パーライトとは

ぱーらいと

鋼の共析反応でできる、フェライトとセメンタイトが交互に層状に並んだ組織。冷却が速いほど層の間隔が細かくなり硬くなる。

「パーライト」は、2分野の5問の練習問題に出てきます(状態図とてこの規則, 熱処理と金属材料など)。

この用語の分野: 状態図とてこの規則

パーライトのでき方

共析組成のオーステナイトをA1点の少し下で変態させると、主にオーステナイトの粒界からパーライトが生まれます。フェライトとセメンタイトが横に並んで同時に成長し、成長する先端のすぐ前で炭素がフェライトの側からセメンタイトの側へ拡散して受け渡されます。層の向きがそろった領域をコロニーとよび、1つのオーステナイト粒の中に向きの違う多くのコロニーができます。名前は、研磨して腐食した面が真珠(パール)のような光沢を示すことに由来します。

層の間隔が強さを決める

パーライトの層の間隔は、変態する温度が低い(過冷度が大きい)ほど細かくなり、過冷度にほぼ反比例します。炭素が拡散する距離が短くて済み、核ができる数も増えるからです。層の間隔が細かいほど、フェライトの中の転位が動ける距離が短くなるので、降伏強さや硬さは上がり、層の間隔の平方根の逆数に比例するという関係がよく使われます。炉冷では粗いパーライト、空冷(焼ならし)では細かいパーライトになり、同じ炭素量でも強さが変わります。

ベイナイトや球状化組織との違い

パーライトより低い温度、マルテンサイトができるより高い温度で変態させると、セメンタイトが層状ではなく細かい粒や棒としてフェライトの中や境界に散らばったベイナイトになります。また、パーライトをA1点の直下で長時間保持すると、表面エネルギーを下げるようにセメンタイトが丸くなり、球状化組織になります。球状化した鋼は同じ炭素量で最も軟らかく、切削や冷間加工がしやすいので、軸受鋼や工具鋼の加工前の処理に使われます。

ピアノ線とレールでの利用

高炭素鋼の線材は、約500〜550℃の鉛浴などで等温変態させて細かいパーライトにし(パテンティング)、その後に冷間で強く伸線します。伸線で層の間隔がさらに細かくなり、ピアノ線、橋の吊りケーブル、タイヤの補強コードなどでは、引張強さが2 GPaを大きく超えます。鉄道のレールにも、摩耗に強いパーライト鋼が使われ、頭部を熱処理して細かいパーライトにしたものもあります。パーライトは古くからの組織ですが、現在も高強度材料の主役の1つです。

パーライトの練習問題に挑戦

Fe-Fe₃C系状態図の共析点についての説明として正しいものはどれか。

  1. A約0.76 wt%C、727℃で γ → α + Fe₃C が起こり、パーライトができる
  2. B約4.3 wt%C、1147℃で L → γ + Fe₃C が起こり、層状のパーライトができる
  3. C約0.022 wt%C、912℃で γ → α が起こり、ベイナイトができる
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正解:A. 約0.76 wt%C、727℃で γ → α + Fe₃C が起こり、パーライトができる

Fe-Fe₃C系の共析点は約0.76 wt%C、727℃で、オーステナイト(γ)がフェライト(α)とセメンタイト(Fe₃C)の層状の組織であるパーライトに変わります。約4.3 wt%C、1147℃の反応は液相が関わる共晶反応で、できる組織はレーデブライトであり、パーライトではありません。0.022 wt%Cは727℃でのαの最大固溶限、912℃は純鉄の γ → α 変態の温度です。ベイナイトは平衡状態図には現れず、過冷却したオーステナイトから中間の温度域で生じる非平衡の組織です。共析組成より炭素の少ない鋼を亜共析鋼、多い鋼を過共析鋼とよびます。

0.40 wt%Cの亜共析鋼を727℃のすぐ下まで平衡冷却した。初析フェライトの質量分率はどれに最も近いか。共析組成を0.76 wt%C、727℃でのフェライトの炭素濃度を0.022 wt%C、セメンタイトを6.70 wt%Cとする。

  1. A約0.51
  2. B約0.94
  3. C約0.49
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正解:C. 約0.49

初析フェライトは、727℃のすぐ上の α + γ 領域ですでにできているフェライトで、残りのγがすべてパーライトになります。てこの規則より W_初析α = (0.76 − 0.40)/(0.76 − 0.022) = 0.36/0.738 ≈ 0.49 です。約0.51は残りのパーライトの分率で、反対側の距離をとった誤りです。約0.94は α + Fe₃C の2相としてのフェライト全体の分率 (6.70 − 0.40)/(6.70 − 0.022) で、パーライトの中のフェライトまで含んでいます。初析フェライトとパーライトの面積の比は、顕微鏡組織から亜共析鋼の炭素量を見積もる手がかりになります。

よくある質問

パーライトとマルテンサイトの違いは何ですか?

パーライトは炭素が拡散してフェライトとセメンタイトに分かれた平衡に近い組織です。マルテンサイトは急冷で拡散が起こらず、炭素を過飽和に含んだまません断的に変態した非平衡の組織で、はるかに硬くもろくなります。

顕微鏡でパーライトが黒っぽく見えるのはなぜですか?

ナイタールなどで腐食すると層の境界が溝になり、光が散乱するからです。倍率が低いと細かい層が分解できず、全体が暗く見えます。白く見えるのはフェライトや初析セメンタイトです。

パーライトの層の間隔を細かくするにはどうしますか?

変態の温度を下げる(冷却を速くする)ことです。空冷する焼ならしや、500℃前後で等温変態させるパテンティングで細かいパーライトが得られます。ただし冷却が速すぎると、ベイナイトやマルテンサイトになります。

解説の中の「パーライト」

「パーライト」が出てくる問題(5問)

  1. Fe-Fe₃C系状態図の共析点についての説明として正しいものはどれか。
  2. 0.40 wt%Cの亜共析鋼を727℃のすぐ下まで平衡冷却した。初析フェライトの質量分率はどれに最も近いか。共析組成を0.76 wt%C、727℃でのフェライトの炭素濃度を0.022 wt%C、セメンタイトを6.70 wt%Cとする。
  3. 1.2 wt%Cの過共析鋼をオーステナイト域から徐冷したとき、室温で得られる組織はどれか。
  4. 鋼のマルテンサイト変態についての説明として正しいものはどれか。
  5. 鋼にMn、Cr、Moなどの合金元素を加えると焼入れ性が向上する。その理由として正しいものはどれか。

関連する用語

マルテンサイト 共晶反応 てこの規則 共析反応 焼入れ性 ギブスの相律

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