窒化処理とは
ちっかしょり
鋼をA₁変態点より低い温度で窒素を含む雰囲気に置き、表層に硬い窒化物をつくる処理。焼入れがいらず、ひずみが小さい。
「窒化処理」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(表面処理とトライボロジーなど)。
この用語の分野: 表面処理とトライボロジー
ちっかしょり
鋼をA₁変態点より低い温度で窒素を含む雰囲気に置き、表層に硬い窒化物をつくる処理。焼入れがいらず、ひずみが小さい。
「窒化処理」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(表面処理とトライボロジーなど)。
この用語の分野: 表面処理とトライボロジー
窒化処理は、鋼の表面から窒素を拡散させて硬い窒化物をつくる処理で、A₁変態点より低いフェライト域の温度で行います。相変態を伴わず、処理のあとに急冷する必要もないので、寸法の変化やひずみが小さく、仕上げ加工をしたあとの部品にも処理できます。Al、Cr、Mo、V などの窒化物をつくりやすい元素を含む鋼では、微細な窒化物が析出して表層が非常に硬くなり、高い温度でも硬さが下がりにくいのが特徴です。一方で、硬化層は浸炭より薄く、処理に長い時間がかかることが多いのが短所です。
窒化した鋼の表層は、最表面の化合物層と、その下の拡散層の2層からなります。化合物層は鉄の窒化物の ε 相(Fe₂₋₃N)や γ′ 相(Fe₄N)からなる厚さ数〜数十µm の層で、腐食した断面で白く見えるので白層とも呼ばれ、耐摩耗性や焼付きにくさに寄与しますが、厚すぎるともろく、はがれの原因になります。拡散層は、窒素が固溶したり微細な窒化物として析出したりした層で、疲労強度の向上に効きます。ガス窒化では、アンモニアと水素の分圧の比で決まる窒化ポテンシャルを制御し、化合物層の種類と厚さを作り分けます。
アンモニアのガスを使うガス窒化のほかに、減圧した炉の中でグロー放電を起こし、窒素のイオンを部品に当てるプラズマ窒化(イオン窒化)があります。プラズマ窒化は、ステンレス鋼の不動態皮膜をスパッタで取り除きながら処理でき、処理しない部分を覆うのも簡単です。また、窒素と同時に炭素も入れる軟窒化は、約570℃で数時間以内の短い処理で主に化合物層をつくり、合金元素の少ない炭素鋼でも耐摩耗性や耐焼付き性を高められます。塩浴を使う方法とガスを使う方法があり、自動車の部品などに広く使われています。
オーステナイト系ステンレス鋼を約450℃を超える温度で長く窒化すると、窒素がクロムと結びついてクロムの窒化物が析出し、母相のクロムが減って耐食性が下がります。そこで、約450℃より低い温度でプラズマ窒化などを行い、窒化物を析出させずに窒素を大量に固溶させた、膨張オーステナイト(S相)と呼ばれる硬い層をつくる方法が開発されました。これにより、耐食性を保ったまま表面を硬くできます。一般の窒化でも、処理の前の表面の汚れや不動態皮膜は窒化のむらの原因になるので、前処理が品質を左右します。
正解:C. A₁点より低い約500〜570℃のフェライト域で窒素を拡散させ、微細な窒化物で硬くするので、焼入れがいらずひずみが小さい
窒化処理は、アンモニアの分解などで表面から窒素を入れる処理で、A₁変態点(727℃)より低い約500〜570℃で行います。窒素はフェライトの中を拡散し、Al、Cr、Mo、Vなどと結びついて微細な窒化物をつくり、表層は1000 HVを超える硬さになります。相変態や焼入れがないので、寸法の変化やひずみが小さく、仕上げ加工のあとに処理できます。最表面には鉄の窒化物の化合物層(白層)、その下に拡散層ができます。合金元素を含まない炭素鋼では、窒素が奥へ拡散しても硬い微細な窒化物が少なく、硬さはあまり上がりません。一方で、硬化層は0.1〜0.5 mm程度と浸炭より薄く、処理に数十時間かかることが多いのが短所です。
窒化は窒素だけを拡散させ、Al や Cr を含む窒化用の鋼で深い拡散層と高い硬さを得る処理で、数十時間かかることがあります。軟窒化は窒素と炭素を同時に入れ、短い時間で主に化合物層をつくる処理です。硬化層の硬さは低めですが、炭素鋼にも使え、処理が早く安価です。
硬化層が薄いので、研削などで大きく削ると硬い層がなくなってしまいます。そのため、窒化はふつう仕上げ加工のあとに行い、ひずみが小さいことがそれを可能にしています。化合物層の表面をわずかに磨いて、粗さを整える程度の加工はよく行われます。
拡散層の中で窒素が固溶したり微細な窒化物が析出したりすると、表層の体積が増えようとして内部に拘束されるので、表層に圧縮の残留応力が生じるからです。表面が硬くなることも、疲労き裂の発生を遅らせます。そのため、クランク軸や歯車など、繰り返しの荷重を受ける部品に使われます。
窒化処理は、アンモニアの分解などで表面から窒素を入れる処理で、A₁変態点(727℃)より低い約500〜570℃で行います。
Al、Cr、Moを含む窒化用の鋼に行う、ガス窒化などの窒化処理についての説明として正しいものはどれか。フェライトの炭素の固溶限は最大でも約0.02%で、低温のフェライト域で焼入れなしに硬くするのは窒化処理の特徴です。
低炭素鋼(約0.2%C)の歯車に浸炭焼入れを行う。この処理についての説明として正しいものはどれか。浸炭 マルテンサイト アーチャードの摩耗式 アブレシブ摩耗 凝着摩耗 真実接触面積 ストライベック曲線 無電解ニッケルめっき