原子充填率とは
げんしじゅうてんりつ
原子を剛体球とみなしたとき、単位胞の体積に占める原子の体積の割合。SCは約0.52、BCCは約0.68、FCCとHCPは約0.74。
「原子充填率」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(結晶構造とミラー指数など)。
この用語の分野: 結晶構造とミラー指数
げんしじゅうてんりつ
原子を剛体球とみなしたとき、単位胞の体積に占める原子の体積の割合。SCは約0.52、BCCは約0.68、FCCとHCPは約0.74。
「原子充填率」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(結晶構造とミラー指数など)。
この用語の分野: 結晶構造とミラー指数
原子充填率は、単位胞の中の原子の数n、原子半径r、単位胞の体積Vから n×(4/3)πr³/V で求めます。手順は、①単位胞の原子数を共有を考えて数える、②原子どうしが接する方向から格子定数aとrの関係を決める、③体積の比を計算する、の3段階です。SC(a = 2r)では π/6 ≈ 0.52、BCC(√3a = 4r)では √3π/8 ≈ 0.68、FCC(√2a = 4r)では π/(3√2) ≈ 0.74 になります。結果はrによらず、構造だけで決まります。
一般に配位数が大きい構造ほど充填率は高く、SC(配位数6)、BCC(8)、FCCとHCP(12)の順に大きくなります。ただし充填率は形の割合を表すだけで、密度は原子の質量と単位胞の大きさから ρ = nM/(N_A a³) で決まります。同じ鉄でも、BCCのα鉄からFCCのγ鉄に変わると原子1個あたりの体積が約1%減るように、同じ元素どうしなら充填率の違いが体積の変化として現れます。異なる元素の密度の比較には使えない点に注意が必要です。
共有結合のダイヤモンド構造は、配位数が4で充填率は √3π/16 ≈ 0.34 しかありませんが、ダイヤモンドは最も硬い物質の1つです。充填率は剛体球を詰めたときの幾何学の値で、結合の強さや方向性は表しません。また、実際の原子の大きさは配位数で少し変わり、配位数が下がると見かけの半径はやや小さくなります。さらに、充填率が高い構造ほどすき間1つ1つが小さいわけでもなく、母体の原子半径との比で比べると、FCCの八面体位置はBCCのどのすき間より大きくなります。
イオン結晶では、陽イオンと陰イオンの半径を使って計算します。NaCl型構造の塩化ナトリウム(Na⁺ 0.102 nm、Cl⁻ 0.181 nm、a = 0.564 nm)では約0.65です。面の上での原子の詰まり方を表す面の充填率も同じ考え方で求められ、FCCの{111}面は π/(2√3) ≈ 0.91、BCCの{110}面は約0.83です。面の充填率は、すべり面の決まり方、表面エネルギー、エッチングや結晶成長の速さの面方位による違いを考えるときの手がかりになります。
正解:B. 約0.74
FCCでは原子が面の対角線方向で接するので √2a = 4r、すなわち a = 2√2r です。単位胞に原子が4個あるので、充填率は 4×(4/3)πr³ / (2√2r)³ = π/(3√2) ≈ 0.74 になります。約0.68はBCC(体対角線方向で接して a = 4r/√3、原子2個)の値、約0.52はSC(a = 2r、原子1個で π/6)の値です。HCPも理想的な c/a のときは0.74で、FCCと並ぶ最密充填構造です。充填率が高いからといって、すき間1つ1つが大きいとは限らない点にも注意しましょう。
充填率は単位胞の体積に占める原子の体積の割合で、単位のない量です。密度は単位体積あたりの質量で、充填率が同じFCCでもアルミニウム(約2.70 g/cm³)と銅(約8.96 g/cm³)では大きく違います。
単位胞の原子が8個で、原子は体対角線の方向に a√3/4 の距離で接するので、充填率は √3π/16 ≈ 0.34 です。シリコンやゲルマニウムも同じ構造で、すき間の多い構造です。
接する方向の条件でaがrの定数倍に決まるので、原子の体積も単位胞の体積もrの3乗に比例し、比をとるとrが消えるからです。構造が同じなら、どの元素でも同じ値になります。