てこの規則とは
てこのきそく
状態図の2相領域で、各相の質量分率をタイライン上の距離の比から求める規則。相の分率は合金組成から反対側の相までの距離に比例する。
「てこの規則」は、1分野の5問の練習問題に出てきます(状態図とてこの規則など)。
この用語の分野: 状態図とてこの規則
てこのきそく
状態図の2相領域で、各相の質量分率をタイライン上の距離の比から求める規則。相の分率は合金組成から反対側の相までの距離に比例する。
「てこの規則」は、1分野の5問の練習問題に出てきます(状態図とてこの規則など)。
この用語の分野: 状態図とてこの規則
二元系の状態図で2相領域にある合金を考えます。その温度で水平な線(タイライン)を引くと、両端が2つの相の境界線と交わり、その交点の組成がそれぞれの相の組成になります。合金全体の組成C₀はタイラインの途中にあり、2相の組成は温度だけで決まるので、合金の組成を変えても各相の組成は変わらず、変わるのは各相の量の割合だけです。この割合を求めるのがてこの規則で、合金全体の組成と、各成分の質量の保存の関係から導かれます。
α相の組成をCα、もう一方の相(例えば液相)の組成をC_Lとすると、液相の質量分率は W_L = (Cα − C₀)/(Cα − C_L)、α相の質量分率は Wα = (C₀ − C_L)/(Cα − C_L) です。ある相の分率は、合金の組成から反対側の相の組成までの距離に比例する点が、てこ(シーソー)のつり合いに似ていることからこの名があります。よくある間違いは、同じ側の距離をとってしまうことです。2つの分率の和が1になるかで検算できます。組成が wt% なら質量分率、at% なら原子数の分率が求まります。
共晶系や共析系では、相の分率と組織の分率を区別することが大切です。例えば亜共析鋼を727℃のすぐ下で見ると、相としてはフェライトとセメンタイトの2つですが、組織としては初析フェライトとパーライトの2つです。初析フェライトの分率は727℃のすぐ上の α + γ 領域でてこの規則を使って求め、相としてのフェライト全体の分率は α + Fe₃C の領域で求めます。どの温度のどのタイラインを使うかを意識すると、取り違えを防げます。
てこの規則は平衡状態を前提にしています。実際の鋳造のように冷却が速いと、固相の中の拡散が追いつかず偏析が残るので、計算どおりの分率や組成にはなりません。それでも、ゆっくり冷却した鋼の顕微鏡組織でパーライトの面積の割合を測れば、炭素量のおおよその値を逆算できます。また、2相の密度が大きく違う場合、質量分率と顕微鏡で見る面積(体積)分率は一致しないので、必要に応じて各相の密度を使って、質量分率と体積分率を換算します。
正解:B. 約0.68
てこの規則では、ある相の分率を、合金の組成から反対側の相の組成までの距離をタイライン全体の長さで割って求めます。液相の分率は W_L = (Cα − C₀)/(Cα − C_L) = (42.5 − 35)/(42.5 − 31.5) = 7.5/11.0 ≈ 0.68 です。約0.32は同じ側の距離 (35 − 31.5)/11.0 をとった誤りで、これはαの分率にあたります。約0.82は合金の組成と固相の組成の比 35/42.5 をとった誤りで、てこの規則ではありません。2相の分率の和は必ず1になるので、片方を求めたら確かめに使えます。
正解:A. 約0.27
共晶組織は、共晶温度のすぐ上で残っていた液相(61.9 wt%Sn)がそのまま共晶反応で変化したものです。そこで共晶温度のすぐ上の α + L 領域でてこの規則を使い、W_共晶 = W_L = (30 − 18.3)/(61.9 − 18.3) = 11.7/43.6 ≈ 0.27 となります。約0.73は残りの初晶αの分率で、反対側の距離をとった誤りです。約0.15は共晶温度のすぐ下でのβ相全体の分率 (30 − 18.3)/(97.8 − 18.3) です。β相はすべて共晶組織の中にありますが、共晶組織にはαも含まれるので一致しません。組織(初晶・共晶)と相(α・β)を区別することがこの種の問題の要点です。
二元系で3相が共存するのは共晶温度などの不変点だけで、その温度では分率は1つに決まりません。共晶温度のすぐ上やすぐ下の2相領域で、てこの規則を使って求めます。
状態図と同じ単位で計算すれば、wt%なら質量分率、at%なら原子数の分率が得られます。途中で単位を混ぜないことが大切です。
合金の組成が一方の相の組成に近いほど、その相が多いはずだからです。全体の溶質の量の保存 C₀ = Wα·Cα + W_L·C_L を解くと、反対側の距離の比になることが確かめられます。
てこの規則では、ある相の分率を、合金の組成から反対側の相の組成までの距離をタイライン全体の長さで割って求めます。
Cu-Ni系で、35 wt%Niの合金をある温度に保ったところ、液相(31.5 wt%Ni)と固相α(42.5 wt%…そこで共晶温度のすぐ上の α + L 領域でてこの規則を使い、W_共晶 = W_L = (30 − 18.3)/(61.9 − 18.3) = 11.7/43.6 ≈ 0.27 となります。
Pb-Sn系の共晶温度を183℃、共晶組成を61.9 wt%Sn、その温度でのα相の組成を18.3 wt%Sn、β相の…てこの規則より W_初析α = (0.76 − 0.40)/(0.76 − 0.022) = 0.36/0.738 ≈ 0.49 です。
0.40 wt%Cの亜共析鋼を727℃のすぐ下まで平衡冷却した。初析フェライトの質量分率はどれに最も近いか。共析組成を…合金全体の組成は変わらないので、てこの規則で固相の分率が増えることとも合っています。
Cu-Ni系の合金を、液相と固相が共存する温度域で平衡を保ちながら冷却するとき、液相と固相の組成はどう変化するか。てこの規則より W_初晶Si = (18 − 12.6)/(100 − 12.6) = 5.4/87.4 ≈ 0.062、つまり約6.2%です。
Al-Si系は577℃、12.6 wt%Siに共晶点をもち、その温度でのα(Al)相のSi固溶限は1.65 wt%、S…