フェリ磁性とは
ふぇりじせい
反平行に並ぶ2種類の副格子の磁気モーメントの大きさが異なり、差の分だけ自発磁化が残る磁性。マグネタイトなどのフェライトが代表例。
「フェリ磁性」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(磁性材料など)。
この用語の分野: 磁性材料
ふぇりじせい
反平行に並ぶ2種類の副格子の磁気モーメントの大きさが異なり、差の分だけ自発磁化が残る磁性。マグネタイトなどのフェライトが代表例。
「フェリ磁性」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(磁性材料など)。
この用語の分野: 磁性材料
フェリ磁性は、結晶の中の2種類の位置(副格子)にあるモーメントが反平行に並び、大きさの差の分だけ自発磁化が残る磁性です。マグネタイトのような磁性酸化物は古くから磁石として知られていましたが、その磁化が強磁性の金属よりずっと小さいことは、この考え方で初めて説明されました。1948年にフランスのネールが理論を示し、反強磁性とあわせた研究で1970年にノーベル物理学賞を受けています。酸化物では、金属イオンの間の酸素イオンを介した超交換相互作用が、モーメントを反平行にそろえる働きをします。
2つの副格子の磁化は温度による減り方が違うので、全体の磁化の温度変化は強磁性体と違う形になることがあります。希土類の鉄ガーネットの一部では、低温では一方の副格子が、高温では他方が勝り、途中で両者が打ち消し合って磁化が0になる補償温度が現れ、ガドリニウム鉄ガーネットでは室温付近にあります。自発磁化が消える温度はキュリー温度と呼ばれ、マグネタイトでは約580℃です。その上の常磁性の領域では、磁化率の逆数が温度に対して直線にならず、曲がった線を描くのも特徴です。
外から見るとフェリ磁性体は強磁性体とよく似ていて、磁区をもち、ヒステリシスを示し、磁石にも付きます。区別するには、中性子回折で副格子ごとのモーメントの向きを調べるか、飽和磁化を原子のモーメントの和と比べます。マグネタイト Fe₃O₄ の実測の飽和磁化が化学式あたり約4 µB で、鉄イオン3個のモーメントの和よりずっと小さいのは、フェリ磁性の典型的な証拠です。反強磁性では2つの副格子のモーメントが等しく、完全に打ち消し合うので、自発磁化が残りません。
フェリ磁性を示す代表的な材料がフェライトで、MFe₂O₄ のスピネル型、BaFe₁₂O₁₉ や SrFe₁₂O₁₉ のマグネトプランバイト型(六方晶)、Y₃Fe₅O₁₂ のガーネット型などがあります。酸化物なので電気抵抗率が金属より桁違いに高く、高い周波数でも渦電流が流れにくいので、Mn-Zn系やNi-Zn系のスピネル型はスイッチング電源の変圧器やノイズ対策の部品に使われます。六方晶のフェライトは結晶磁気異方性が大きく、安価で錆びない永久磁石としてモーターなどに大量に使われ、ガーネット型はマイクロ波の素子に使われます。
正解:C. 2種類の副格子の磁気モーメントが反平行に並ぶが、大きさが異なるので打ち消し合わず、自発磁化が残る
フェリ磁性体では、結晶の中の2種類の位置(副格子)にある磁気モーメントが、交換相互作用によって互いに反平行に並びます。ところが両者のモーメントの大きさや数が違うため完全には打ち消し合わず、差の分だけ自発磁化が残ります。巨視的には強磁性体と同じように磁区やヒステリシスを示しますが、飽和磁化は鉄などの強磁性金属より小さくなります。すべてが平行にそろうのは強磁性、反平行で大きさが等しく打ち消し合うのは反強磁性です。フェライトは酸化物で電気抵抗率が高く渦電流が流れにくいので、高周波用の磁心に使われます。
違います。磁性材料のフェライトは、フェリ磁性を示す鉄の酸化物の総称です。鋼のフェライトは、体心立方構造をもつ鉄(α鉄)とその固溶体の組織の名前で、強磁性を示します。名前は同じでも、物質も磁性の種類も別のものです。
2つの副格子のモーメントが反平行に並び、差の分しか残らないからです。さらに酸化物では、磁気モーメントをもたない酸素イオンが体積の多くを占めるので、単位体積あたりのモーメントも少なくなります。そのためフェライトの飽和磁束密度は0.5 T前後と、鉄の約2.2 Tより小さくなります。
2つの副格子の磁化の温度変化が違うフェリ磁性体で、両者の大きさがちょうど等しくなり、全体の磁化が0になる温度です。その上下で、全体の磁化の向きを決める副格子が入れ替わります。光磁気記録の材料では、この温度の付近の性質が利用されました。
フェリ磁性体では、結晶の中の2種類の位置(副格子)にある磁気モーメントが、交換相互作用によって互いに反平行に並びます。
マグネタイト(Fe₃O₄)などのフェライトが示すフェリ磁性の説明として正しいものはどれか。