真実接触面積とは

しんじつせっしょくめんせき

表面の突起どうしが実際に触れている部分の面積。突起が塑性変形するときは荷重を硬さで割った値になり、見かけの接触面積よりはるかに小さい。

「真実接触面積」は、1分野の4問の練習問題に出てきます(表面処理とトライボロジーなど)。

この用語の分野: 表面処理とトライボロジー

見かけの接触と真実の接触

平らに磨いた金属の面でも、表面には高さ数nm〜数µmの凹凸があり、2つの面を重ねると、互いの高い突起の先端どうしだけが触れ合います。この実際に触れている部分の面積の合計が真実接触面積 Ar で、外形から決まる見かけの接触面積よりはるかに小さいのがふつうです。突起が塑性変形して荷重を支えるとすると、接触部の圧力は硬さ H に等しくなり、Ar = W/H です。例えば、硬さ1.0 GPa の金属に100 N の荷重をかけても Ar は0.10 mm² にすぎず、見かけの面積が数cm²あっても、触れているのはそのごく一部です。

弾性接触でも荷重に比例する

突起が弾性変形だけで荷重を支える場合、1つの突起の接触面積はヘルツの理論で荷重の2/3乗に比例し、荷重には比例しません。しかし実際の表面には高さの違う多数の突起があり、荷重が増えると、新しい突起が次々に接触に加わります。グリーンウッドとウィリアムソンは、突起の高さの分布を考えると、弾性接触でも真実接触面積がほぼ荷重に比例することを示しました。弾性と塑性のどちらが主になるかは、材料の E/H と表面の粗さの形から求める塑性指数で判断します。このことが、摩擦力が荷重に比例するという法則が広く成り立つ理由の一つです。

電気と熱の接触抵抗

電気や熱は真実接触点を通ってしか流れないので、接触部の電気抵抗や熱抵抗は真実接触面積で決まります。半径 a の小さな接触点を電流が通るとき、電流が絞られることによる抵抗(集中抵抗)は、抵抗率 ρ の材料どうしで約 ρ/(2a) になります。接点の荷重を上げると真実接触面積が増えて接触抵抗が下がり、表面に酸化膜や汚れがあると抵抗は大きく上がります。半導体の放熱では、部品とヒートシンクの間のすき間の空気が熱を伝えにくいので、熱伝導性のグリースやシートですき間を埋めて、接触の熱抵抗を下げます。

真実接触面積の測り方

真実接触面積は接触面の内側にあるので、直接見るのが難しい量です。片方を透明なガラスやサファイアにすれば、光の全反射や干渉を利用して、接触点を光学的に観察できます。金属どうしでは、接触の電気抵抗から間接的に見積もったり、超音波が接触点を通り抜けて反射が減ることを利用したりします。最近は、表面の凹凸を3次元で測った形のデータから、数値計算で接触を求めることも多くなりました。どの方法でも、測る尺度によって細かい凹凸の見え方が変わるので、結果に尺度の影響が含まれることに注意します。

真実接触面積の練習問題に挑戦

鋼(押し込み硬さ H = 2.0 GPa)の平らなブロックを同じ鋼の板の上に置き、見かけの接触面積10 cm²に垂直荷重1.0 kNをかけた。接触している突起はすべて塑性変形しているとして、真実接触面積を Ar = W/H で見積もると、見かけの接触面積に対する割合はどれに最も近いか。

  1. A約0.5%
  2. B約50%
  3. C約0.05%
答えと解説を見る

正解:C. 約0.05%

Ar = W/H = 1.0×10³/(2.0×10⁹) = 5.0×10⁻⁷ m² = 0.50 mm²です。見かけの面積は10 cm² = 1000 mm²なので、割合は 0.50/1000 = 5×10⁻⁴、約0.05%になります。平らに見える面でも、実際に触れているのは突起の先端のごく一部で、そこには硬さに等しい高い圧力がかかっています。約0.5%は1 cm²を100 mm²でなく10 mm²として換算した値、約50%は硬さの単位をGPaでなくMPaとして計算した値です。真実接触点の局所的な高い圧力と、すべりで生じる高い温度が、凝着や摩耗の出発点になります。

よくある質問

真実接触面積は見かけの接触面積のどれくらいですか。

条件で大きく変わりますが、ふつうの機械部品の荷重で金属どうしを重ねた場合は、見かけの面積の1%に満たないことが多くあります。Ar = W/H なので、荷重が大きいほど、また材料が軟らかいほど、真実接触面積の割合は大きくなります。

見かけの面積を大きくすると、摩擦力は大きくなりますか。

乾燥摩擦ではほとんど変わりません。見かけの面積を大きくしても、同じ荷重なら真実接触面積は W/H のままで、摩擦力は真実接触面積に比例するからです。ただし、ゴムのように軟らかい材料や、凝着の強い清浄な面では、見かけの面積の影響が出ることがあります。

弾性変形の接触と塑性変形の接触は、どう見分けますか。

塑性指数という無次元の数で見分けます。材料の弾性率と硬さの比 E/H と、突起の高さのばらつきや先端の丸みから計算し、値が小さいと弾性接触、大きいと塑性接触が主になります。滑らかで E/H の小さい面ほど弾性接触になりやすく、粗い面や軟らかい金属では塑性接触になりやすいです。

解説の中の「真実接触面積」

「真実接触面積」が出てくる問題(4問)

  1. 鋼(押し込み硬さ H = 2.0 GPa)の平らなブロックを同じ鋼の板の上に置き、見かけの接触面積10 cm²に垂直荷重1.0 kNをかけた。接触している突起はすべて塑性変形しているとして、真実接触面積を Ar = W/H で見積もると、見かけの接触面積に対する割合はどれに最も近いか。
  2. 乾燥した金属どうしのすべり摩擦で、経験的に成り立つことが多い摩擦の法則(アモントン・クーロンの法則)の内容として正しいものはどれか。
  3. 凝着説(バウデンとテイバーの考え)では、摩擦力は真実接触点の凝着部をせん断する力で決まり、摩擦係数は μ = s/H(sは凝着部のせん断強さ、Hは軟らかいほうの材料の押し込み硬さ)で表される。s = 0.30 GPa、H = 1.8 GPa のとき、μはどれに最も近いか。
  4. ピン・オン・ディスク試験で、硬さ H = 2.0 GPa のピンに垂直荷重50 Nをかけて、すべり距離1.0 kmだけすべらせた。アーチャードの摩耗式 V = KWL/H で無次元の摩耗係数を K = 1.0×10⁻⁴ とするとき、ピンの摩耗体積と、荷重を2倍にしたときの摩耗体積の変化の組み合わせとして正しいものはどれか。

関連する用語

アーチャードの摩耗式 アブレシブ摩耗 凝着摩耗 浸炭 ストライベック曲線 窒化処理 無電解ニッケルめっき

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