グラフェンとは
ぐらふぇん
炭素原子がsp²結合で蜂の巣状に並んだ単原子層。バンドギャップがほぼゼロで電子の移動度が高く、両面の理論比表面積は約2630 m²/g。
「グラフェン」は、1分野の3問の練習問題に出てきます(ナノ材料など)。
この用語の分野: ナノ材料
ぐらふぇん
炭素原子がsp²結合で蜂の巣状に並んだ単原子層。バンドギャップがほぼゼロで電子の移動度が高く、両面の理論比表面積は約2630 m²/g。
「グラフェン」は、1分野の3問の練習問題に出てきます(ナノ材料など)。
この用語の分野: ナノ材料
グラフェンは、グラファイトの層を1枚だけはがした炭素の単原子層です。2004年にガイムとノボセロフが、粘着テープでグラファイトをはがす方法で単層を取り出して電気的な性質を測り、2人は2010年にノーベル物理学賞を受けました。炭素原子は正六角形の網をつくり、C–C結合の長さは約0.142 nm、格子定数は a = √3 × 0.142 ≈ 0.246 nm です。1原子あたりの面積は約0.0262 nm²で、ここから面密度は約0.76 mg/m²、両面を数えた比表面積は約2630 m²/g と計算できます。
グラフェンの伝導帯と価電子帯は、K点で円錐の頂点どうしが接する形をしていて、そのまわりでは電子のエネルギーが波数に比例します。電子は質量のない粒子のようにふるまい、きれいな試料では室温でも移動度が1万 cm²/(V·s)を大きく超えます。力学的には、宙に張った単層を探針で押す実験から、ヤング率が約1 TPaと見積もられ、知られている材料の中で最も剛い部類です。光は1層あたり約2.3%しか吸収しないので、透明な導電膜の候補にもなります。
グラフェンを何層も重ねたものがグラファイトで、層間の距離は約0.335 nmです。層の数が増えると層間の相互作用でバンドの形が変わり、10層程度でほぼグラファイトの性質になるとされます。そのため「グラフェン」と呼ばれる市販品でも、単層、数層、数十層の薄片まで中身はさまざまです。グラファイトを酸化してはがした酸化グラフェン(GO)は、酸素を含む官能基が多く絶縁性で水に分散しやすく、それを還元した還元型酸化グラフェン(rGO)も欠陥が多いため、単層グラフェンほどの導電性はありません。
研究用の高品質な単層は粘着テープによる機械的剥離でつくれますが、面積は小さく量産には向きません。大面積の膜は、銅箔の上でメタンなどを高温で分解するCVDで成長させ、樹脂の支持膜を使って別の基板へ転写する方法が広く使われます。炭化ケイ素を高温で加熱してケイ素を抜く方法もあります。粉末状の多層の薄片は、黒鉛の化学的な剥離や液中での超音波処理でつくられ、電池の導電助剤、樹脂への添加剤、放熱材料などに使われます。性質を議論するときは、どの方法でつくった何層のものかを確かめることが大切です。
正解:A. (6, 6)のアームチェア型
単層カーボンナノチューブは、グラフェンの1枚をカイラルベクトル Ch = na₁ + ma₂ が円周になるように巻いた円筒です。グラフェンのバンドが接するK点を通る波数がチューブの周方向に許されるかどうかで、金属的か半導体的かが決まり、その条件が n − m = 3の倍数です。(6, 6)は n − m = 0 なので金属的で、n = m のアームチェア型はすべて金属的です。(10, 0)は n − m = 10、(7, 5)は n − m = 2 で、どちらも3の倍数ではないので半導体的です。ジグザグ型(m = 0)は n が3の倍数のときだけ金属的になります。カイラル指数をランダムに選ぶと、およそ3分の1が金属的、3分の2が半導体的になります。
正解:B. 約1.36 nm
n² + nm + m² = 100 + 100 + 100 = 300 なので、√300 ≈ 17.32 です。カイラルベクトルの長さ(円周)は 0.246 × 17.32 ≈ 4.26 nm で、これをπで割ると直径は d ≈ 1.36 nm になります。約4.26 nm はπで割るのを忘れて円周を直径とした値です。約0.78 nm は、格子定数 a = 0.246 nm の代わりに C–C結合の長さ 0.142 nm を使った値で、a = √3 × 0.142 nm の関係を取り違えています。(10, 10)はアームチェア型なので金属的です。単層カーボンナノチューブの直径は多くが約1〜2 nmです。
原子1個分の層なので厚さははっきり決められませんが、グラファイトの層間距離の約0.335 nmを1層の厚さとみなすのが一般的です。原子間力顕微鏡で基板の上の単層を測ると、表面の吸着物や基板との隙間のため、これより厚く見えることがよくあります。
どちらもsp²結合の炭素の六角形の網ですが、グラフェンは平らな2次元のシートで、カーボンナノチューブはそれを継ぎ目なく円筒に巻いた1次元の構造です。ナノチューブは巻き方(カイラル指数)によって金属的にも半導体的にもなりますが、平らなグラフェンのバンドギャップはほぼゼロです。
面内の炭素どうしがsp²の強い共有結合で隙間なくつながっているからです。宙に張った単層の押し込み試験では、ヤング率が約1 TPa、破断強度が100 GPaを超えると見積もられています。ただし欠陥のない小さな領域の値で、粒界や欠陥を含む大面積の膜や、樹脂に混ぜた複合材料ではずっと低くなります。
単層カーボンナノチューブは、グラフェンの1枚をカイラルベクトル Ch = na₁ + ma₂ が円周になるように巻いた円筒です。
単層カーボンナノチューブの電子的な性質は、グラフェンを巻く向きを表すカイラル指数(n, m)で決まり、n − m が3…グラフェンはグラファイトの1層だけを取り出したもので、炭素原子がsp²混成の強い共有結合で蜂の巣状の六角形の網をつくっています。
グラフェンの構造と性質についての説明として正しいものはどれか。