材料の熱的性質
Fe-36%Ni合金(インバー)の線膨張係数が、室温付近で約1×10⁻⁶ K⁻¹ と非常に小さい理由として正しいものはどれか。
- ANiがFeの格子振動を抑えてデバイ温度が大きく上がり、室温では原子がほとんど振動しなくなるから
- Bキュリー温度より下で、磁気秩序による体積の膨張が昇温で磁化とともに減り、熱膨張を打ち消すから
- C温度が上がると、BCCからより密に詰まったFCCへの相変態が少しずつ進み、そのぶん体積が縮んで膨張を打ち消すから
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正解:B. キュリー温度より下で、磁気秩序による体積の膨張が昇温で磁化とともに減り、熱膨張を打ち消すから
インバーは強磁性体で、自発磁化があると原子間距離が伸びて体積が大きくなる磁気体積効果(自発体積磁歪)が大きく現れます。温度が上がると磁化が弱まるので、この磁気による膨張の分が減り、格子振動によるふつうの熱膨張をほぼ打ち消します。このため、キュリー温度より下で線膨張係数が約1×10⁻⁶ K⁻¹ と小さくなり、精密な測定器や液化天然ガスの容器などに使われます。キュリー温度を超えると打ち消しがなくなり、ふつうの金属並みに膨張します。インバーは室温でFCCの単相で、原子の振動は温度とともにふつうに激しくなり、膨張を打ち消すような相変態も起こっていません。