固体高分子形燃料電池とは
こたいこうぶんしけいねんりょうでんち
スルホン酸基をもつ高分子膜を電解質とし、水を含んだ膜でプロトンを通す燃料電池。PEFCと書き、膜の乾燥を防ぐため加湿し、約80℃で作動する。
「固体高分子形燃料電池」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(電池・エネルギー材料など)。
この用語の分野: 電池・エネルギー材料
こたいこうぶんしけいねんりょうでんち
スルホン酸基をもつ高分子膜を電解質とし、水を含んだ膜でプロトンを通す燃料電池。PEFCと書き、膜の乾燥を防ぐため加湿し、約80℃で作動する。
「固体高分子形燃料電池」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(電池・エネルギー材料など)。
この用語の分野: 電池・エネルギー材料
PEFCでは、アノードで水素が H₂ → 2H⁺ + 2e⁻ と酸化され、プロトンは電解質の膜を、電子は外部の回路を通ってカソードへ移り、カソードで O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ → 2H₂O と酸素が還元されます。全体の反応は水素と酸素から水ができる反応で、25℃で液体の水ができるときの標準ギブスエネルギー変化は水1 molあたり −237.1 kJ なので、理論の起電力は E° = −ΔG°/(2F) ≈ 1.23 Vです。生成する水は空気の側から排出され、運転中に二酸化炭素を出しません。
実際の単セルの電圧は、電流を取り出すと0.6〜0.8 V程度まで下がります。最大の損失はカソードの酸素還元反応の遅さによる活性化の過電圧で、白金の触媒を使っても大きく残ります。電流が増えると膜や接触の抵抗による損失が、さらに大電流では酸素や水の移動が追いつかない物質移動の損失が加わります。理論効率の上限 ΔG/ΔH は高位発熱量の基準で約83%ですが、0.7 Vで動かすと電圧の上での効率は約47%になります。必要な電圧は、単セルを数百枚重ねたスタックで得ます。
電解質の膜(厚さ10〜50 µm程度)の両側に、白金の微粒子をのせたカーボンと高分子電解質を混ぜた触媒層、ガス拡散層を重ねたものを膜電極接合体(MEA)と呼び、流路の溝をもつセパレーターで挟んでセルにします。膜は乾くとプロトンを通しにくくなりますが、水が多すぎると触媒層やガス拡散層の細孔が水でふさがり、ガスが届かなくなります(フラッディング)。プロトンが水を引き連れてカソードへ運ぶ電気浸透も起こるので、加湿の量と排水の釣り合いをとる水の管理が性能の鍵になります。
低い温度で動くPEFCでは、白金の表面に一酸化炭素が強く吸着して触媒の働きを妨げます(CO被毒)。燃料電池自動車用の水素の国際規格(ISO 14687)ではCOを0.2 ppm以下に抑えるよう定めており、都市ガスを改質して水素をつくる家庭用のシステムでは、COを除く工程が欠かせません。PEFCは低温で起動が速く出力の密度が高いので、燃料電池自動車や、2009年に販売が始まった家庭用の燃料電池(エネファーム)などに使われています。白金の使用量を減らすことが、コストの大きな課題です。
正解:C. スルホン酸基をもつフッ素系の高分子膜で、水を含んでプロトンを通すため、100℃程度以下で作動させる
PEFC の電解質には、フッ素樹脂の主鎖にスルホン酸基(−SO₃H)のついた側鎖をもつ高分子膜が使われます。膜が水を含むとスルホン酸基の集まった親水性の通り道ができ、そこをプロトンが水とともに移動します。乾くと伝導率が大きく下がるので加湿が必要で、膜の水が失われないよう、作動温度は100℃程度以下、一般には約80℃にします。O²⁻ を通すセラミックス膜を700℃以上で使うのは固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、安定化ジルコニアなどを用います。炭酸塩の融液を電解質として約650℃で作動させるのは溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)です。電解質の違いが、それぞれの作動温度と使える燃料、触媒を決めています。
同じものです。日本では固体高分子形燃料電池(PEFC)、英語圏ではプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)と呼ぶことが多く、どちらも高分子膜を電解質とする燃料電池を指します。
PEFCはプロトンを通す高分子膜を使って約80℃で動くので、起動が速く自動車に向きます。SOFCは酸化物イオンを通すセラミックスを使って700℃以上で動くので、白金がいらず発電の効率が高い一方、起動に時間がかかります。
約80℃の低い温度では、酸素の還元と水素の酸化の反応が遅く、白金のような活性の高い触媒がないと十分な電流が得られないからです。白金の量を減らす触媒や、白金を使わない触媒の研究が進められています。