局部電池とは
きょくぶでんち
1つの金属の表面で、介在物やひずみ、酸素の濃度差などによってアノードとカソードの部分ができ、電池として腐食が進むもの。
「局部電池」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(腐食と表面処理など)。
この用語の分野: 腐食と表面処理
きょくぶでんち
1つの金属の表面で、介在物やひずみ、酸素の濃度差などによってアノードとカソードの部分ができ、電池として腐食が進むもの。
「局部電池」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(腐食と表面処理など)。
この用語の分野: 腐食と表面処理
金属の表面は完全に均一ではありません。介在物、粒界、加工でひずんだ部分、表面の皮膜の傷などで電位がわずかに違い、電位の低い部分がアノード、高い部分がカソードになります。金属自身が導線、まわりの水が電解質の役をするので、表面に小さな電池がたくさんでき、アノードでは金属が溶け、カソードでは酸素の還元や水素の発生が起こります。アノードとカソードの位置が時間とともに入れ替われば表面は全体に均一に減り、位置が固定されると局部的に深く掘られます。
局部電池は金属の不均一だけでなく、環境の不均一からもできます。代表は溶存酸素の濃度の差による酸素濃淡電池で、酸素の少ない部分がアノード、多い部分がカソードになります。食塩水を1滴、鉄の板にのせると、空気に触れやすい滴の縁がカソード、酸素の届きにくい中央がアノードになって、中央が腐食します(エバンスの水滴の実験)。すき間の奥、付着物の下、地中の配管で土の性質が変わる部分など、酸素が届きにくい場所が選択的に腐食するのはこの仕組みです。
局部電池が働いているとき、金属の電位は、アノードの溶解の電流とカソードの還元の電流が等しくなる値に落ち着きます。これを腐食電位(混成電位)といい、そのときの電流が腐食電流です。腐食の速さはカソード反応の速さに強く左右され、例えば薄い酸に入れると、純度の高い亜鉛はゆっくりしか溶けませんが、銅などの不純物を含む亜鉛は激しく溶けます。不純物の上で水素が発生しやすく、そこがよく働くカソードになるからです。中性の水では溶存酸素の供給が速さを決めるので、酸素を除くと腐食はほとんど止まります。
異種の金属を接触させたときのガルバニック腐食は、アノードとカソードが別の金属で、目に見える大きさの電池ができる場合です。局部電池は、1つの金属の上に目に見えないほど小さなアノードとカソードが分布する場合を指し、原理は同じ電気化学の電池です。ステンレス鋼の硫化マンガン(MnS)の介在物、鋭敏化した粒界、溶接部と母材の組織の差なども局部電池をつくります。防食では、表面を均一にする、皮膜や塗装で電解質を遮る、溶存酸素を除くといった対策をとります。
正解:B. O₂ + 2H₂O + 4e⁻ → 4OH⁻
1つの金属の表面でも、介在物や粒界、ひずみ、環境の不均一によって電位の低い部分と高い部分ができ、金属自身が導線の役をして小さな電池がたくさんできます。これが局部電池です。電位の低いアノードでは鉄が溶けて Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ が起こり(選択肢にあるこの式はアノードの反応です)、その電子を受け取るカソードでは、中性の水中では溶存酸素の還元 O₂ + 2H₂O + 4e⁻ → 4OH⁻ が主に起こります。生じたFe²⁺とOH⁻が反応し、さらに酸化されて赤さび(FeOOHなど)になります。水素の発生 2H⁺ + 2e⁻ → H₂ は、H⁺の多い酸性の溶液で主になる反応で、中性ではH⁺が約10⁻⁷ mol/Lと少ないため主役になりません。
純度が高くても、粒界、結晶の方位による違い、ひずみ、表面の傷などで電位がわずかに違うからです。また、酸素の濃度の差など、環境の側の不均一でも電池ができます。
塗装やめっきで金属と電解質を遮る、溶存酸素を除く、インヒビター(腐食抑制剤)を加える、電気防食で金属全体をカソードにする、などの方法があります。
局部電池はアノードとカソードが微小で近接したもの、マクロセルはコンクリート中の鉄筋や長い配管のように、離れた場所どうしが大きな電池をつくるものです。マクロセルでは腐食が特定の場所に集中しやすくなります。