アモルファスシリコンとは
あもるふぁすしりこん
長距離の周期性をもたないシリコン。水素で未結合手を終端したa-Si:Hは、薄膜トランジスタや薄膜太陽電池に使われる。
「アモルファスシリコン」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(ガラスと非晶質材料など)。
この用語の分野: ガラスと非晶質材料
あもるふぁすしりこん
長距離の周期性をもたないシリコン。水素で未結合手を終端したa-Si:Hは、薄膜トランジスタや薄膜太陽電池に使われる。
「アモルファスシリコン」は、1分野の2問の練習問題に出てきます(ガラスと非晶質材料など)。
この用語の分野: ガラスと非晶質材料
アモルファスシリコンでは、ほとんどの Si 原子が、結晶と同じように4つの Si と共有結合しています。しかし、結合の角度が結晶の109.5°から平均で約10°ばらつき、結合の長さもわずかにばらつくので、長距離の周期性がなくなります。このような構造は、四面体が乱れながらつながった連続ランダム網目で表されます。網目のひずみのために、一部の原子は4本の結合を満たせず、未結合手(ダングリングボンド)が残ります。結晶にないこれらの乱れと未結合手が、電気的な性質を決める大きな要因になります。
結晶では、価電子帯と伝導帯の端がはっきりしていて、その間に電子の状態はありません。a-Si:H では網目の乱れのために、バンドの端からギャップの中へ指数関数的に広がるすその状態ができます。すその状態の電子は局在していて動きにくく、動きやすい状態との境目どうしの間のエネルギーの幅を移動度ギャップと呼びます。光学的なバンドギャップは約1.7〜1.8 eV です。未結合手はギャップの中ほどに準位をつくります。1975年にスピアとルカンバーは、水素で欠陥を減らした膜にリンやホウ素を添加して伝導型を制御できることを示し、電子デバイスへの道を開きました。
a-Si:H は可視光をよく吸収しますが、キャリアの拡散できる距離が短いので、太陽電池では、p層とn層の間に、不純物を入れない厚さ数百nm の i層を挟んだ pin 構造にして、内部の電界でキャリアを引き出します。光を当て続けると未結合手が増えて効率が下がるステブラー・ロンスキー効果があり、使い始めのうちに効率が下がってから、やがてほぼ一定になります。この劣化は、150℃程度に加熱すると回復します。単接合のセルの安定したあとの効率は、研究段階の最高の値でも約10%にとどまり、微結晶シリコンと重ねたタンデム型などで改善が図られました。
a-Si:H は、プラズマCVD で約300℃以下の温度で、大きなガラス基板に均一に成膜できるので、液晶ディスプレーの画素を切り替える薄膜トランジスタ(TFT)に使われてきました。ただし、TFT の電界効果移動度は約0.5〜1 cm²/(V·s) と小さいので、高精細や有機ELの駆動には、約10 cm²/(V·s) の酸化物半導体(IGZO)や、約100 cm²/(V·s) 前後の低温ポリシリコンが使われるようになっています。一方、結晶シリコン太陽電池では、薄い a-Si:H の層で表面の欠陥を不活性にするヘテロ接合型のセルが、高い効率を支えています。
正解:C. Siの未結合手(ダングリングボンド)を水素で終端して、欠陥準位を減らすから
水素を含まないアモルファスシリコンには、網目の乱れのために相手のいない結合手(ダングリングボンド)が10¹⁹〜10²⁰ cm⁻³程度もあり、それがつくる準位がバンドギャップの中ほどで電子や正孔を捕まえてしまいます。そのため、ドーパントを加えてもフェルミ準位がほとんど動かず、光で生じたキャリアもすぐ再結合します。水素がSi-H結合でこれを終端すると欠陥密度は10¹⁵〜10¹⁶ cm⁻³程度まで下がり、リンやホウ素でn型やp型にできるようになりました。水素はドナーとして働くものではなく、ふつうの成膜条件では膜は非晶質のままです(水素で強く薄めたシランからは微結晶膜もできますが、別の目的です)。光を当て続けると欠陥が増えるステブラー・ロンスキー効果も、この水素と関係しています。
正解:B. 可視光の吸収係数が結晶より大きく1 µm以下の膜で吸収できるが、電子の移動度は2〜3桁小さい
結晶シリコンは間接遷移型で、可視光のうち波長の長い光の吸収が弱いため、太陽電池にはふつう100 µm以上の厚さの基板が使われます。a-Si:Hでは長距離の周期性がなく、遷移の前後で運動量を保存する制約がゆるむので、可視光の吸収係数が結晶より大きくなり、厚さ1 µm以下の膜で光を吸収できます。一方で、乱れた網目がつくるバンド端のすその準位でキャリアが捕まるため、電子の移動度は約1〜10 cm²/(V·s)と、結晶シリコンの約1400 cm²/(V·s)より2〜3桁小さくなります。そのため高速の論理回路には向かず、約300℃で大面積に成膜できる利点を生かして、液晶ディスプレーの画素のTFTや薄膜太陽電池に使われてきました。バンドギャップ約1.7 eVで可視光をよく吸収し、透明電極にはなりません。
多結晶シリコンは結晶の粒が集まったもので、粒の中では原子が周期的に並んでいます。アモルファスシリコンには結晶の粒がなく、全体に長距離の周期性がありません。多結晶のほうが移動度ははるかに大きい一方、アモルファスは低い温度で大面積に均一に成膜しやすいのが利点です。
数百℃以上に加熱すると水素が抜けて欠陥が増え、さらに約600℃以上に長く保つか、レーザーで瞬間的に溶かすと、結晶化して多結晶シリコンになります。低温ポリシリコンの TFT は、ガラス基板の上の a-Si 膜をエキシマレーザーで結晶化させてつくります。
室内の蛍光灯のような弱い光でも発電しやすく、薄くて安く大面積につくれるので、電卓や時計などの小さな機器の電源として広く使われてきました。屋外の発電用では、効率の高い結晶シリコンの太陽電池が主流です。
水素を含まないアモルファスシリコンには、網目の乱れのために相手のいない結合手(ダングリングボンド)が10¹⁹〜10²⁰ cm⁻³程度もあり、それがつくる準位がバンドギャップの中ほどで電子や正孔を捕まえてしまいます。
太陽電池や薄膜トランジスタに使うアモルファスシリコンを、シランのプラズマCVDで、水素を約10%含むa-Si:Hとして…a-Si:Hでは長距離の周期性がなく、遷移の前後で運動量を保存する制約がゆるむので、可視光の吸収係数が結晶より大きくなり、厚さ1 µm以下の膜で光を吸収できます。
水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)と結晶シリコンの性質の比較として正しいものはどれか。間接遷移型半導体 網目形成酸化物 網目修飾酸化物 化学強化ガラス 換算ガラス転移温度 強化ガラス 金属ガラス 非架橋酸素