生体材料
歯列矯正のワイヤやステントに使われる Ni-Ti 合金(約50 at%Ni)の超弾性の仕組みとして正しいものはどれか。使用温度は逆変態終了温度Afより高いとする。
- A転位のすべりによる塑性変形が起こるが、Ni-Ti では除荷すると転位が逆向きに動いて元に戻る
- B微細な析出物が転位の動きを止めるので、ヤング率が鋼より大きくなり、変形しにくくなる
- C負荷によって母相がマルテンサイトに変態し(応力誘起マルテンサイト変態)、除荷すると母相に逆変態してひずみが戻る
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正解:C. 負荷によって母相がマルテンサイトに変態し(応力誘起マルテンサイト変態)、除荷すると母相に逆変態してひずみが戻る
Af より高い温度では、B2構造の母相が安定です。そこに応力をかけると、ある応力で母相がマルテンサイトに変態し(応力誘起マルテンサイト変態)、応力がほぼ一定のまま大きなひずみが生じます。除荷するとマルテンサイトは不安定になって母相に戻るので、6〜8%程度のひずみまで元に戻ります。この、ほぼ一定の力で大きく変形して戻る性質が、歯を一定の力で動かす矯正ワイヤや、細く畳んで血管に入れるステントに生かされています。転位のすべりによる塑性変形は、除荷しても戻らない永久ひずみです。析出物で強化しても降伏応力が上がるだけで、ヤング率はほとんど変わらず、超弾性の説明にはなりません。