量子サイズ効果とは
りょうしさいずこうか
粒子や膜が電子の波の広がりと同じ程度に小さくなると、エネルギー準位がとびとびになりバンドギャップが広がる効果。量子ドットの発光色を決める。
「量子サイズ効果」は、2分野の2問の練習問題に出てきます(薄膜・表面・ナノ材料, ナノ材料など)。
この用語の分野: 薄膜・表面・ナノ材料
りょうしさいずこうか
粒子や膜が電子の波の広がりと同じ程度に小さくなると、エネルギー準位がとびとびになりバンドギャップが広がる効果。量子ドットの発光色を決める。
「量子サイズ効果」は、2分野の2問の練習問題に出てきます(薄膜・表面・ナノ材料, ナノ材料など)。
この用語の分野: 薄膜・表面・ナノ材料
電子は波としての広がりをもつので、狭い空間に閉じ込められると、とれるエネルギーが限られてとびとびの値になります。最も簡単な無限に深い井戸のモデルでは、幅 L の井戸の準位は Eₙ = n²h²/(8m*L²) で、幅の2乗に反比例して高くなります。例えばGaAsの電子(有効質量 m* = 0.067m₀)を幅10 nmの井戸に閉じ込めると、最低の準位は約56 meVで、室温の熱エネルギー kT(約26 meV)を上回ります。準位の間隔が kT より大きくなることが、効果がはっきり現れる目安です。
閉じ込める方向の数によって、1方向だけ閉じ込めた膜を量子井戸、2方向の細線を量子細線、3方向すべての粒子を量子ドットと呼びます。量子井戸では、GaAsをAlGaAsで挟んだ構造などが半導体レーザーの発光層に使われ、井戸の幅で発光の波長を調整できます。量子ドットでは状態密度が原子のような鋭いピークになるので、発光の幅が狭くなります。半導体の微粒子では、粒径が励起子のボーア半径と同じ程度以下になると効果が強く現れ、CdSeでは数nmの粒径の違いで発光色が青から赤まで変わります。
ナノ粒子で性質が変わる現象のすべてが量子サイズ効果ではありません。金のナノ粒子の分散液が赤く見えるのは、伝導電子の集団振動による表面プラズモン共鳴(520 nm付近の吸収)のためで、準位の離散化によるものではありません。金属ナノ粒子の融点降下も、表面エネルギーによる熱力学の効果です。量子サイズ効果ではエネルギーのずれがおよそ粒径の2乗に反比例して大きくなるのに対し、融点降下はおよそ粒径に反比例するなど、粒径への依存の仕方にも違いがあります。
球の量子ドットの実効的なバンドギャップは、ブルースの式 E ≈ Eg + (h²/8r²)(1/mₑ* + 1/mₕ*) − 1.8e²/(4πεr) で見積もられ、第2項の閉じ込めのエネルギーが粒径の2乗に反比例して増えます。合成では反応の時間や温度で粒径をそろえ、発光の幅を狭くします。ディスプレイの色変換シート、生体の蛍光標識、光検出器などに使われ、表面をバンドギャップの大きいZnSなどの殻で覆うコア・シェル構造にして、表面欠陥による発光の損失を減らします。
正解:C. バンドギャップが大きくなり、短波長側(青の側)へずれる
粒径が、電子と正孔の広がりの目安である励起子のボーア半径(CdSeで約5〜6 nm)と同じ程度以下になると、キャリアが狭い空間に閉じ込められて、エネルギー準位がとびとびになって間隔が広がります。これが量子サイズ効果で、粒径が小さいほど実効的なバンドギャップが大きくなり、発光は短波長側(青の側)へずれます。そのため同じ材料でも粒径を変えるだけで発光色を調整でき、ディスプレイの色変換などに使われます。小さくするとギャップが小さくなるという選択肢は逆の誤りです。バルクと同じ色になるのは、粒径がボーア半径より十分大きい場合です。
正解:A. 表面の原子の割合が増え、表面エネルギーの分だけ固体の自由エネルギーが高くなり、液体が低温で安定になるから
表面の原子は結合の一部を失っているので、粒子の自由エネルギーには表面エネルギーの項が加わります。粒径が小さいほど表面の原子の割合が増え、固体の自由エネルギーが押し上げられるので、固体と液体の自由エネルギーが等しくなる温度、つまり融点が下がります(ギブス・トムソン効果)。固体と液体の界面エネルギーを考えると、融点の低下量はおおよそ粒径に反比例します。量子サイズ効果は電子のエネルギー準位の話で、金属の融点降下の主因ではありません。また、ナノ粒子では融解熱はむしろ小さくなる傾向があり、「融解熱が大きくなるから融けやすい」という理屈は逆向きです。
材料によって違い、目安は励起子の広がり(ボーア半径)です。CdSeでは約5〜6 nm、PbSでは約18 nm、シリコンでは約4〜5 nmで、粒径がこれと同じ程度以下になると効果がはっきり現れます。
起こりますが、金属は電子の数が多く準位の間隔が非常に小さいので、粒径が2 nm程度以下にならないと目立ちません。その大きさの金のクラスターでは連続した準位がなくなり、分子のように蛍光を出すものもあります。
量子井戸は厚さ方向の1方向だけを閉じ込めた薄い膜で、面内では電子が自由に動けます。量子ドットは3方向すべてを閉じ込めた粒で、準位が原子のように完全にとびとびになります。
これが量子サイズ効果で、粒径が小さいほど実効的なバンドギャップが大きくなり、発光は短波長側(青の側)へずれます。
CdSeなどの半導体ナノ結晶(量子ドット)の粒径を小さくすると、発光の色はどう変わるか。量子サイズ効果は電子のエネルギー準位の話で、金属の融点降下の主因ではありません。
金や錫などの金属のナノ粒子では、粒径が数nmまで小さくなると、バルクの融点より低い温度で融解する。この融点降下のおもな…