回復とは

かいふく

冷間加工した金属を加熱したとき、再結晶の前に転位の消滅や再配列が起こり、内部応力や電気抵抗が下がる過程。硬さはあまり変わらない。

「回復」は、4分野の7問の練習問題に出てきます(金属材料と合金, 材料の加工と接合, 熱処理と金属材料など)。

この用語の分野: 金属材料と合金

回復の練習問題に挑戦

冷間加工した金属を、再結晶が起こらない程度の温度で加熱したときに起こる回復についての説明として正しいものはどれか。

  1. A転位が再配列して内部応力が下がるが、硬さや強度はあまり下がらない
  2. Bひずみのない新しい結晶粒に置き換わり、転位密度が下がって硬さが大きく下がる
  3. C粒界が移動して結晶粒が数倍の大きさまで粗大化し、硬さも強度も大きく下がる
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正解:A. 転位が再配列して内部応力が下がるが、硬さや強度はあまり下がらない

回復は、加工で増えた転位が消滅したり、低いエネルギーの配列(小角粒界をつくるポリゴン化)に並び替わったりする過程です。転位の総量は大きくは減らないので、硬さや強度はあまり下がりませんが、内部応力(残留応力)が下がり、点欠陥の減少などで電気抵抗はよく回復します。加工品の形を保ったまま応力だけを除きたいときの応力除去焼なましは、この回復を利用しています。ひずみのない新しい結晶粒が生まれ、転位密度が大きく下がって硬さが低下するのは、より高温で起こる再結晶です。結晶粒の成長は再結晶のあとに続く粒成長で、どちらも回復とは別の段階です。

板を曲げ加工して型から外したとき、弾性回復で曲げ角度が戻るスプリングバックが大きくなりやすいのはどれか。板厚と曲げ半径は同じとする。

  1. A降伏応力が低く、ヤング率が高い、軟らかく剛い材料
  2. B降伏応力やヤング率によらず、加工の速度だけで決まる
  3. C降伏応力が高く、ヤング率が低い材料
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正解:C. 降伏応力が高く、ヤング率が低い材料

曲げた板の断面には、塑性変形したあとも降伏応力程度の応力が残っていて、荷重を除くとその応力に応じた弾性ひずみ(およそ σ/E)の分だけ戻ります。したがって、降伏応力が高いほど、またヤング率が低いほどスプリングバックが大きくなります。同じヤング率で強度の高い高張力鋼板や、ヤング率が鋼の約3分の1のアルミニウム合金板は、スプリングバックが大きく、形状を合わせるのが難しくなります。軟らかく剛い材料とする選択肢は逆で、加工の速度だけで決まるとする選択肢も誤りです。対策として、戻る分だけ余分に曲げる、型で強く押し付けて曲げ部を塑性変形させる、などの方法があります。

解説の中の「回復」

「回復」が出てくる問題(7問)

  1. 冷間加工した金属を、再結晶が起こらない程度の温度で加熱したときに起こる回復についての説明として正しいものはどれか。
  2. 板を曲げ加工して型から外したとき、弾性回復で曲げ角度が戻るスプリングバックが大きくなりやすいのはどれか。板厚と曲げ半径は同じとする。
  3. 焼入れした鋼に焼戻しを行う主な目的はどれか。
  4. 冷間加工した金属を加熱したときの再結晶についての説明として正しいものはどれか。
  5. 再結晶温度の目安を融点(絶対温度)の0.4倍とするとき、熱間加工にあたるのはどれか。融点は鉛327℃、タングステン3422℃、鉄1538℃とする。
  6. 同じ形状の炭素鋼の部品を、鋳造でつくった場合と熱間鍛造でつくった場合で比べると、一般に鍛造品のほうが靭性や疲労強度に優れる。その理由として正しいものはどれか。
  7. 一定の荷重と温度のもとで測ったクリープ曲線(ひずみと時間の関係)の3つの段階についての説明として正しいものはどれか。

関連する用語

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