ボトムアップ法とは

ぼとむあっぷほう

原子や分子を核生成と成長で組み上げてナノ材料をつくる方法。液相の還元・熱分解、ゾル-ゲル法、CVDなど。大きな材料を砕くトップダウン法と対になる。

「ボトムアップ法」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(ナノ材料など)。

この用語の分野: ナノ材料

組み上げてつくる考え方

ボトムアップ法は、原子、イオン、分子を集めてナノ材料を組み上げる方法の総称です。溶液中で金属イオンを還元する方法、有機金属の前駆体を熱分解する方法、金属アルコキシドを加水分解・縮合させるゾル-ゲル法、気相から原子を凝縮させる方法、基板の上で原料ガスを分解するCVD、1原子層ずつ積むALDなどがあります。大きな材料を削ったり砕いたりするトップダウン法に比べて、原子の並びの乱れが少なく、大きさや形のそろった粒子を化学の条件で設計できるのが強みです。

核生成と成長を分ける

粒径をそろえるかぎは、核生成と成長を時間的に分けることです。溶液のモノマーの濃度が臨界の過飽和度を超えると核がいっせいにでき、濃度が下がると核生成が止まって既存の核だけが育ちます(ラメールのモデル)。1993年に報告されたホットインジェクション法は、高温の溶媒に前駆体を一気に注入してこの状態をつくり、粒径のそろった半導体のナノ結晶を得る方法として広まりました。成長の段階では、温度、時間、前駆体の濃度で最終的な大きさを調整し、ちょうどよい時点で冷やして反応を止めます。

配位子と形の制御

液相合成では、オレイン酸やオレイルアミンのような長い鎖をもつ分子や、クエン酸、高分子などが粒子の表面に吸着します。これらの配位子(キャッピング剤)は、粒子どうしの凝集を防ぐとともに、特定の結晶面に強く吸着してその面の成長を遅らせるので、立方体、棒、板などの形をつくり分けられます。小さな種結晶に界面活性剤を加えて一方向に育てる、金のナノロッドの合成がその例です。一方、触媒や電子材料として使うときは、表面を覆う配位子が反応や電気の流れを妨げるので、熱処理や配位子の交換で取り除く工程が必要になります。

トップダウン法との使い分け

ボトムアップ法の課題は、量産と配置の制御です。液相合成は1回の反応でできる量が少なく、大量の有機溶媒や精製の工程が必要になることがあります。また、できた粒子を基板の決まった位置に並べるのは苦手です。リソグラフィなどのトップダウン法は位置と形を正確に決められますが、数nmの寸法や原子レベルでなめらかな表面をつくるのは難しくなります。そのため、リソグラフィで描いたパターンに沿って分子を自己組織化させる、ナノ粒子のインクを印刷して配線にするなど、両者を組み合わせる方法も広く使われています。

ボトムアップ法の練習問題に挑戦

ナノ材料の作製法は、大きな材料を細かくするトップダウン法と、原子や分子を組み上げるボトムアップ法に分けられる。ボトムアップ法にあたるものはどれか。

  1. Aボールミルで粉末を長時間粉砕し、粒子どうしの衝突でナノサイズの粒子にする方法
  2. Bフォトリソグラフィで描いたパターンに沿ってエッチングし、薄膜をナノスケールに削る方法
  3. C溶液中で金属塩の還元や前駆体の熱分解を行い、核生成と成長でナノ粒子をつくる方法
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正解:C. 溶液中で金属塩の還元や前駆体の熱分解を行い、核生成と成長でナノ粒子をつくる方法

溶液中での還元や熱分解(化学的な液相合成)は、原子や分子が集まって核ができ、それが成長して粒子になるボトムアップ法です。ゾル-ゲル法、気相での凝縮、CVDによるカーボンナノチューブの成長も同じくボトムアップ法に入ります。ボールミルによる粉砕は、大きな粒子を機械的に砕いて小さくするトップダウン法で、装置が簡単で量産しやすい反面、粒径の分布が広くなりやすく、メディアからの不純物の混入やひずみの導入が起こります。リソグラフィとエッチングも、大きな膜から不要な部分を除くトップダウン法で、形や位置を精密に決められるのが長所です。ボトムアップ法は粒径や形を原子レベルでそろえやすい一方、量産や配置の制御に課題があります。

よくある質問

ボトムアップ法とトップダウン法の違いは何ですか?

ボトムアップ法は原子や分子を核生成と成長で組み上げる方法で、トップダウン法は大きな材料を粉砕、エッチング、加工で小さくする方法です。前者は大きさや形のそろった欠陥の少ない粒子をつくりやすく、後者は量産や位置の制御に強いという違いがあります。

ゾル-ゲル法はボトムアップ法ですか?

はい。金属アルコキシドなどを加水分解・縮合させ、分子から粒子の分散液(ゾル)をつくり、さらにつながった網目(ゲル)にする方法なので、ボトムアップ法の代表例です。アンモニアを触媒にしてシリカの球をつくる方法では、条件によって粒径のよくそろった粒子が得られます。

粒径をそろえるにはどうしますか?

核生成を短い時間に集中させ、その後は新しい核ができない条件で成長だけを進めるのが基本です。高温の溶媒に前駆体を一気に注入する方法や、種結晶を先につくって育てる方法があります。成長後に貧溶媒を加えて大きさごとに沈殿させるサイズ選択沈殿で、分布をさらに狭めることもあります。

解説の中の「ボトムアップ法」

「ボトムアップ法」が出てくる問題(1問)

  1. ナノ材料の作製法は、大きな材料を細かくするトップダウン法と、原子や分子を組み上げるボトムアップ法に分けられる。ボトムアップ法にあたるものはどれか。

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