ホール・ペッチの関係とは
ほーるぺっちのかんけい
降伏応力が結晶粒径dの平方根に反比例して増える関係 σy = σ₀ + k/√d。粒界が転位の運動を妨げるため、結晶粒が細かいほど強くなる。
「ホール・ペッチの関係」は、2分野の3問の練習問題に出てきます(熱処理と金属材料, 高温材料とクリープなど)。
この用語の分野: 熱処理と金属材料
ほーるぺっちのかんけい
降伏応力が結晶粒径dの平方根に反比例して増える関係 σy = σ₀ + k/√d。粒界が転位の運動を妨げるため、結晶粒が細かいほど強くなる。
「ホール・ペッチの関係」は、2分野の3問の練習問題に出てきます(熱処理と金属材料, 高温材料とクリープなど)。
この用語の分野: 熱処理と金属材料
降伏応力が結晶粒径の平方根に反比例して増える関係は、1951年にホールが、1953年にペッチが鋼で示しました。粒界では結晶の向きが変わるので、すべってきた転位は粒界の手前で止まって列をつくります(転位の堆積)。堆積した転位の先端には大きな応力が集中し、それが隣の粒の転位源を動かすと降伏が広がります。粒が大きいほど長い列ができて応力集中が大きくなるので、低い応力で降伏し、この考えから d^(−1/2) の依存性が導かれます。
σ₀は粒界がないときの摩擦応力、kは粒界の強化の効きやすさを表す係数で、単位はMPa·√mです。kは材料によって大きく違い、BCCの鉄鋼では大きく、FCCのアルミニウムや銅では小さいので、細粒化の効果は鋼で特に大きくなります。粒界による強化分は 1/√d に比例するので、例えば粒径を100 µmから1 µmへ1/100にすると、強化分は10倍になります。計算では、kの単位に合わせて粒径をmに直すことを忘れないようにします。
粒径がおよそ10〜20 nmより小さくなると、粒の中で転位の列がつくれなくなり、粒界すべりなどの別の変形が働くので、強さが頭打ちになったり、かえって下がったりします(逆ホール・ペッチ)。また高温では、細かい粒ほど拡散クリープや粒界すべりが起こりやすく、細粒化が不利になります。同じ形の関係は、硬さ、マルテンサイトのブロックの大きさ、パーライトの層の間隔にも使われ、細粒化は延性脆性遷移温度を下げる効果もあります。
結晶粒の微細化は、強さと靭性を同時に上げられる数少ない強化法で、合金元素を増やさずに済むので溶接性も損ないません。鋼では、制御圧延と加速冷却を組み合わせたTMCPで、フェライトの粒径を数µmから10 µm程度にして、高強度で靭性の高い厚板をつくります。アルミニウムの鋳物では、Al-Ti-B系の微細化剤を加えて凝固の核を増やします。粒径は、JISやASTMの結晶粒度番号や、直線と交わる粒界の数を数える切断法で評価します。
正解:C. 約218 MPa
粒径をmに直すと d = 25×10⁻⁶ m で、√d = 5.0×10⁻³ √m なので、k/√d = 0.74/(5.0×10⁻³) = 148 MPa です。よって σy = 70 + 148 = 218 MPa になります。約75 MPa は粒径を mm のまま d = 0.025 として計算した誤りで、kの単位(MPa·√m)と粒径の単位がそろっていません。約148 MPa は粒界による強化の分だけで、σ₀ を足し忘れています。結晶粒の微細化は強度と靭性を同時に高められる数少ない強化法で、鋼の制御圧延などで利用されています。粒径がナノメートル程度まで小さくなると、この関係から外れることがあります。
正解:B. 約550 MPa
粒径をmに直して 1/√d を計算すると、d = 100 µm で100、25 µm で200、4 µm で500(単位はいずれも 1/√m)です。2点から k = (250 − 150)/(200 − 100) = 1.0 MPa·√m、σ₀ = 150 − 1.0 × 100 = 50 MPa と求まるので、4 µm では σy = 50 + 1.0 × 500 = 550 MPa です。約950 MPa は降伏応力が 1/d に比例すると考えて直線を引いた誤り、約278 MPa は降伏応力が粒径dに対して直線的に変わると考えて外挿した誤りです。強化量は粒径の平方根に反比例するので、粒径を1/4にするごとに粒界による強化分が2倍になります。
粒界が転位の運動を妨げて降伏応力を上げる一方、へき開き裂は粒界で向きを変えるたびに進みにくくなり、破壊に必要なエネルギーが増えるからです。その結果、延性脆性遷移温度も下がります。
MPa·√m(MPa·m^(1/2))です。k/√d が応力になるように、粒径dをmで表して使います。粒径をµmやmmのまま代入すると、桁を大きく誤ります。
いいえ。数十nm以下では強さの伸びが鈍り、およそ10〜20 nmより小さいと頭打ちになったり下がったりすることがあります(材料や作り方によります)。また高温では細かい粒ほどクリープしやすいので、用途に合った粒径を選ぶ必要があります。