磁壁とは

じへき

隣り合う磁区の境界で、磁気モーメントの向きが少しずつ回転して変わる遷移層。交換エネルギーと異方性エネルギーの釣り合いで厚さが決まる。

「磁壁」は、2分野の4問の練習問題に出てきます(磁性材料, 電子・磁性・光学材料など)。

この用語の分野: 磁性材料

磁壁の練習問題に挑戦

消磁状態の強磁性体に外部磁界をかけて徐々に強めたとき、磁化が進むしくみとして正しいものはどれか。

  1. A弱い磁界では主に磁壁の移動が起こり、強い磁界では磁区の中の磁化の回転が起こって飽和に近づく
  2. Bはじめから各原子の磁気モーメントが1つずつ独立に、磁界の向きへ回転する
  3. C磁区が細かく分かれて数が増えることで磁化が進む
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正解:A. 弱い磁界では主に磁壁の移動が起こり、強い磁界では磁区の中の磁化の回転が起こって飽和に近づく

消磁状態の強磁性体は、内部が磁化の向きの異なる多数の磁区に分かれていて、全体として磁化が打ち消し合っています。弱い磁界をかけると、磁界の向きに近い磁区が広がるように、磁区の境界である磁壁が移動して磁化が増えます。さらに磁界を強めると、残った磁区の中の磁化そのものが磁界の方向へ回転し、飽和磁化に近づきます。磁区の中では原子の磁気モーメントはすでにそろっているので、1つずつ独立に回転するのではありません。磁区の数が増えるのでもなく、有利な向きの磁区が大きくなります。磁壁が介在物や粒界に引っかかって動きにくいほど、保磁力は大きくなります。

強磁性体が、外部磁界がなくても多数の磁区に分かれる主な理由はどれか。

  1. A隣り合う原子の磁気モーメントを平行にそろえようとする交換相互作用のエネルギーを下げるため
  2. B全体が一様に磁化したときに表面に現れる磁極がつくる、静磁エネルギー(反磁界のエネルギー)を下げるため
  3. Cキュリー温度より下でも、熱振動によって原子の磁気モーメントの向きがばらばらになるため
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正解:B. 全体が一様に磁化したときに表面に現れる磁極がつくる、静磁エネルギー(反磁界のエネルギー)を下げるため

結晶全体が一方向に磁化すると、表面に大きな磁極が現れ、外部と内部に磁界(内部では反磁界)ができて大きな静磁エネルギーをもちます。向きの異なる磁区に分かれると磁極が打ち消し合い、このエネルギーが大きく下がります。一方、磁区の境界の磁壁ではモーメントが少しずつ向きを変えるので、交換エネルギーと異方性エネルギーの分だけエネルギーが増えます。実際の磁区の大きさは両者の釣り合いで決まります。交換相互作用はすべてのモーメントをそろえる向きに働くので、磁区に分かれると交換エネルギーはむしろ増えます。熱振動でモーメントがばらばらになるのはキュリー温度より上の常磁性の状態です。

解説の中の「磁壁」

「磁壁」が出てくる問題(4問)

  1. 消磁状態の強磁性体に外部磁界をかけて徐々に強めたとき、磁化が進むしくみとして正しいものはどれか。
  2. 強磁性体が、外部磁界がなくても多数の磁区に分かれる主な理由はどれか。
  3. 強磁性体の粒子を数µmからnmの大きさまで小さくしていくとき、粒子の保磁力の変化として正しいものはどれか。
  4. Fe-約78%Niのパーマロイが、きわめて高い透磁率を示す主な理由はどれか。

関連する用語

磁区 飽和磁化 保磁力 キュリー温度 超常磁性 結晶磁気異方性 渦電流損失 最大エネルギー積 フェリ磁性

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