラスは約16.7 mmです。押湯のモジュラスを経験的に製品の1.2倍程度にすると、凝固時間は1.2² ≈ 1.44倍になり、製品より後まで溶湯が残ります。冷し金で厚い部分の冷却を速める、保温や発熱のスリーブで押湯を長く液体に保つといった方法も併用します。
引け巣の形は、合金の凝固の仕方で変わります。純金属や共晶合金のように狭い温度範囲で凝固するものは、固体の殻が外から内へ育つので、最後に凝固する中心部に大きな引け巣がまとまってできやすくなります。凝固の温度範囲が広い合金では、固体と液体が混ざった領域が広く、デンドライトの間に溶湯が届かなくなって、細かい引け巣が分散してできます(ミクロ引け巣)。灰鋳鉄は、凝固の終わりに黒鉛が晶出するときの膨張が収縮を打ち消すので、押湯が小さくてすみ、引け巣の少ない鋳物になりやすいのが特徴です。
内部の引け巣は外から見えないので、X線透過試験や超音波探傷で調べ、精密な評価にはX線CTも使われます。設計の段階では、鋳造のシミュレーションで凝固の順序と最後に凝固する場所を予測し、押湯や冷し金の位置を決めます。引け巣は耐圧性を損ない、疲労き裂の起点にもなるので、圧力のかかる部品や回転する部品では特に厳しく管理します。表面とつながっていない内部の引け巣は熱間静水圧プレス(HIP)でつぶせますが、表面に開いたものはつぶれないので、溶接で補修するか不合格にします。
正解:C. 液体から固体になるときの体積の収縮を、周りから溶湯で補えないためにできる
多くの金属は凝固のときに体積が数%縮みます(純アルミニウムで約7%)。凝固は鋳型の壁から内側へ進むので、最後に凝固する厚肉部が周りを固体に囲まれて孤立すると、そこでの収縮を溶湯で補えず、内面がでこぼこした引け巣になります。対策は、押湯を製品部より遅く凝固させて溶湯を補給すること、冷し金などで凝固を押湯の方向へ順番に進めることです。溶けていたガスの放出でできるのは、内面がなめらかで丸いガス気孔(ブローホール)で、別の欠陥です。凝固後の収縮が拘束されて割れるのは、割れ(高温割れや冷間割れ)で、空洞の引け巣とは異なります。
引け巣の内面はデンドライトの先端が見えるでこぼこした形で、最後に凝固する厚い部分に集まります。ガス気孔は溶けていたガスが出てできるので、内面がなめらかで丸く、製品のあちこちにできます。X線写真では、引け巣は不規則な形、気孔は丸い影として写ります。
原因の段階が違います。縮みしろは、凝固後の固体が室温まで冷えるときの収縮を見込んで、鋳型を大きめにつくるための寸法の余裕です。引け巣は、それより前の液体の冷却と凝固のときの収縮を溶湯の補給で補えなかったときにできる空洞で、押湯と凝固の順序の設計で防ぎます。
押湯が製品より後に凝固するように、モジュラス(体積÷冷却面積)を製品の厚い部分より大きくとり、経験的には1.2倍程度以上にすることが多いです。さらに、製品の収縮を補うだけの溶湯の量が残ることも必要です。保温や発熱のスリーブを使うと、小さな押湯でも長く液体に保てます。
凝固は鋳型の壁から内側へ進むので、最後に凝固する厚肉部が周りを固体に囲まれて孤立すると、そこでの収縮を溶湯で補えず、内面がでこぼこした引け巣になります。
鋳物の内部、特に最後に凝固する厚肉部の中心に生じやすい空洞「引け巣」の主な原因はどれか。内部の小さな引け巣や気孔も、表面とつながっていなければ圧着されてなくなります。
同じ形状の炭素鋼の部品を、鋳造でつくった場合と熱間鍛造でつくった場合で比べると、一般に鍛造品のほうが靭性や疲労強度に優…