ファラデーの法則とは

ふぁらでーのほうそく

電極反応で変化する物質の量は流れた電気量に比例するという法則。溶解や析出の質量は m = ItM/(nF) で求まる。

「ファラデーの法則」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(腐食と表面処理など)。

この用語の分野: 腐食と表面処理

法則の内容と式

ファラデーの電気分解の法則は、電極で反応する物質の量は流れた電気量に比例し(第1法則)、同じ電気量で反応する量は、物質のモル質量を反応の電子数で割った値に比例する(第2法則)というものです。まとめると、電流 I を時間 t だけ流したときに溶ける、または析出する質量は m = ItM/(nF) です。F はファラデー定数で、電子1 molの電気量 96485 C/mol にあたり、アボガドロ定数と電気素量の積 F = N_A·e に等しくなります。1830年代にファラデーが実験から見いだしました。

腐食電流から腐食速度へ

腐食も電気化学の反応なので、腐食電流がわかれば、ファラデーの法則で腐食速度に換えられます。単位面積あたりの電流密度 i を使うと、厚さの減る速さは iM/(nFρ)(ρ は密度)です。鉄が Fe²⁺ として溶ける場合、1 µA/cm² の腐食電流密度は1年で約11.6 µm、つまり約0.012 mm/年の減肉にあたります。分極抵抗の測定やターフェル外挿で腐食電流を求め、この換算で年あたりの減肉に直すのは、腐食の評価の定番の手順です。n を、実際に生じるイオンの価数と合わせることが大切です。

めっきと電解製錬での使い方

電気めっきでは、ファラデーの法則から膜厚を見積もります。硫酸銅の浴で 2 A/dm²(0.02 A/cm²)の電流密度で10分間めっきすると、電流がすべて銅の析出に使われるとして、約4.4 µmの銅がつきます。実際には電流の一部が水素の発生などに使われるので、析出に使われた割合を電流効率として掛けます。銅や亜鉛の酸性浴では電流効率が高い一方、クロムめっきでは低いことが知られています。アルミニウムの電解製錬では、1 kgのアルミニウムをつくるのに約2980 Ahの電気量が必要で、大量の電力を使います。

電池の容量との関係

電池の容量もファラデーの法則で決まります。電極材料1 molあたり n mol の電子をやり取りするなら、質量あたりの理論容量は nF/M で、1 mAh = 3.6 C で換算すると nF/(3.6M) mAh/g になります。黒鉛の372 mAh/gやLiFePO₄ の約170 mAh/gは、この計算から得られる値です。同じ考え方で、犠牲陽極が出せる電気量や、燃料電池で水素1 molから得られる電気量(2F)も計算できます。電気量と物質の量を結ぶ基本の関係として、電気化学のあらゆる場面に出てきます。

ファラデーの法則の練習問題に挑戦

ある鋼管で、鉄が Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ と溶ける腐食の電流が、平均0.10 Aで1年間(365日)流れ続けた。溶けた鉄の質量はどれに最も近いか。Feのモル質量を55.85 g/mol、ファラデー定数を96485 C/molとする。

  1. A約0.61 kg
  2. B約0.91 kg
  3. C約1.8 kg
答えと解説を見る

正解:B. 約0.91 kg

ファラデーの法則から、溶けた質量は m = ItM/(nF) です。1年は 365 × 24 × 3600 = 3.15×10⁷ s なので、流れた電気量は Q = 0.10 × 3.15×10⁷ = 3.15×10⁶ C です。Fe²⁺になるので n = 2 として、m = 3.15×10⁶ × 55.85/(2 × 96485) ≈ 913 g、つまり約0.91 kgになります。約1.8 kgは、電子の数を n = 1 としてしまった誤りです。約0.61 kgは、Fe³⁺になるとして n = 3 で計算した誤りで、問題の反応式と合いません。わずか0.10 Aの腐食電流でも1年で1 kg近い鉄が失われることになり、局部に集中すれば配管に穴をあけるのに十分な量です。

よくある質問

ファラデー定数の値と意味は何ですか?

約96485 C/molで、電子1 molがもつ電気量の大きさです。電気素量 1.602×10⁻¹⁹ C にアボガドロ定数 6.022×10²³ mol⁻¹ を掛けた値に等しくなります。

式の n には何を入れますか?

反応する物質1個あたりにやり取りされる電子の数です。Cu²⁺ の析出なら2、Al³⁺ なら3、Ag⁺ なら1です。鉄のように Fe²⁺ と Fe³⁺ の両方がありうる金属では、実際の反応に合わせて選びます。

計算より析出量が少なくなるのはなぜですか?

流した電流の一部が、水素の発生や不純物の反応など、目的以外の反応に使われるからです。この割合を電流効率といい、計算値に電流効率を掛けると実際の量に近づきます。

解説の中の「ファラデーの法則」

「ファラデーの法則」が出てくる問題(1問)

  1. ある鋼管で、鉄が Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ と溶ける腐食の電流が、平均0.10 Aで1年間(365日)流れ続けた。溶けた鉄の質量はどれに最も近いか。Feのモル質量を55.85 g/mol、ファラデー定数を96485 C/molとする。

関連する用語

応力腐食割れ ガルバニック腐食 犠牲陽極 局部電池 孔食 標準電極電位 不動態

用語集の一覧へ