ゼータ電位とは
ぜーたでんい
液中の粒子とともに動く層の外側のすべり面の電位。絶対値が大きいほど粒子どうしの静電反発が強く、分散が安定する。等電点ではほぼゼロになる。
「ゼータ電位」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(ナノ材料など)。
この用語の分野: ナノ材料
ぜーたでんい
液中の粒子とともに動く層の外側のすべり面の電位。絶対値が大きいほど粒子どうしの静電反発が強く、分散が安定する。等電点ではほぼゼロになる。
「ゼータ電位」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(ナノ材料など)。
この用語の分野: ナノ材料
液中の粒子の表面は、表面の基の解離やイオンの吸着で帯電し、そのまわりに反対の符号のイオンが集まって電気二重層ができます。表面に近いイオンは強く引きつけられて粒子と一緒に動き、外側のイオンは熱運動で広がっています。粒子が動くとき、一緒に動く層と動かない液体との境目をすべり面と呼び、その位置の電位がゼータ電位です。表面そのものの電位は直接測れませんが、ゼータ電位は粒子の動きから測れるので、粒子どうしが近づいたときの静電的な反発の目安として使われます。
ゼータ電位は、電界をかけたときの粒子の速さ(電気泳動移動度µ)から求めます。電気二重層が粒径より十分薄い場合はスモルコフスキーの式 ζ = ηµ/ε を使い、ηは液体の粘度、εは誘電率です。25℃の水では、移動度 1 µm·cm/(V·s) がおよそ12.8 mVに相当します。二重層の厚さの目安はデバイ長で、25℃の1価の塩の水溶液では、濃度1 mmol/Lで約9.6 nm、100 mmol/Lで約0.96 nmです。塩を加えると二重層が縮み、反発の届く距離が短くなります。
ゼータ電位は表面電位とは違い、すべり面での値なので、大きさは表面電位より小さくなります。また、等電点(ゼータ電位がゼロになるpH)と、表面の電荷がゼロになる零電荷点は、特定のイオンが吸着しないときは一致しますが、吸着があるとずれます。安定性の目安として「絶対値が30 mV以上なら安定」という経験則がよく使われますが、塩の濃度や粒径によって変わります。高分子の吸着による立体的な反発はゼータ電位に表れないので、絶対値が小さくても分散が安定なこともあります。
測定では、散乱したレーザー光のドップラー効果から移動度を求める方法がよく使われます。結果はpHと塩の濃度で大きく変わるので、それらを必ず記録します。等電点は物質と表面の状態で異なり、シリカでは2〜3程度と低く、アルミナでは9前後と高いのが典型です。セラミックスの鋳込み成形やテープ成形のスラリー、半導体のCMP用の研磨液、塗料、医薬品の分散液などで、pHと分散剤を選んで凝集を防ぐ設計に使われます。逆に水処理では、凝集剤でゼータ電位をゼロに近づけ、粒子をわざと凝集させて沈めます。
正解:B. pHを等電点から十分に離して表面を帯電させ、ゼータ電位の絶対値を大きくする
ナノ粒子は比表面積が大きく、ファンデルワールス引力で互いにくっついて凝集しやすくなります。水中の酸化物の粒子は、表面の水酸基がpHに応じてプロトンを受け取ったり放したりして帯電し、まわりに電気二重層をつくります。pHを等電点から離してゼータ電位の絶対値を大きく(目安として数十mV以上)すると、粒子どうしの静電的な反発が引力にまさり、分散が安定します(DLVO理論)。等電点では表面の電荷がほぼゼロになり、反発がなくなるので最も凝集しやすくなります。電解質を多く加えると電気二重層が薄く圧縮されて反発が届く距離が短くなるので、凝集はむしろ進みます。高分子の分散剤を吸着させる立体反発も、よく使われる方法です。
電位なので単位はボルトで、ふつうは mV で表します。符号は粒子の表面の電荷の符号に対応し、酸化物ではpHが等電点より低いと正、高いと負になります。報告では、測定したpH、塩の濃度、温度、使った換算式を一緒に示すのが望ましいとされます。
pHを変えながらゼータ電位を測り、ゼロになるpHが等電点です。等電点の近くでは静電的な反発がほとんどなくなるので、粒子は最も凝集しやすくなります。分散させたいときは等電点から離れたpHを選び、凝集させたいときは等電点の近くに合わせます。
必ずではありません。塩の濃度が高いと二重層が縮んで反発の届く距離が短くなり、同じゼータ電位でも凝集しやすくなります。また、粒子が大きく重い場合は、分散していても沈降は起こります。安定性は、ゼータ電位に加えて沈降や粒径の時間変化を測って確かめます。
pHを等電点から離してゼータ電位の絶対値を大きく(目安として数十mV以上)すると、粒子どうしの静電的な反発が引力にまさり、分散が安定します(DLVO理論)。
水中に分散させた酸化物のナノ粒子が凝集して沈まないようにする方法として適切なものはどれか。