Cu Kα線(波長0.15406 nm)を用いたXRDで、面間隔0.3135 nmのSi(111)面からの1次の回折ピークが現れる回折角2θはどれに最も近いか。
- A約14.2°
- B約28.4°
- C約58.9°
格子定数aとミラー指数(hkl)から面間隔と回折角2θを求め、結晶構造ごとの消滅則でピークが出るかどうかを確かめます。既定値はBCCの鉄(a = 0.2866 nm)とCu Kα線(λ = 0.15406 nm)です。
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1次の回折(n = 1)で計算しています。λ/2d が1を超える面は、その波長では回折しません。ピークの強度(構造因子の大きさや多重度、温度因子)は計算していません。
ほかの入力は今の値のまま、選んだ入力だけを今の値の1/4〜4倍の範囲で変えたときの結果です。赤い点が今の値です。
結晶に波長λのX線を当てると、間隔dで並んだ原子面からの反射が強め合う角度θで、強い回折が起こります。この条件がブラッグの法則 nλ = 2d·sinθ です。立方晶では、ミラー指数(hkl)の面の間隔は d = a/√(h² + k² + l²) で求められます。既定値のBCC鉄(a = 0.2866 nm)の(110)面では、d = 0.2866/√2 ≈ 0.2027 nmで、Cu Kα線(λ = 0.15406 nm)なら sinθ = 0.15406/(2 × 0.2027) ≈ 0.380、2θ ≈ 44.68° になります。XRDの装置は2θを横軸にしたパターンを出すので、計算もふつう2θで比べます。
単位胞の中に複数の原子があると、それぞれからの散乱波が打ち消し合い、ある面の回折強度がゼロになることがあります。これを消滅則といい、構造因子 F = Σ f·exp(2πi(hx + ky + lz)) を計算すると導けます。体心立方では h + k + l が偶数の面だけが現れ、(100)は消えて(110)、(200)、(211)、(220)…と続きます。面心立方では h・k・l が全部偶数か全部奇数の面だけで、(111)、(200)、(220)、(311)…です。ダイヤモンド構造(Si、Geなど)ではさらに、全部偶数の場合は h + k + l が4の倍数でなければならず、(200)は消えて(111)、(220)、(311)、(400)…となります。
立方晶では sin²θ が h² + k² + l² に比例するので、低角側から順にピークの sin²θ の比をとると、構造を見分けられます。BCCでは比が 2 : 4 : 6 : 8 …(1 : 2 : 3 : 4 …)、FCCでは 3 : 4 : 8 : 11 : 12 …と並びます。SCは 1 : 2 : 3 : 4 : 5 : 6 : 8 …で、7が抜けるのが特徴です。最初の2本の比が 3 : 4 ならFCC、1 : 2 ならBCCかSC(比の並びに7が抜けていればSC)と見当がつきます。この計算機で構造を切り替えて、ピークの一覧がどう変わるかを確かめてみてください。
実測のピーク位置は、試料の高さのずれ(試料偏心)、ゼロ点の誤差、合金元素による格子定数の変化、残留応力などで、計算から0.1°程度ずれることがあります。格子定数を正確に求めるときは、高角側の複数のピークを使って外挿します。また、Cu Kα線にはKα1(0.15406 nm)とKα2(0.15444 nm)があり、高角側ではピークが2つに分かれて見えます。ピークの幅は結晶子サイズやひずみで広がり、シェラー式 D = Kλ/(β·cosθ) で結晶子サイズの目安を見積もれます。
正解:C. (111)
FCCでは、h、k、lがすべて偶数か、すべて奇数のときだけ回折が現れ、偶数と奇数が混在すると単位胞内の4個の原子からの散乱が打ち消し合って強度が0になります(消滅則)。そのためピークは(111)、(200)、(220)、(311)…の順に現れ、h² + k² + l² が最小の(111)が最も面間隔が大きく、最も低角の側になります。(100)と(110)はどちらも偶数と奇数が混在するので、FCCでは現れません。BCCでは h + k + l が偶数の面だけが現れるので、最初のピークは(110)になり、ピークの並び方からFCCとBCCを見分けられます。
正解:C. 約0.362 nm
θ = 21.65° で sinθ ≈ 0.3689 なので、ブラッグの法則から d = λ/(2 sinθ) ≈ 0.2088 nm です。FCCで最も低角の側のピークは(111)なので、a = d × √(1² + 1² + 1²) = 0.2088 × √3 ≈ 0.362 nm となり、銅の格子定数(約0.3615 nm)と一致します。約0.209 nm は面間隔dそのもので、格子定数への換算をしていません。約0.295 nm は最初のピークを(110)とみなして √2 を掛けた値で、BCCの消滅則を当てはめた誤りです。ピークの指数づけを正しく行うことが、格子定数を決める前提になります。
回折の次数です。n = 2 の(110)面の回折は、面間隔が半分の(220)面の1次の回折と同じ角度に現れます。そのためXRDでは、ふつう n = 1 として、(220)のように指数を2倍にした面で表します。
体心の原子が、角の原子がつくる(100)面のちょうど中間に同じ密度の面をつくり、そこからの散乱波が半波長ずれて打ち消し合うからです。h + k + l が奇数の面はすべて同じ理由で消えます。
Kα1が0.15406 nm、Kα2が0.15444 nmで、強度比はおよそ2 : 1です。分けずに扱うときは重み付き平均の約0.15418 nmを使うこともあります。ほかにCo Kα(約0.1789 nm)、Mo Kα(約0.0709 nm)などもよく使われます。