材料の熱的性質
純銅(室温の熱伝導率約400 W/(m·K))に亜鉛を約30%固溶させた黄銅では、熱伝導率が約120 W/(m·K) に下がる。主な理由はどれか。
- A亜鉛は熱をほとんど伝えない物質なので、その体積の分だけ熱の通り道が減るから
- B固溶によって格子が軟らかくなり、熱の大部分を運ぶフォノンの速さが大きく下がるから
- C溶質原子が伝導電子を散乱して平均自由行程が短くなり、電気伝導率とともに熱伝導率が下がるから
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正解:C. 溶質原子が伝導電子を散乱して平均自由行程が短くなり、電気伝導率とともに熱伝導率が下がるから
金属の熱は主に伝導電子が運ぶので、熱伝導率は電気伝導率とほぼ比例し、ヴィーデマン・フランツの法則で結ばれています。銅の格子に入った亜鉛原子は原子の並びの周期性を乱して電子を散乱するので、電子の平均自由行程が短くなり、黄銅の電気伝導率は純銅の3割ほどになります。熱伝導率も同じように約400から約120 W/(m·K) へ下がります。亜鉛そのものは熱伝導率が約116 W/(m·K) の金属で、熱を伝えない物質ではありません。金属ではフォノンが運ぶ熱はもともと一部にすぎないので、格子の性質が少し変わっても、ここまで大きな低下の説明にはなりません。