材料の熱的性質
ダイヤモンドは電気の絶縁体なのに、室温の熱伝導率が約2000 W/(m·K) と、銅(約400 W/(m·K))より大きい。主な理由はどれか。
- A軽い炭素原子が強い共有結合で結ばれていて音速が大きく、熱を運ぶフォノンが散乱されにくいから
- Bバンドギャップが大きいほど熱で励起される伝導電子が多くなり、金属と同じようにその電子が熱を運ぶから
- C結晶の中に自由に動ける正孔が非常に多く、金属の伝導電子と同じように、正孔が熱の大部分を運ぶから
答えと解説を見る
正解:A. 軽い炭素原子が強い共有結合で結ばれていて音速が大きく、熱を運ぶフォノンが散乱されにくいから
絶縁体の中では、熱は主に格子振動の波であるフォノンが運びます。熱伝導率は κ = (1/3)Cvl のように、比熱 C、音速 v、平均自由行程 l の積で表されます。ダイヤモンドは原子が軽く結合が強いので、デバイ温度が約1900〜2200 K と高く、音速が大きく、室温ではフォノンどうしの散乱も起こりにくいので l が長くなります。そのため約2000 W/(m·K) と、銅の約400 W/(m·K) を上回ります。バンドギャップが約5.5 eV と大きいダイヤモンドでは、室温で熱励起される電子や正孔はほとんどなく、熱の担い手にはなりません。銅などの金属では、熱の大部分を伝導電子が運びます。