ストライベック曲線とは

すとらいべっくきょくせん

すべり軸受などの摩擦係数を、粘度×速度÷面圧の軸受特性数に対して描いた曲線。境界潤滑、混合潤滑、流体潤滑の移り変わりを表す。

「ストライベック曲線」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(表面処理とトライボロジーなど)。

この用語の分野: 表面処理とトライボロジー

曲線の形と3つの領域

ストライベック曲線は、横軸に軸受特性数 ηN/P(ηは潤滑油の粘度、Nは回転速度、Pは面圧)、縦軸に摩擦係数をとった曲線です。ηN/P が小さい領域は境界潤滑で、面の突起どうしが接触し、摩擦係数は0.1程度です。ηN/P が大きくなると、油膜の圧力が荷重の一部を支える混合潤滑になり、摩擦係数は急に下がります。さらに大きくなると、油膜が面を完全に隔てる流体潤滑になり、摩擦係数は極小を過ぎて、油の粘性抵抗によってゆるやかに上がります。

流体潤滑のしくみ

流体潤滑では、すべる面のすき間がくさびのように狭まる方向へ油が引き込まれ、そこで圧力が生まれて荷重を支えます。これをくさび効果といい、速度が大きく粘度が高いほど油膜は厚くなります。転がり軸受や歯車のように接触面の圧力が非常に高いところでは、接触部の弾性変形と、圧力による油の粘度の上昇が加わった弾性流体潤滑になり、厚さ1 µm以下の薄い油膜でも面を隔てられます。油膜の厚さと面の粗さの比である膜厚比が、潤滑の状態の目安になります。

設計と材料への意味

軸受は、摩擦の極小より少し流体潤滑の側で使うと、速度や荷重が変わっても摩擦係数が安定します。極小より境界潤滑の側では、温度が上がって粘度が下がると、さらに境界潤滑に近づいて摩擦が増え、焼付きにつながるおそれがあります。起動や停止のときは必ず境界潤滑を通るので、摩擦面の材料には、油膜が切れても凝着しにくいことが求められます。油の添加剤や表面処理、固体潤滑剤は、主にこの境界潤滑の領域での摩擦と摩耗を減らすために使われます。

ストライベック曲線の練習問題に挑戦

すべり軸受の摩擦係数を、潤滑油の粘度η、回転速度N、面圧Pからなる軸受特性数 ηN/P に対して描いたストライベック曲線についての説明として正しいものはどれか。

  1. A境界・混合潤滑の領域では ηN/P を大きくすると摩擦係数が下がり、極小を過ぎた流体潤滑では粘性抵抗でゆるやかに上がる
  2. B油の粘性抵抗が最も大きい流体潤滑の領域で摩擦係数が最大になり、油膜が切れて固体どうしが接触する境界潤滑の領域で最小になる
  3. C摩擦係数は ηN/P によらずほぼ一定で、境界・混合・流体の潤滑の様式は面圧だけで決まり、粘度や速度にはよらない
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正解:A. 境界・混合潤滑の領域では ηN/P を大きくすると摩擦係数が下がり、極小を過ぎた流体潤滑では粘性抵抗でゆるやかに上がる

ηN/P が小さい、つまり低速、高面圧、低粘度の条件では、油膜が薄く突起どうしが接触する境界潤滑になり、摩擦係数は0.1程度と大きくなります。ηN/P を大きくすると、くさび効果でできる油膜の圧力が荷重の一部を支える混合潤滑を経て、油膜が面を完全に隔てる流体潤滑になり、摩擦係数は0.001〜0.01程度まで下がります。流体潤滑の領域でさらに速度を上げると、油のせん断による粘性抵抗が増え、摩擦係数はゆるやかに上がります。境界潤滑で摩擦が最も小さいとする記述は逆で、潤滑の様式は面圧だけでなく粘度と速度にもよります。軸受は、極小より少し流体潤滑の側で使うと安定します。

よくある質問

境界潤滑とは何ですか。

油膜がとても薄くなって突起どうしが接触し、表面に吸着した分子や、添加剤との反応でできた薄い膜が摩擦を左右する状態です。油の粘度はあまり効かず、摩擦係数は0.1程度になります。起動や停止のときや、低速で重い荷重がかかるときに起こります。

粘度の高い油を使えば常に摩擦が下がりますか。

下がるとは限りません。境界潤滑や混合潤滑の領域では油膜が厚くなって摩擦が下がりますが、すでに流体潤滑の領域にあるときは、粘性抵抗が増えて摩擦損失がかえって大きくなります。省エネルギーのために低粘度の油が使われるのはこのためです。

なぜ軸受特性数で整理できるのですか。

流体潤滑の油膜の圧力は粘度と速度に比例して大きくなり、面圧に対抗します。そのため、粘度×速度÷面圧という組み合わせが、油膜が荷重を支えきれるかどうかを表す量になります。条件の違う実験の結果も、この数で1本の曲線にまとめられます。

「ストライベック曲線」が出てくる問題(1問)

  1. すべり軸受の摩擦係数を、潤滑油の粘度η、回転速度N、面圧Pからなる軸受特性数 ηN/P に対して描いたストライベック曲線についての説明として正しいものはどれか。

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