炭素当量とは
たんそとうりょう
鋼の合金元素が焼入れ性を高める効果を炭素量に換算して合計した値。Ceqが高い鋼ほど溶接熱影響部が硬化し、低温割れが起こりやすい。
「炭素当量」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
たんそとうりょう
鋼の合金元素が焼入れ性を高める効果を炭素量に換算して合計した値。Ceqが高い鋼ほど溶接熱影響部が硬化し、低温割れが起こりやすい。
「炭素当量」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(材料の加工と接合など)。
この用語の分野: 材料の加工と接合
炭素当量は、鋼に含まれる合金元素が焼入れ性、つまり急冷でマルテンサイトになりやすい性質を高める効果を、炭素の量に換算して合計した値です。溶接では母材の熱影響部が急冷されるので、焼入れ性の高い鋼ほど硬く、もろくなります。炭素当量は、鋼の化学組成だけから溶接で硬化しやすいかどうかを見積もる手軽な指標で、予熱が必要かどうか、どの程度の温度にするかを決める出発点になります。各元素の係数は、その元素が硬化に与える効果を、炭素1%の効果と比べて実験から決めたものです。
国際溶接学会(IIW)の式 Ceq = C + Mn/6 + (Cr + Mo + V)/5 + (Ni + Cu)/15 は炭素量の多めの鋼に、伊藤と別所が提案した Pcm = C + Si/30 + (Mn + Cu + Cr)/20 + Ni/60 + Mo/15 + V/10 + 5B は炭素量の少ない高張力鋼に使われます。C 0.12%、Si 0.30%、Mn 1.40%、Cu 0.20%、Ni 0.20%、Cr 0.10%、Mo 0.05% の鋼なら、Ceq は約0.41%、Pcm は約0.22%です。値は式で違うので、式を必ず示します。
同じ炭素当量という名前でも、鋳鉄では意味が違います。鋳鉄の炭素当量は CE = C + (Si + P)/3 などで表し、ケイ素やりんが共晶点を低い炭素量の側へずらす効果を炭素に換算したものです。CEが約4.3%で共晶組成になり、それより低いものを亜共晶、高いものを過共晶の鋳鉄と呼びます。例えば C 3.4%、Si 2.4%、P 0.1% の鋳鉄では CE は約4.23%で、共晶に近い組成です。鋳鉄のCEは凝固の仕方や黒鉛の出方、湯流れを見積もるもので、鋼の溶接性の炭素当量とは目的が別です。
炭素当量が高いほど、溶接の低温割れを防ぐために高い予熱温度が必要になります。実際の予熱温度は、炭素当量のほか、板厚(厚いほど冷却が速い)、溶接金属の拡散性水素の量、継手の拘束の強さを組み合わせて、規格や指針の方法で決めます。鋼をつくる側では、制御圧延と加速冷却(TMCP)で結晶粒を細かくし、炭素や合金元素を減らしたまま強度を確保して、炭素当量の低い溶接しやすい鋼板を製造しています。建築や橋に使う鋼材の規格には、炭素当量や Pcm の上限を定めているものがあります。
正解:B. 約0.51%
各項を計算すると、C = 0.20、Mn/6 = 0.20、(Cr + Mo + V)/5 = 0.40/5 = 0.08、(Ni + Cu)/15 = 0.45/15 = 0.03 で、合計 Ceq = 0.51% になります。約0.40%はCとMnの項だけで止めた値、約2.25%は係数で割らずに元素の量をそのまま足した値です。炭素当量は、それぞれの合金元素が焼入れ性を高める効果を炭素の量に換算して合計したものです。Ceqが高い鋼ほど、溶接の熱影響部が急冷されて硬いマルテンサイトになりやすく、低温割れの危険が高くなります。目安として、Ceqがおよそ0.4%以下なら予熱なしで溶接できることが多く、それを超えると板厚や拘束、水素量に応じて予熱が必要になります。
IIWの Ceq は炭素量の比較的多い鋼の硬化性の目安として広く使われ、Pcm は炭素量の少ない高張力鋼の低温割れの起こりやすさをよく表すとされます。Pcm は係数が小さいので、同じ鋼でも Ceq より小さい値になります。どちらを使うかは、鋼種と準拠する規格で決まります。
溶接できないわけではありません。予熱と後熱で冷却を遅くし、低水素の溶接材料を乾燥させて使い、入熱を管理すれば溶接できます。ただし条件の管理が厳しくなり手間と費用が増えるので、溶接する構造物には炭素当量の低い鋼を選ぶのが一般的です。
IIWの式では、ケイ素の焼入れ性への効果が小さいとして省かれています。Pcm や日本の規格の式のように、ケイ素を小さな係数で含める式もあります。どの元素をどの係数で入れるかは、もとにした実験の鋼の範囲によって違います。
炭素当量は、それぞれの合金元素が焼入れ性を高める効果を炭素の量に換算して合計したものです。
鋼の溶接性の目安となる炭素当量を Ceq = C + Mn/6 + (Cr + Mo + V)/5 + (Ni + C…焼入れ性 溶接熱影響部 マルテンサイト インベストメント鋳造 鋭敏化 押出し スプリングバック 熱間静水圧プレス 引け巣