マティーセンの規則とは
まてぃーせんのきそく
金属の抵抗率が、格子振動による温度依存の成分と、不純物や欠陥による温度によらない成分の和で表されるという経験則。
「マティーセンの規則」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(電子・磁性・光学材料など)。
この用語の分野: 電子・磁性・光学材料
まてぃーせんのきそく
金属の抵抗率が、格子振動による温度依存の成分と、不純物や欠陥による温度によらない成分の和で表されるという経験則。
「マティーセンの規則」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(電子・磁性・光学材料など)。
この用語の分野: 電子・磁性・光学材料
金属の電気抵抗は、伝導電子が格子振動(フォノン)、不純物原子、空孔や転位、粒界などに散乱されて生じます。それぞれの散乱が互いに独立に起こるとみなせば、散乱の頻度が足し合わされるので、抵抗率は ρ = ρ_th(T) + ρ_i + ρ_d と各成分の和で表されます。これがマティーセンの規則で、1860年代にマティーセンが合金の抵抗の測定から見いだしました。格子振動の成分だけが温度に強く依存し、不純物や欠陥の成分はほぼ温度によりません。
格子振動による抵抗率は、デバイ温度程度より高い温度ではほぼ絶対温度に比例し、低温では T⁵ に比例して急に小さくなります。そのため液体ヘリウムの温度(4.2 K)では格子振動の成分がほとんど消え、不純物と欠陥による残留抵抗率だけが残ります。室温と4.2 Kの抵抗の比を残留抵抗比(RRR)とよび、純度が高く欠陥の少ない金属ほど大きくなります。超伝導の加速空洞に使うニオブでは、RRRが300以上といった値が品質の指標として求められます。
固溶体の合金では、不純物の成分が組成とともに大きく増え、無秩序な二元系の固溶体では溶質の濃度xに対しておよそ x(1 − x) に比例します(ノルトハイムの規則)。Cu₃Auのように原子が規則正しく並ぶ規則化が起こると、散乱が減って抵抗は下がります。一方、散乱の仕方が電子のエネルギーや向きで大きく違う場合や、磁性不純物による近藤効果がある場合などは、各成分が独立でなくなり、マティーセンの規則から外れます。あくまで近似の規則として使います。
電線の銅では、わずかな不純物でも抵抗率が上がるので、高純度化と酸素の制御が行われます。導電率は焼なました標準の銅(抵抗率1.7241 µΩ·cm、約58.0 MS/m)を100%とする%IACSで表すことが多くあります。逆に、マンガニンやコンスタンタンのような合金は、温度によらない残留抵抗の成分が大部分を占めるので、抵抗の温度係数が非常に小さく、精密抵抗やひずみゲージに使われます。微細な配線では、表面や粒界による散乱の成分が加わって抵抗率が上がります。
正解:C. 約3.5
マティーセンの規則では、全体の抵抗率は、温度に依存する格子振動の成分と、温度に依存しない不純物・欠陥の成分の和 ρ = ρ_th(T) + ρ_res になります。300 Kでは 1.70 + 0.40 = 2.10 µΩ·cm、77 Kでは 0.20 + 0.40 = 0.60 µΩ·cm なので、比は 2.10/0.60 = 3.5 です。約8.5は純銅の格子振動の成分だけの比(1.70/0.20)で、残留抵抗を無視しています。約10.5は残留抵抗を300 Kの値にだけ足した (1.70 + 0.40)/0.20 で、残留抵抗が両方の温度に同じだけ加わることを見落としています。低温ほど残留抵抗の割合が大きくなるので、室温と極低温の抵抗の比(残留抵抗比)は、金属の純度や欠陥の量の評価に使われます。
室温(約300 K)と極低温(多くは4.2 K)の抵抗率の比です。極低温では不純物と欠陥による抵抗だけが残るので、RRRが大きいほど金属の純度が高く欠陥が少ないことを示します。
合金では溶質原子による温度によらない抵抗が大きく、温度で変わる格子振動の成分の割合が相対的に小さいからです。マティーセンの規則で、全体の抵抗に対する温度変化の割合が小さくなると考えられます。
近似の規則です。散乱の機構どうしが独立とみなせない場合、例えば散乱の強さが電子のエネルギーで大きく変わる場合や磁性不純物を含む場合には、和からのずれが現れます。
マティーセンの規則では、全体の抵抗率は、温度に依存する格子振動の成分と、温度に依存しない不純物・欠陥の成分の和 ρ = ρ_th(T) + ρ_res になります。
純銅の格子振動による抵抗率が、300 Kで1.70 µΩ·cm、77 Kで0.20 µΩ·cmである。不純物を加えて、…