材料の熱的性質
絶縁体の単結晶の格子熱伝導率は、デバイ温度と同程度以上の温度では、温度を上げるとおよそ 1/T に比例して下がる。主な理由はどれか。
- Aデバイ温度を超えると比熱が温度に反比例して下がり、フォノンが運ぶ熱が減るから
- Bフォノンの数が増えて、運動量が保存されないフォノンどうしの散乱(ウムクラップ過程)が増えるから
- C温度が上がると格子が膨張して、結晶の表面や粒界でのフォノンの散乱が増え、平均自由行程が短くなるから
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正解:B. フォノンの数が増えて、運動量が保存されないフォノンどうしの散乱(ウムクラップ過程)が増えるから
フォノンどうしの衝突のうち、運動量の和が保存される正常過程は熱の流れをほとんど妨げませんが、運動量の和が逆格子ベクトルの分だけ変わるウムクラップ過程は熱流を打ち消す向きに働き、熱抵抗の主な原因になります。高温ではフォノンの数が温度に比例して増えるので、平均自由行程はおよそ 1/T で短くなり、比熱はほぼ一定なので κ ∝ 1/T になります。デバイ温度より上では原子1 molあたりの比熱はほぼ3Rで一定で、比熱が大きく下がるのは、むしろ低温の側です。表面や粒界での散乱は温度にほとんどよらず、フォノンの平均自由行程が長くなる極低温で効く散乱で、そこでは κ は比熱と同じように温度とともに小さくなります。