押出しとは

おしだし

コンテナに入れたビレットをラムで押し、ダイの穴から押し出して、断面が一定の長い製品をつくる塑性加工。アルミニウムの形材が代表例。

「押出し」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。

この用語の分野: 材料の加工と接合

方式と押出比

押出しは、加熱したビレットをコンテナに入れ、ラムで押してダイの穴から押し出す加工です。ビレットがコンテナの中を滑って進む直接押出しと、ダイの側を動かしてビレットとコンテナの間の摩擦をなくす間接押出しのほか、ビレットのまわりを液体で囲んで圧力をかける静水圧押出しもあります。加工の度合いは押出比 R = A₀/A(元の断面積と製品の断面積の比)で表し、アルミニウム合金では数十を超える押出比も可能です。材料に圧縮の応力がかかるので、1回で大きな変形を与えられるのが特徴です。

引抜きとの違い

ダイを通して断面を細くする点では引抜きも同じですが、引抜きは製品の側を引っ張るので、引き抜く応力が材料の強さを超えると製品がちぎれてしまいます。摩擦などを無視した理想的な場合でも引抜きの応力は Y ln R(Yは変形抵抗)なので、ln R は1を超えられず、1回の断面減少率は最大でも約63%に限られます。押出しはビレットを後ろから押すのでこのような限界がなく、R = 40 なら理想的な圧力は Y ln R ≈ 3.7Y になります。必要な圧力は高くなりますが、大きな断面の変化を一度に与えられます。

中空の形材と押出しの温度

アルミニウムのサッシや熱交換器の管のような中空の形材は、ポートホールダイ(ブリッジダイ)でつくります。ダイの中でいったん材料を数本の流れに分け、マンドレルのまわりで再び合わせて圧着させるので、製品には長さ方向の溶着部が残ります。6000系のアルミニウム合金はビレットをおよそ400〜500℃に加熱して押し出し、変形の発熱でさらに高温になった形材を、ダイを出た直後に空気や水で冷やして時効させると、別に溶体化処理をしなくても強度を出せます(T5処理)。押出しの速さや温度が高すぎると、摩擦と変形の発熱で表面に細かな割れができるので、合金ごとに条件を管理します。

欠陥と材料ごとの使われ方

ビレットの最後の部分まで押し切ると、表面の酸化物や汚れが中心へ巻き込まれる欠陥ができるので、端の部分は製品にせず切り捨てます。押出比が小さくダイの角度が大きい条件では、内部に矢じり形の割れ(シェブロン割れ)が生じることもあります。押出しはアルミニウム合金の形材のほか、銅合金の棒や管、鋼の継目なし管、チタン合金の部材にも使われます。鋼のように高い温度で押し出す材料では、ガラスの粉を潤滑剤に使う方法があります。樹脂や食品をスクリューで連続的に送り出す押出成形も、断面一定の製品をつくる点で同じ考え方です。

押出しの練習問題に挑戦

直径100 mmのアルミニウム合金のビレットを熱間押出しして、直径25 mmの丸棒にする。押出比 R = A₀/A(断面積の比)を使い、摩擦や余分な変形を無視した理想的な押出し圧力を p = Y ln R、変形抵抗を Y = 50 MPa とすると、p はどれに最も近いか。

  1. A約69 MPa
  2. B約139 MPa
  3. C約800 MPa
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正解:B. 約139 MPa

断面積は直径の2乗に比例するので、押出比は R = (100/25)² = 16 です。p = Y ln R = 50 × ln 16 ≈ 50 × 2.77 ≈ 139 MPa になります。約69 MPa は直径の比4の対数をとった値、約800 MPa は対数をとらずに Y × R とした値です。実際の押出し圧力は、コンテナの壁やダイとの摩擦、材料の内部で起こる余分なせん断変形のぶん、この理想値よりかなり大きくなります。ビレットがコンテナの中を滑って動く直接押出しよりも、ダイ側を動かしてビレットとコンテナの間に滑りが生じない間接押出しのほうが、必要な圧力は小さくなります。

よくある質問

押出比とは何ですか?

押し出す前のビレットの断面積を、押し出した製品の断面積で割った比です。丸棒なら直径の比の2乗になります。押出比が大きいほど変形が大きく、必要な押出し圧力も大きくなり、理想的な場合は押出比の自然対数に比例します。

直接押出しと間接押出しはどう使い分けますか?

直接押出しは装置が簡単で、さまざまな形の製品に使えますが、ビレットとコンテナの摩擦の分だけ大きな力が必要です。間接押出しは摩擦が小さいので力が少なくてすみ、ビレットの温度も上がりにくく品質がそろいやすい一方、中空のラムを通して製品を取り出すので、製品の大きさや形に制約があります。

押出しでつくった形材はなぜ断面が一定なのですか?

材料がダイの穴の形をそのまま通り抜けて出てくるからです。ダイの穴の形を変えれば、L形、H形、中空の複雑な断面もつくれます。ただし、断面の厚い部分と薄い部分で材料の流れる速さが違うと曲がりやねじれが出るので、ダイの中で流れをそろえる工夫をします。

解説の中の「押出し」

「押出し」が出てくる問題(1問)

  1. 直径100 mmのアルミニウム合金のビレットを熱間押出しして、直径25 mmの丸棒にする。押出比 R = A₀/A(断面積の比)を使い、摩擦や余分な変形を無視した理想的な押出し圧力を p = Y ln R、変形抵抗を Y = 50 MPa とすると、p はどれに最も近いか。

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