非架橋酸素とは
ひかきょうさんそ
ガラスの網目で、網目をつくる陽イオン1個とだけ結合し、隣の多面体とつながっていない酸素。修飾酸化物を加えると増える。
「非架橋酸素」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(ガラスと非晶質材料など)。
この用語の分野: ガラスと非晶質材料
ひかきょうさんそ
ガラスの網目で、網目をつくる陽イオン1個とだけ結合し、隣の多面体とつながっていない酸素。修飾酸化物を加えると増える。
「非架橋酸素」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(ガラスと非晶質材料など)。
この用語の分野: ガラスと非晶質材料
ケイ酸塩ガラスの網目では、SiO₄ 四面体の頂点の酸素が2つの Si に結合して隣どうしの四面体をつなぐと架橋酸素(BO)、1つの Si とだけ結合し、残った負の電荷を修飾陽イオンで打ち消されていると非架橋酸素(NBO)と呼びます。四面体の4つの頂点のうち架橋酸素の数を n として、四面体を Qⁿ と表すと、石英ガラスはすべて Q⁴ で、非架橋酸素が増えるにつれて Q³、Q² と変わっていきます。Q³ が多いと層状、Q² が多いと鎖状のつながりに近くなり、網目のつながりの程度を表す指標になります。
二成分の Na₂O-SiO₂ ガラスでは、Na₂O 1個が架橋酸素1個を切って非架橋酸素を2個つくるので、四面体1個あたりの非架橋酸素の数 NBO/T は、Na₂O のモル分率を x として 2x/(1 − x) で見積もれます。例えば Na₂O・2SiO₂(Na₂O が約33 mol%)では NBO/T = 1 で、平均するとすべての四面体が Q³ になる計算です。ただし実際のガラスでは、Q⁴ と Q² が混ざって平均が Q³ になる不均化がある程度起こり、Qⁿ の分布は組成だけでは決まりません。NBO/T は平均の値として使います。
Na₂O を含むガラスに Al₂O₃ を加えると、Al³⁺ は Na⁺ に電荷を補われて AlO₄ 四面体として網目に入り、非架橋酸素を橋かけに戻します。Na₂O と Al₂O₃ のモル数が等しいと、計算の上では非架橋酸素がほぼなくなり、網目がよくつながったガラスになります。そのため、アルカリを含むのに粘度が高く化学的な耐久性もよいガラスがつくれ、アルミノケイ酸塩ガラスは化学強化用のカバーガラスなどに使われます。Al₂O₃ が Na₂O より多くなると、電荷を補う陽イオンが足りなくなり、構造はさらに複雑になります。
非架橋酸素の量や Qⁿ の分布は、²⁹Si の固体NMR で Qⁿ ごとに違う化学シフトのピークを分けて求めたり、ラマン分光や X線光電子分光(XPS)で酸素の結合状態を調べたりして評価します。非架橋酸素は、ガラスの水への溶け出しやアルカリイオンの交換が起こる場所にもなります。また、製鉄や製錬のスラグでも、NBO/T は溶けたケイ酸塩の網目の切れ具合を表す量として使われ、粘度や硫黄を取り込む能力などの目安になります。地球科学では、マグマの粘度の見積もりにも使われています。
正解:C. 約0.86
Na₂O 1 molから非架橋酸素が2 molできるので、NBO/T = 2×30/70 ≈ 0.86 です。四面体1個あたり平均0.86個の頂点の酸素が隣の四面体とつながっていないことになり、網目の結合の度合いが下がります。約0.43はNa₂O 1個につき非架橋酸素を1個と数えた値、約0.60は四面体の数(SiO₂の量)でなく全体の100 molで割った値です。NBO/Tが0なら石英ガラスのような完全な3次元の網目、2ならSiO₄が鎖や環のようにつながった構造、4なら孤立した四面体になります。NBO/Tは、ガラスやスラグの組成を比べるときに、粘度などの性質の目安としてよく使われます。
網目のつながりが弱まるので、粘度とガラス転移温度が下がり、熱膨張が大きくなります。また、非架橋酸素のそばにある修飾陽イオンが水中の水素イオンと交換しやすいので、化学的な耐久性は下がります。成形はしやすくなる一方で、耐熱性や耐久性は落ちます。
非架橋酸素は負の電荷を1つ余分にもつので、その電荷を Na⁺ や Ca²⁺ などの修飾陽イオンが近くで打ち消しています。1価の Na⁺ は非架橋酸素1個分、2価の Ca²⁺ は2個分の電荷を補います。そのため、修飾陽イオンの量と価数から、非架橋酸素の数を見積もれます。
少量のアルカリでは、非架橋酸素ができる代わりに、ホウ素が3配位の BO₃ から4配位の BO₄ に変わって、網目がむしろ強まります。アルカリがある量を超えると非架橋酸素ができ始めるので、性質の変化が組成の途中で折れ曲がります。
Na₂O 1 molから非架橋酸素が2 molできるので、NBO/T = 2×30/70 ≈ 0.86 です。
30 mol% Na₂O-70 mol% SiO₂ のナトリウムケイ酸塩ガラスで、Na₂O 1個が非架橋酸素を2個つく…Na₂Oが1個入ると、Si-O-Si の橋かけ酸素1個が切れて、Siと1本だけ結合する非架橋酸素が2個でき、Na⁺は網目のすき間に入って電荷を補います。
SiO₂ガラスにNa₂Oを加えると、ガラスの構造と性質はどう変わるか。ガラス転移温度 線膨張係数 網目形成酸化物 網目修飾酸化物 アモルファスシリコン 化学強化ガラス 換算ガラス転移温度 強化ガラス 金属ガラス